
世界的に流行した本はそれなりの説得力があるというのは当たり前ですが、5年前に流行したトマ・ピケティの本を覚えていますか?
フランス出身の経済学者 トマ・ピケティが書き記した大作です。
サラリーマンベアも分厚い本は嫌いなので、掻い摘んで紹介したいと思います。
なぜ、お金持ちはお金持ちのままなのか? というシンプルな疑問に対する答えを用意できるかと思います。世界で絶賛された21世紀の資本
ピケティが記した「21世紀の資本」では18世紀から膨大なデータを収集し、なぜ格差が解消されないのか?という疑問に対し、その答えを理論付けています。
ノーベル経済学賞受賞のポール・クルーグマンやジョセフ・スティグリッツも絶賛したこの書物。
そんな経済学のインフルエンサー?から支持され世界的な大ヒットとなりました。
伝えたいメッセージはシンプルで、それを証明するために膨大なデータを用いて隅々まで解説されています。
そのメッセージとは「r>g」という公式。
この式は私たちに 資本家にならない限り、労働者が抱える経済的格差は今後も拡大し続ける という残酷な現実を突きつけています。
格差はなくならない

かみ砕いて説明すると、このように言えます。
・r=rate,return 資本収益率
・g=growth 所得増加率
少なくとも資本主義が発達した近代において、世界大戦期の例外はあるものの、常にこの方程式は成り立つということをピケティが証明しました。
肌感覚では「当たり前じゃん」と思うかもしれませんが、この 当たり前とみんなが思うことを「理論化」するのが経済学者の果たすべき役目 です。
世界の経済成長率は近年は3%近く。
それに対し、資本収益率は5%近く。(利益/配当/利子/賃料に該当するものを総資本で除した概算)
世界経済が成長し、末端の労働者にも給与所得増加という形で還元される。
しかしながら、それ以上のペースで資本家は利益を得ている。
これがこの世界の真理だ、とピケティは主張した訳です。
お金はお金のあるところに集まる

このピケティの意見を悪用?して、「全ての格差は悪」、「金持ちに課税しろ」と血気盛んな人もいます。
しかしながらサラリーマンベアは「何事も極端なのは良くないのにな」と考える中道派スタンスです。

そもそも、格差が悪ってなぜですか?
「機会の平等」は正しいと思いますが、「結果の平等」っておかしくないですか?
努力や自己研鑽せずにのうのうと暮らしているだけで同じ結果っておかしくないですか?
新しい技術やサービスを生み出し、経済が成長すると、ごく一部の人が潤うのは当たり前です。
その格差は「対価」としては当然 なので、必ずしも悪とは言えません。むしろ、「俺も成り上がるぜ!」「俺も負けてられねぇ」という向上心が競争を生み、イノベーションが起きやすい環境を導くのです。
もちろん、一部が天文学的な報酬を手にする一方で、貧困層が急増しているのは格差の悪い所です。

そのバランスを調整するのが今の社会システム上、政府やそれに準ずる公的機関な訳ですね。
何事もやりすぎは良くない。中庸です。
今のアメリカや中国は格差が極端に広がり、治安悪化や政情不安に繋がりかねない状態となっています。
「格差」自体は結果であって、それを生み出したプロセス分析が重要 なわけです。「r>g」が成立しているのは確かなので、ここの賢明な読者は「r」資産を増やしていきましょう!
それでは!
今回も勝手に始めた『経済』という視点で皆さんの知識をアップデートしていこう企画です。