マルタ共和国の仮想通貨金融資産法の影響は?マルタデルタサミット2019の参加レポート

編集長伊藤取材
コインオタク伊藤
皆さんマルタと聞けばどんな国をイメージしますか。

暗号資産市場でマルタは非常に着目を集めている国となります。

そこで、今回のコラムではマルタという国の紹介となぜここまで暗号資産を取り扱う企業がマルタに集まるのか。マルタで行われたデルタサミットとはどういうものなのか、解説していきます。

マルタ共和国の詳細

マルタ共和国は、イタリアの南に位置する東京都よりも小さい島国。人口は40万人程度だが、イギリス連邦および欧州連合(EU)の加盟国として独立しています。

小さい国土、少ない人口から産業は偏りがあり、歴史的には綿花・たばこの栽培や造船業の時代から地中海の中心という地の利を生かし貿易、観光にシフトすることになる。そして現在では金融に力を入れており、税率が低いタックス・ヘイヴンとして多くの企業・資金を誘致しています。

その中で、暗号資産企業を集めることに繋がるのだが、単純にタックス・ヘイヴンだから企業が集まるという理由ではありません。

なぜマルタに暗号資産企業が集まるか、その理由は正しく暗号資産の規制をかけているからです。

マルタが発表したVFAA(Virtual Financial Assets Act)法とは

仮想通貨金融資産法とも訳されるVFAAはマルタ政府が2018年に承認した暗号資産を取り扱う企業のレギュレーションを固めた法律です。

日本を始めとした多くの国が既存の金融商品として暗号資産を括ろうとする傾向がみられますが、マルタは「暗号資産」を「暗号資産」として取り扱う新しい法律を作ることに決めました。

 この国を挙げての取り組みを評価し、Binance社を始めとした大手海外暗号資産取引所はマルタへ拠点を設けることを発表しております。 
コインオタク伊藤
さっそく肝心の法律の中身について触れていきましょう。

VFAA法で定義されている4つの業務

ここまで細かく業務ごとに明文化している国は他にはまだありません。日本においては暗号資産の売買に関してライセンス制を行い、後は業務ごとに協会が独自ルールを決め、それを金融庁が判断しているという後追い規制となっております。

マルタ政府は暗号資産を産業の一つとしてとらえている為に明確なルールを設けることを決めました。

これにより、挑戦的なベンチャー企業だけでなく、リスクを明確にし、対策をしたい大手企業の市場参入を促すことにもつながり、このレギュレーションはどんな企業でも申請をすれば通るものではありません。

VFA AGNETが正式に発表されたのが2019年4月2日です。

・2019年4月 : 14社がMFSAから発表

・2019年5月 : 9社がMFSAに正式登録

・2019年11月19日現在 : 18社が正式登録

そのためMALTAには2019年1月末から4月末までVFA AGNETが存在していませんでした。
 250社以上がみなし期間に申請を行ったが、3分の2が審査を通過せず、最終的にライセンスの申請に進んだのは28のエージェントのみ で、この中にはMFSAからの度重なるVFA AGENT登録に必要な登録料の増額により、VFA AGENTへの登録から撤退した企業も多いです。

マルタの過去の成功事例

コインオタク伊藤
マルタ政府はなぜ暗号資産産業に対して的確な対応を行う事ができたのでしょうか。

実は、過去の成功体験が影響をしており、ここでは過去の成功事例を紹介します。

マルタゲーム管理委員会(MGA:Malta Gaming Authority)と呼ばれる組織が2001年に設立されました。主な目的としてカジノ 、アミューズメントおよびスロットマシン、ファンタジースポーツ、 宝くじなどのゲーム産業をオフライン・オンライン共通して正しい規制を設けております。

これによりMGAが認可したゲーミング企業が提供するサービスはユーザーが安心をして遊べるようになりました。この取り組みは、いまであれば当然の対応と感じますが、当時はかなり革新的でした。

2004年にEU加盟国として最初のオンラインゲーミングに関する規制を設けた国となり、多くのゲーム企業がマルタへ拠点を移動しました。 その数は、世界の約10%のシェアを占めるまで成長しており、マルタとしても継続して国のGDPの10%以上をこのゲーム産業から生み出しています。 

この成功体験より、新しい産業への規制対応と国のコミットメントをする力が裏付けられます。今回の暗号資産市場においても重要になる国の一つと言えるでしょう。

コインオタクはエストニア法人ですが、日本の方からエストニア法人の登記の仕方を教えて欲しいとコンサルの要望を頂くことがあります。

多くの場合、国の選定は「みんながそうしているから」の範囲にとどまりますが、これからは戦略的に登記する国を決めるという流れになりそうです。

コインオタク伊藤
マルタで登記を行い、VFAの認可を取ることは暗号資産企業に取って一つの箔になるので、我こそはという暗号資産企業の方はぜひ挑戦をしてみてください!

