代替モバイルネットワークが、新たな日常で生き残るために教えてくれるもの

目次
通信インフラで革命を起こす可能性
現在、新型コロナウイルスの影響で世界中の経済で混乱が巻き起こっています。そんな中、eコマースおよびオンラインリテーリングプラットフォーム、モバイルネットワークを運営する「楽天」が新事業の展開に奔走しています。
楽天は、かつてAmazonに対抗し事業展を行っていたが、失敗に終わってしまいましたが、ここ数ヶ月同社はモバイルネットワーク革命を目指し大きく前進しています。
楽天は、従来のモバイルネットワークの施設方法とは大きく異なり、Open RANとソフトウェア中心のモデルを用いたエンド・トゥー・エンドのクラウド型モバイルネットワークの実装を提唱しています。すでに、日本国内でこの新技術を用いたモバイルサービスの提供を開始しており、楽天モバイルネットワークのCTOであるタレク・アミン氏は「日本で始まる新たなサービスは、通信インフラ構築において革命を起こす可能性をひめている」と述べています。
チャンスを見つけ、捉える
楽天のアミン氏はインタビューや基調講演の中で、エンド・トゥー・エンドのクラウドネイティブネットワークの構造概念がいかに軽視されているのか頻繁に強調しています。同氏は、この構造が日本国内で実際に機能可能だということを示し、この状況を改善しようと努めてきています。現在、完璧なサービスにまだなっていないものの、この構想が実行可能であることは証明されています。
アミン氏はReliance Jio社で技術開発・自動化部門の上級副社長を務めたのち、楽天で、インド最大のグリーンフィールドLTE TDDネットワークのカバレッジ、パフォーマンス、容量の要件に対応するために、エンド・トゥー・エンドのネットワーク設計と展開を推進していました。
同氏の人工知能、リアルタイムの機械学習モデル、ビッグデータ技術を利用し、革命的アイディアを提唱し続けているため、懐疑的な投資家や技術的なことを理解していない投資家へアピールすることが難しいことが多々あります。しかし、同氏はそんな困難の中でも世間や投資家の注目を集めることに成功し、ある研究でも示されているように米国政府の関心を集めることにも成功しています。
日本のモバイル業界のリーダー的存在になるためのチャンスを見つけ出し、活用したのが「楽天」であり、この成功方法は他の分野でも活用することが可能です。実際近年では、FinTechを主導する企業も、ユニークですぐに使えるアプローチを行い、ビジネスモデルを導入しています。
「伝統的な投資とは異なり、そもそもマイクロ投資は多額の資本を必要としないため、例え投資額が少額であっても自分のポートフォリオを増やすために大きなチャンスをもたらす」と、現在の経済的課題の中でフィンテックがどのように解決策を提供するかについて、Prance Gold Holdingsの調査で明らかにされています。
楽天と同様にフィンテック企業も、AIボットや機械学習などの先進技術を活用しながら、消費者の目線を重視したビジネスモデルを確立しています。これらビジネスモデルは、アービトラージの機会を発見すると、即座に取引を開始する仕組みとなっており、トレーダーはリスクを軽減し、デジタル資産の収益性を高めることが可能です。
既存のリソースを活用しながら、コラボレーションを推進
楽天のモバイルサービスにおける新事業は、既存の事業や市場での影響力を活用しており、同社は顧客にサービスを試してもらうだけでなく、企業にもサービスを利用してもらうことが可能となりました。「楽天のエコシステムはフィンテック、eコマース、観光業などのインターネットベースのサービスから成り立っており、このようなプラットフォーム全体を構築してきた当社にとって、これは非常に注目すべきチャンスだ。コネクティビティを構築する際に、我々のエコシステムを活用することは、大きな強みとなっているでしょう。」と、アミン氏はインタビューで語っています。
楽天が日本で構築した代替モバイルネットワークをオープン性の考え方に基づき世界に展開していきたいと考えています。これはGoogleがアンドロイドを通じて、スマートフォン市場におけるアップルの支配を防いだ方法と似ています。Googleは、Googleブランドのハードウェアとソフトウェアを生産せず、代わりにソフトウェアの専門知識と豊富なウェブサービスを他社に提供し、他社のそれぞれのデバイスで利用できるようにしたのです。
楽天は、パートナーとしてNEC、シスコ、アルティオスター、インテル、ノキア、エアスパン、マベニールを挙げており、より多くの通信事業者と協働し、政府の規制当局と協力することにより、世界中で5Gネットワークを実現しようとしているのです。業界内でのこのような協力体制の構築を構築することにより楽天は、単独の5Gソリューション・プロバイダーに依存することで生じるセキュリティや独占リスクを心配だが、5Gの展開を加速させたいというジレンマに対する、優れた解決法を提供しています。
日本の安全保障・防衛政策を研究する越野結花氏は、オープンシステムとコラボレーションの考え方を支持しています。越野氏は国際戦略研究所(IISS)に執筆した研究で以下のように主張しています。「2018年初頭から、世界のモバイルネットワーク事業者、ネットワーク機器サプライヤー、ソフトウェア企業は、5Gの無線アクセスネットワーク(RAN)をよりオープンで柔軟かつ安全なものにするために、共同で業界コンソーシアムを設立している。これらのコンソーシアムは、米国が日本のパートナーと協力して先駆的な5Gソリューションを共同生産するためのビークルとしても機能している。」
BtoBのアプローチ
現在、5Gネットワークの展開は大規模な事業であり、パンデミックの影響でビジネスが最適な状態で稼働できず、地政学的な問題も絡んでいることに加え、誰もが慎重になりすぎて、斬新なビジネスアイデアがでないため大きな前進は見られていません。
楽天のモバイルビジネスに対する懐疑的な意見はあるものの、楽天-シスコによるインフォテインメント・ビデオの中で、業界の疑念を引用しながら、同社が他の通信業界のプレーヤーとどのように連携してこれらの課題に対処しているかを説明しています。現在、楽天は日本で4番目に大きなモバイルネットワークとしての地位を確立しており、この新しい無線通信技術の支配的なプレーヤーに頼ることなく、5Gの展開に向けて準備を整えています。
LightReadingが公開した研究で引用された匿名のソースは「楽天は新しい事業者と会い、同社のもつ考えとエコシステムを提供し、顧客を助けることができると伝えたいと思っている。彼らにとってそれはもはや、BtoBの取引なのだ」と語っています。楽天が取っているBtoBのアプローチはコラボレーションの考え方に沿って、企業はイノベーションを展開する上で参考にできる面が多くありあります。消費者に直接商品やサービスを提供することが難しい場合、他の事業者と協力することも困難でしょう。
代替品を提供することの本質
新型コロナウイルス感染対策に伴い、デジタル化は加速しています。それは挑戦的なことですが、企業にとっては、画期的なソリューションを導入する機会を生み出し、企業がターゲットとする分野やニッチでリーダーとなるチャンスを生み出します。新しい日常の一部となるためには、創意工夫、機知、リスクテイクの姿勢が必要であり、それらは最終的には消費者にとってのより良い選択肢と、果敢なビジネスの成功をもたらすことなります。
イメージ: Pixabay.com
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