IEO(イニシャルエクスチェンジオファリング)を徹底調査!ICOとIEOの違いは?


暗号資産の登場から、これまでなかったシステム、テクノロジーが構築され社会への普及が進んでいる現在ですが、資金調達の方法も新しい手段が生まれていることをご存知でしょうか?
特に今有名なのがICO(イニシャルコインオファリング)という資金調達方法であり、暗号資産に深く関連している単語として見る機会が多いかもしれません。
しかし現在、ICOに変わる新たな資金調達方法として、IEO(イニシャルエクスチェンジオファリング)という資金調達方法が注目を集めています。これからさらに注目されていくことが予想されるIEOを先駆けて理解していくことで読者の方々の暗号資産に対する知識、関心度がますます向上するのではないでしょうか。
初めて聞く言葉で難しそう。。と感じるかもしれませんがこの記事にざっと目を通すことで簡単にIEOの知識を得ることができると思います!
目次
IEO(イニシャルエクスチェンジオファリング)とは?
未上場のプロジェクトが資金調達をするための方法の一種であり、IEOより先に世に知れ渡った資金調達方法であるICOに代わって注目を集めています。
新しい暗号資産プロジェクトは上場して世に知れ渡り、多くの人に利用されるには各プロジェクトが魅力的なコンテンツである必要があり、そのためには優秀な開発メンバーを雇ったり、マーケティングを積極的に行うための資金が必要となります。
その資金調達のために上場前の段階でIEOという形で人々にその暗号通貨を先行配布します。IEOに参加したい人の動機は、上場前の方がその暗号資産を安く買うことができ、上場後の値上がりによる利益を期待しているケースが多くあります。上場後に値段が上がる確約はもちろんなく、上場前に買った人々が、上場してすぐに売り逃げる傾向から、価格が下がってしまうケースも少なくありません。
IEO(イニシャルエクスチェンジオファリング)の歴史
初めのIEOは2017年12月に 世界有数の取引量を誇るBinance(バイナンス) が行いました。BInance(バイナンス)はBInance Launchpad(バイナンスローンチパッド)というIEOプラットフォームを立ち上げました。当時は、ICOが大変注目されており、IEOがあまり注目されることはありませんでした。
しかし、ICOの乱立、詐欺件数の多さから規制の厳格化やリスクを理解した一般投資家が敬遠しだすようになり、ICOに変わって2019年、IEOが急激に注目されるようになりました。
ICO(イニシャルコインオファリング)とIEO(イニシャルエクスチェンジオファリング)の違いは?
ICOとIEOはどちらも企業が独自のトークンを発行して資金調達をするという点では同じです。従来の資金調達は、銀行からの融資や株式発行などが一般的でしたが、現在はICOやIEOが新たな資金調達方法として注目されています。
暗号資産が大衆的に知られるようになった頃、暗号資産プロジェクトの資金調達方法はほとんどがICOでした。しかし2019年に入ってからICOに変わって新たにIEOという資金調達方法が台頭してきています。では、新たに登場したICOとIEOという資金調達はどのように違うのでしょうか?説明していきます。
取引所を通じて、投資家へ販売される。
暗号資産が有名になると同時に有名になったICOという資金調達ですが、このICOはトークンを発行する企業が自ら資産査定やマーケティング、仮想通貨の販売を直接行います。従来の株式発行と違い、新しい資金調達方法であるICOには法整備が追いついておらず、資金調達を行った後に行方をくらますといったいわゆる 詐欺コインが横行しています。
最近では各国の規制当局が不正取り締まりに本腰を入れて初めており、これからICOを行う企業は大きく減ると考えられ、市場は収縮する可能性が高いです。ICOに参加する投資家は本当に投資先のプロジェクトが健全にプロジェクトを進行させるのかどうかをホワイトペーパーなどの少ない情報から予想する必要があり、ICOへの参加は当たれば大きな利益となる可能性がありますがリスクがあまりにも高いという理由で最近は敬遠されることも増えているのが現状です。
このICOとは違いIEOはトークンの発行から投資家の元にトークンが行き届くまでの 仲介役として暗号資産取引所が機能します。 IEOでは、暗号資産取引所がプロジェクトの資産査定やマーケティング、投資家への販売を企業から手数料を取って行います。つまり、一般投資家にトークンが行き届く前に、取引所がそのプロジェクトを細かく調べて審査をしてくれるということです。
企業と投資家の仲介役として機能する暗号資産取引所は、そのプロジェクトが行方をくらますようなことがあれば、取引所の信頼が急激に下がり大変なことになるので、入念な審査を行うことは言うまでもありません。従来の株式発行では証券取引所や証券会社が株を発行する会社の審査を行なっており、 IEOはICOに比べてIPOに近い 資金調達方法であると言えるでしょう。
まとめると、ICOとIEOは、販売主体が違い、ICOに比べてIEOのほうが企業の雲隠れなどによる投資家リスクが少ないということです。
