もう無視できない?知ってて損しない暗号資産の会計の処理の仕方とは?

暗号資産業界の盛り上がりとともに、暗号資産事業で大きな財を成している個人や法人は年々拡大しております。特にその中でも「億り人」に見られるように暗号資産を保有することによって資産を形成する人や企業は増加しています。
資産を形成するといいこともあればそれと同時に義務も発生します。
個人なら税金等の確定申告があります。法人ならば報告義務のある決算書の作成が伴ってきます。
暗号資産は近年見られるようになった新しい概念ということもあり、決算書のどこに記述したらいいのかわからない方も少なくないかもしれません。
しかし、わからないからと言って暗号資産の計上を適当に済ませることはできません。 仮に適当に計上してしまうと、騙す意志がないにも関わらず結果として騙してしまい、被害を被る可能性 があります。
なのでこの記事では少しマニアックですが、暗号資産の購入と売却に注目してその時に決算書のどこに何を記述すればいいのかを解説していきたいと思います。
これから法人として暗号資産を買う予定があるかたや最近購入されたかたには必見の記事となっています。
目次
会計ルールが整備され始めている
日本企業の会計基準を策定する企業会計基準委員会(ASBJ)は9日、企業が暗号資産を利用する際の会計ルールを正式にまとめた。暗号資産は原則、期末に時価評価し、価格変動に応じて損益に計上することなどが柱。2019年3月期から企業に適用する。
暗号資産は原則として最も頻繁に利用している交換所の価格で貸借対照表(BS)に計上し、企業は期末に時価で評価し直す。差額は損益として反映する。取引の少ない暗号資産は取得時価格でBSに計上し、期末に換金性の有無などから処分見込み価格を算出し直す。取得原価を下回る場合は損失計上する。暗号資産の取引記録に協力して報酬を受け取る採掘(マイニング)も対象となる。
【日本経済新聞】
ASBJ、暗号資産の会計ルールを正式決定
会計基準を策定している企業会計基準委員会(ASBJ)は 企業が暗号資産を利用する際の会計ルールを正式にまとめた と9日に発表しました。なお今回の会計ルールの改定では、ICOによる資金調達を念頭に自社や自社の関連会社が発行した暗号資産はルールの対象から除外し、ICOの活用状況をもとにルールに採択するかは検討するものとしました。
今回のASBJの動きは暗号資産の市場の盛り上がりに対応するためだと考えられます。最近では個人で暗号資産をもつ動きに加えて、資産運用の一環として企業が暗号資産を保有する動きも見られ始めています。ASBJの対応は迅速な対応だったのではないかと思われます。
今回の対応を見る限り、ASBJは暗号資産市場にとても注視しており、市場に合わせて対応していく意向がとても強そうです。
決算書は企業の現在の状況を表すもの
今回のASBJの対応は非常に迅速であると記述しましたが、この対応の早さは非常に評価するものに値すると思われます。
そう述べているのは、企業が開示する決算書はとても大事だからです。
決算書は 企業の現在の経営状態を如実に表すもの であり、企業に投資をしている株主や投資家たちは決算書を元に企業を評価し投資するかどうかを判断しています。
そのためたとえ故意ではないとしても決算書を偽ることは粉飾に繋がってしまい、決してあってはならないことなのです。
これは暗号資産を運用している企業においても例外ではありません。しかし、暗号資産はこれまでに明確なルールがなく、企業としても決算書にどのように記述するか悩ましく、企業においては資産や取得するための費用を計上していない企業もあると言われています。
これでは企業の本当の姿を表しているとは言い難いです。正しい事実を明確に記述して初めて決算書は意味を持ちます。
なのでASBJの暗号資産の会計の制度化はとても評価に値するのです。
暗号資産は会計上どのように処理されるのか?
暗号資産を決算書に明記する必要あるのは、暗号資産を購入するときと暗号資産を売却するとき、そして暗号資産を交換するときの主に3つのパターンに分けられます。
しかし暗号資産を購入したてであったり、購入する予定の人にとっての1番の関心ごとは購入と売却のときではないのでしょうか?
暗号資産を購入した時はどのように評価して計上したらいいのか?
もし暗号資産で利益が出た場合はどのように記述したらいいのか?
暗号資産を決算書に計上する上で悩みのタネは少なくありません。そのため、今回は 暗号資産の購入と売却に絞って解説していきたい と思います。
暗号資産を購入するときはどのように処理をするのか?
まずは暗号資産の購入の時について解説します。暗号資産を購入したらBS上では資産に計上して問題ないのですが、問題はどの勘定科目で計上するのかということです。
これには明確な区分はないのですが、一般的には暗号資産という勘定科目を使用しても良いとされています。
しかしより明確に区分したい場合には、暗号資産を購入した目的によって勘定科目を使い分けても問題ありません。
もし販売目的で購入した場合には棚卸資産の中でも商品として計上し、トレーディングによる運用目的なら棚卸資産の中でもトレーディング商品として計上します。
できるなら 目的に応じて勘定科目を使い分けることが好ましい でしょう。というのも、勘定科目によってこの後お話しする売却時における勘定科目に変化が生じて細かく明記できるからです。
ちなみに暗号資産は価格変動が激しいので購入時と決算のタイミングで価格に乖離が生じていることがあります。その時は決算時に再度時価評価をし直さないといけません。このことも覚えておきましょう。
暗号資産を売却するときはどのように処理をするのか?
購入時の決算書の書き方が理解できたら次は売却時について解説していきます。
売却する時にはほとんどの確率で売却による利益か損失が発生します。なので売却に生じる利益または損益を損益計算書に計上しないといけません。
この時に大事なのは購入時の時にも説明した勘定科目の設定です。勘定科目の設定は暗号資産を購入した時の目的によって変わります。
3.1で説明した販売による目的であれば、売却時には損益計算書に売上高として計上します。またトレーディングによる目的の時も同じで売上高として計上します。
その他に考えられるのが長期的な投資目的で購入していた場合です。この時は特別利益または特別損失として計上します。
覚えておかないといけないのは、 購入時は貸借対照表に計上して売却時には損益計算書に計上しないといけないということ です。またその時に目的を明確にしながら勘定科目を設定するということです。
そのようにすることにより決算書に誤りが生じにくくかつ投資家に正確な情報をお届けすることができます。
暗号資産の会計ルールの未来
今後はさらに細かいルールが策定されることが予測されます。
今回ルールに定められていない ICOについてなどは次回の制度改訂の時に盛り込まれる可能性が高い と思われます。
暗号資産市場が盛り上がりを見せれば見せるほど、市場に対応するためにその都度制度化されていくでしょう。
制度が整備されることによって市場がよりクリーンにかつ誰にでも安心して用いてもらえるような市場に変貌していくのだと思います。
これからの暗号資産の盛り上がりに期待していきましょう。
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