マルタデルタサミット2019の参加レポート

民間企業だけでなく、マルタ政府機関も多く参加するマルタデルタサミット2019ではマルタ政府から革新的な取り組みの発表があると事前告知をされており、市場に与えるインパクトの大きさを体験するべく実際に現地に足を運び調査をしてきました。

その様子をレポートとしてお届けいたします。

マルタデルタサミットとは

暗号資産市場においては外すことのできないマルタ共和国。その国で2018年から毎年デルタサミットが行われております。

2019年10月3日~10月5日の期間でマルタデルタサミット2019が開催されました。

200の出展社、100の講演者、3500人を超える来場者と暗号資産市場においても非常に大きなイベントです。

デルタサミットはブロックチェーン、AI、IoT、eスポーツの分野に特化をした内容となっております。

それぞれの市場はまだ新しく明確な業界をけん引するリーダーが定まっておりません。

そこで、 マルタ政府は業界を正しく規制することで主導権を握り、デルタブランドとしてデジタルイノベーション分野を中心に世界で大きな使命を全うすることを考えております。 

2018年に最初に行われたブロックチェーン会議が世界から着目をされ、政府の狙い通り、デルタブランドは大きく認知されることになりました。

マルタデルタサミット2019で発表されたこと

マルタ政府からの公開情報として、仮想通貨金融資産法:VFAA(Virtual Financial Assets Act)法で公式にマルタ政府の認可を得た企業が発表されることを想定しておりましたが、実際にはデルタサミットの会場でそのような発表はありませんでした。

しかし、悲観することはなく、公式発表で数か月以内に公式な認可がおりるとも発表されており、認可が下りれば市場に大きな影響を与えるでしょう。

また、セキュリティトークン(ST)とその資金調達であるSTOに関しても発表がありました。

まだ協議書の発行を行った段階ではあるものの、政府が直接動いていることからVFAA法と同様に新しい規制が設けられる可能性が高いです。

日本のように市場が変わるたびに都度法律を選定し、後日、整合性を取るために改正をするというやり方は混乱を招きかねません。マルタ政府は最初からセキュリティートークンに関する法律を盛り込む可能性も十分あります。

その他にも、Appleの共同設立者であるスティーブ・ウォズニアック氏とマルタ政府のデジタル金融責任者との対談や、マルタに拠点を持つ海外大手取引所バイナンスとOKExの基調講演など暗号資産およびブロックチェーン産業に関わる貴重な公演が開催されました。

金融以外の発表では、5GやAIや宇宙に関する基調講演も多数行われており、個人的には「ソフィア(サウジアラビアで初の市民権を得た人工知能)は課税されるべきですか、それとも税控除を認められるべきか」という公演に関心を引きました。

 日本では前提条件すら認識されていない話であり、近い将来必ず課題になる議論 として興味深かったです。

マルタ政府の今後の展開

今回のマルタデルタサミットではマルタ政府からの発表で目新しい情報はありませんでした。しかし、着実にマルタ政府が暗号資産市場に対する影響力が増していることを肌で感じることができました。

今後、 マルタ政府で初の公式な暗号資産取扱業者の認定がされれば、今まで以上にマルタへ進出をする暗号資産企業が増えるでしょう。 

日本と米国は世界でも先陣を切って暗号資産取扱の法律を金融化しておりますが、内容は排他的であり新規企業の誘致が目的ではありません。その為、悪い規制と揶揄されることもあります。

反対にマルタは市場拡大と企業誘致を目的とした規制を行っており、市場は歓迎ムードですが、誰でも簡単に登録ができると誤解をしてはいけません。進出をする企業も厳しい精査を受けた企業群となるでしょう。

VFA SP(仮想通貨取引所やカストディアンサービス)は2019年10月にみなしライセンスが執行し、2019年10月末までに正式に申請した会社のみが、活動を続けることができています。

 あくまで申請であり、MFSAからの正式ライセンス発行はまだ1社もされていません。 2ヶ月間の猶予期間が認められています。

・2019年10月31日:34社のVFA SP業者からMFSAが申請を受理。そのうち21社が暗号資産取引所

・Bittrexなどの大手取引所が数社マルタから撤退。(Bittrexはリヒテンシュタインへ)

コインオタク伊藤
コインオタクではこれからもマルタ政府の発表を追いかけ、日本の読者の皆様へ向けて情報開示を予定しております!