IEO(イニシャルエクスチェンジオファリング)のメリット
IEOは投資家、企業の双方にメリットがあります。
投資家のメリットとしては主にICOに比べてリスクが少ないことです。
企業のメリットは、有名な暗号資産取引所にIEOトークン発行を委託することで既に取引所が持つ顧客基盤にアクセスすることができマーケティングに力を入れる必要性を大きく減らすことが可能になります。
投資家のメリット
前述したように投資家にとってIEOの魅力はやはりICOに比べてリスクが少ないことです。新たなプロジェクトを始める会社がトークンを発行する際にIEOの場合は暗号資産取引所が発行主体となり、企業を客観的に審査します。暗号資産取引所が企業の内状を積極的に分析、監視することでそのトークンの信頼性が高まります。
暗号資産取引所が審査する分野は様々ですが、専門家が丁寧に調べることは一般投資家が見逃したり、手に入らない情報を元にプロジェクトを判断でき、取引所で取り上げられるIEOは取引所の審査をクリアしてリリースされるため信頼性は高いと言えます。また、ICOでは投資だけ集めた後、どこにも上場せずに持ち逃げするというケースが多くありました。上場しないまま逃げられてしまうと残ったトークンは換金することすらできないため大変な損失になります。しかし、IEOでは取引所が発行主体となるので上場しないまま行方をくらますというリスクは無くなります。
企業のメリット
一般的に注目されるIEOのメリットは投資家目線のものが多いですが、IEOには資金調達を行う企業側にも魅力的なメリットがあります。IEOは発行主体が取引所であると述べましたが、暗号資産取引所が仲介役として存在していることで複数のメリットがIEOにはあります。
トークンを発行する企業と投資家間の仲介が存在しないICOでは、ICOを行う企業が直接的に投資家にトークン販売を行うために、トークンを購入してくれる顧客を探すためのマーケティングが必要となります。また、詐欺コインなどの横行で現在、投資家からの信頼性が下がっているICOはマーケティングを行ったとしても数年前のようにトークンが簡単に売れるという状況を作ることは難しいです。
しかし、IEOの場合は有名な取引所であればあるほど既に多くの顧客を抱えており、マーケティングのための投資を減らすことが可能です。また、ICOに比べて信頼を勝ち取ることも容易であり2019年に行われたIEOは目立った物だと数十秒で億単位の投資を受けることに成功しています。
つまり、IEOは取引所にマーケティングを一任することができるために、プロジェクト構築により集中してプロジェクトを回すことができるのです。また、詐欺コインが横行したICO市場は現在、各国で法整備が着々と進んでおり、この法整備がICOの市場規模を縮小させる可能性があります。ICOに変わって注目されるようになったIEOはこれからさらに多くの企業が参入すると考えられ、優れた資金調達方法として多くの企業が意欲的に参加する市場が構築される可能性が高いです。
IEO(イニシャルエクスチェンジオファリング)のデメリット
IEOもプロジェクト失敗の危険性はもちろんある。
現在IEOは新たな資金調達方法として、前述したメリットが主に評価され多くの投資マネーが流入してきています。「取引所が発行主体となって雲隠れリスクもないから安心!」などと言って詳しい下調べを行わないままIEOに参加している人たちも多いのではないかと考えています。
しかし、上場は約束されていてもそのプロジェクトが上場後に健全にプロジェクトを進めて需要を確立していけるかどうかは別問題です。ICOでもIEOでも、結局プロジェクトが失敗して投資家が損失を被ってしまう可能性は決して低くありません。
取引所ごとのプロジェクト審査に明確な基準がない(法整備が曖昧)
IEOは取引所がトークン発行主体となるので投資資金の持ち逃げリスクはICOに比べてかなり低いと言えます。しかし、IEOだからといって絶対に価格上昇が約束されているわけではなく、実際取引所によって価格上昇率は大きく違います。
取引所ごとの価格上昇率に大きく差がついてしまっている理由は審査基準の違いなのか、もしくは取引所がインサイダー的な作用をおこおなって価格を恣意的に吊り上げているのかはわかりません。もし、インサイダー的な作用を取引所が故意に起こしていることが明るみに出ればそのトークン価格は大きく値下げしてしまうリスクがあります。しかし、株式市場などとは違い法的な規制が事細かく制定されているわけではないので現段階ではまかり通っているのかもしれませんね。
取引所によって価格上昇率が大きく違うことには理由があります。価格上昇率の高い取引所が行うIEOは人気が出るのは考えるまでもないですが、実際その価格上昇率は取引所の力で故意に挙げている可能性があるので価格が上がったところで取引所が売り払い、価格が急落する可能性があります。例えば異様に価格上昇率の高い取引所にバイナンスは、マルタと呼ばれる治外法権的な地域を本拠にしており裁くすべがありません。つまり、IEOだから安心というわけではなく、法整備が未熟な段階では投資家が自らリスクを最小限にするための努力を行い、見極める目を養わないといけないということですね。
2019年度IEO、3分の2以上がIEO割れ
(下のグラフは2019年度取引所ごとのROI(投資収益率)の推移を表しています。)
2019年前半にIEO売り出しが完了し、2019年9月時点でアクティブに取引されているトークンを調査対象としたデータによると、これに該当するトークンのうちの3分の2はIEO時に投資家が払った金額を下回っており、全プロジェクトのROI(投資収益率)の中央値は-81.4%だったようです。これはかなり驚きではないでしょうか。2019年に行われたIEOのほとんどがIEO時から価格が下がってしまっているんですね。
さらに、利益が出たプロジェクトでも価格高騰はしておらず、ROI(投資収益率)の上位3分の1のプロジェクトのROI(投資収益率)の中央値は64%しかないようです。実際ビットコイン投資よりもROIが高かったのはたった4つとされています。ビットコインに比べて信頼性が低いIEOに参加しているのに、ほとんどがビットコイン投資よりも収益率が低いなんて皮肉ですね。
取引所ごとに見ると、投資収益率が最高だったのはBinance(バイナンス)で、Binanceが行ったIEOの平均ROIは203%と飛び抜けています。なぜBinanceだけがこんなに価格上昇率が高いのかは現段階で暴くすべはなく、取引所のモラルに賭けるしかないですね。
米国証券取引委員会(SEC)が注意喚起
米国証券取引委員会(SEC)が1月14日に投資家に向けて注意喚起を行いました。
その内容としては、現在、米国内でIEOとして投資対象となっている案件の全てが、米国証券取引委員会の承認を受けておらず、中には連邦証券法に違反して実施されているものも存在している可能性が高く、信頼度が著しく欠如している上に、投資家保護の面でリスクが高いというものでした。
元々、ICOやIEOはリスクが高い投資案件であることはよく知られていますが、法に接触している案件などは特に危険度が高く、購入の際には自分自身で詳しく下調べを行うことが必要不可欠です。不正にIEOを行う側もあの手この手でリスクを少なく見せようとするのでなかなか大きな欠陥を見つけることは難しいですが…。
Binance(バイナンス)とは
今年度行われたIEOで圧倒的な人気を誇っていた取引所がこのBinanceです。取引高世界有数の取引所であるBinanceは、一番乗りでIEOの波に乗り、IEOプラットフォームのバイナンス・ローンチパッドを立ち上げています。
前述したように、BinanceでのIEOに参加した場合のROI(投資収益率)は他の取引所を圧倒しており新たなIEOが発表されるたびに大きな注目を集めています。BinanceにおけるIEOに参加するためにはBNBというBinance独自のコイン(BNB)を所有する必要があり、IEO前にはこのBNBの価格が上がる傾向が見られます。元々は中国の取引所でしたが現在はマルタ島に拠点を移しており、規制に縛られにくい取引所になっています。
取引手数料が安い
IEOの人気だけではなく、Binanceは世界有数の取引高を誇っています。その理由の1つに取引手数料の安さが挙げられます。0.15%から0.25%が多い海外取引所の手数料ですが、 Binanceは0.1%の取引手数料で取引が可能 です。また、取引手数料の支払いにBinanceコイン(BNB)を利用するとさらに割引を受けられ、無駄な手数料支払いを大きく減らすことができるのです。
取引可能通貨が多い
日本の取引所の購入可能通貨の数が少ないことは日本の取引所に登録している人はおそらく一度は感じたことがあるのではないでしょうか。このトークン良さそうだな〜と思っても登録してる日本の取引所じゃ買えない!みたいなことがあるでしょう。しかしBinanceの場合は購入可能通貨が1,000以上あり、買いたい通貨に対応していないということはほとんどなさそうです。
IEO(イニシャルエクスチェンジオファリング)まとめ
ICOに変わる新しい資金調達方法として2019年から本格的に人気となったIEOですが、もちろんICOに比べて信頼性が高く、IEOに参加して大きな利益をあげた人も少なからずいるでしょう。しかし、IEOだから安心!といったような思い込みをしてしまっている人が多くなっていることも事実で、実際データを見てみるとIEO時から価格が下がっている通貨がほとんどです。
IEOは取引所がそのプロジェクトを審査してくれ、上場は確定しています。ですから、上場するまでの信頼性は高いです。しかし、上場してしまえばICOと同じくそのプロジェクトが社会で認められて通貨価値を高めていけるかどうかは全く保障されていません。法整備が曖昧な現在はある意味、取引所の思惑で価格が操作されている可能性も高いと言えます。IEOは魅力的な投資であることには間違いありませんが、IEOだから儲けられる!といった固定観念は捨てて今一度自分の目でプロジェクトを判断して購入することをお勧めします。
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