【イノベーション】エッジコンピューティング(MEC)が次の技術トレンド?

香港騒動、新型コロナウイルス拡大で他のニュースが蔑ろにされている感がある今年のお盆ですが、個人的に注目すべき技術的なニュースが飛び込んできました。
今回は簡単に"次の技術"の説明と暗号資産への展望を簡単に、手軽に考察したいと思います。
IBMとベライゾン、5Gやエッジコンピューティング活用のソリューションで連携へ
IBMとVerizon Businessは米国時間7月15日、産業分野向けの5G活用IoT技術やエッジコンピューティングにフォーカスした新たな提携を発表した。Industry 4.0の未来の実現を促すとしている。この計画は、Verizonの5Gおよびマルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)機能と、IoTデバイス、センサーとともに、IBMの人工知能(AI)やハイブリッドマルチクラウド、エッジコンピューティング、アセットマネジメント、コネクテッドオペレーションといったテクノロジーを活用するというものだ。
2020/7/17 ZDNet Jpan IBMとベライゾン、5Gやエッジコンピューティング活用のソリューションで連携へ より
そもそもMECって?
初見では"?"ばかりの記事かも知れませんが、このMECは5G普及の大きなカギを握るものとされています。
個人的には世界で圧倒的なテクノロジー企業群であるGAFAMに後塵を拝しているIBMですが、ワトソンという強力なAIを保有しており、医療サービスにも領域を拡大するなど、ポテンシャルは現状の株価に対して非常に高いと考えています。(投資は自己責任でお願いします)
そんなIBMとアメリカの通信大手Verizon(日本におけるau的なイメージです)が上記報道のようにタッグを組んだ訳ですね。
この図は概念図を筆者が簡単にサマリーしたもので、MECとは"この図の通り"です(苦笑)
MECとはマルチ・アクセスエッジコンピューティングの略で、5Gによる大容量・超高速の通信をサポートするもので、クラウドコンピューティングの機能をより強化する通信技術です。
従来のクラウドコンピューティングだと5G時代においては2つの大きな技術的課題がありました。(法的課題はここでは割愛します)
①クラウドの物理的ネットワーク距離による速度の遅延
②クラウドの処理負担による速度の遅延
この2つは大容量・超高速の5G時代における自動車の自動運転や遠隔医療サービスを行う上で必ずクリアしなければならない課題と言われてきました。
①についてはいくら光回線が普及したというものの、距離が遠くなればなるほど、データのやり取りにある程度時間がかかってしまうという問題を指します。
②は容量が大きくなればなるほど、クラウドからユーザーに圧縮されたデータをやり取りする速度が遅くなるという問題を指します。
自動運転や遠隔医療が普及する以前にトラフィックデータが毎回遅延してしまうと大事故になりかねませんから、①と②の問題はイメージしやすいと思います。
その①と②の問題を解決する一つのソリューションがMECという訳ですね。
MECはクラウドからユーザーに至るまでの間にエッジサーバと呼ばれるサーバを設置し処理の一部をエッジサーバで行うことにより、データ量の問題と移送距離の問題を軽減しようというコンセプトです。
日本企業も投資を進めており、新型コロナウイルスが落ち着いた頃には徐々に報道が増えていくものと思われます。
MECを巡る争い

非常に簡単にMECを説明しましたが 既に覇権争いが世界中で起きており、大企業同士の業務提携やスタートアップ企業が勃興する群雄割拠の状態 と言っても差し支え無いでしょう。
アメリカでは先ほどのVerizonとamazonがタッグを組んだり、AT&T(日本におけるdocomo的なイメージ)とマイクロソフトがタッグを組んだり、またAkamaiや米国株クラスタで人気のFastlyといった新興企業、スタートアップも売り上げを拡大していっています。
一方の日本ではdocomoがオープンイノベーションクラウドと称し、5Gサービスを行う企業に向け、提携を拡大させ、内製のMECを提供しています。
auではAmazonのAWS(Amazon Web Services)と提携してMECを提供しています。
また意外にも楽天は楽天モバイルのサービス開始とリンクさせ、全国4,000か所の基地局にMEC用のサーバーを設置し、制御機能部を仮想化することに成功し、ダークホースとも言われています。
日本企業は基礎研究を現時点では継続して行われていることから、中国、アメリカ、欧州と比べて"周回遅れ"という状況ではなくまだ戦えている状況です。
どうせなら暗号資産もそうですが、保有しているポテンシャルを活かしてほしいものです。
全てが"つながる"世界へ

なんだか小難しい話だったかもしれませんが、人類史で見ても、現在は産業革命の新しいフェーズなんだということをご理解頂ければ良いかと思います。
第一次産業革命(18世紀)⇒石炭による軽工業の産業発展
第二次産業革命(19世紀)⇒石油による重工業の産業発展
第三次産業革命(20世紀)⇒機械による産業の自動化/大量生産化
第四次産業革命(21世紀)⇒ITによる産業の高度化/自動化
現在は第四次産業革命のフェーズで、この10年だけでもスマートフォンや人工知能、そして暗号資産と革新的な技術が社会に浸透していっています。
私たちはその技術発展の恩恵を受けることができ、この技術発展から背を向けることは同時に経済的には大きな打撃を受けるということと同義と見なされてしまいます。
IT化が進む社会では、モノやサービスをつくって提供するだけでは競争に勝つことができず、ビッグデータなどを駆使し、販売後のサービスやマーケティング、コンサルティングに取り組む必要性が出てきました。
一企業でこのような一気通貫したビジネスを展開することが中々難しいことから、「多対多」、または「1対多」といった協業・提携がどんどんと浸透していくと思われます。
この流れを見越して今回のMECの報道を読み解くと色々と想像力が豊かになっていきますね。
企業でも「多対多」、または「1対多」、つまりP2P(ピアトゥーピア)の流れが加速していくというのは暗号資産にとっても大きな追い風となります。
P2Pはクライアント同士が繋がり処理を行うコンセプト。
「多対多」、または「1対多」が広がると特定のシステムではつながることができません。
世界中、どこでもいつでも同じようにアクセスでき処理ができる仕組みというものはP2P化した世界においてマストの条件となります。
既存のシステムでは煩雑、手間がかかる、特定の企業に依存する、、、
これらのデメリットをカバーする暗号資産はIT技術の進展に必要不可欠なものとなっていきます。
暗号資産の代名詞・ビットコインかスマートコントラクト機能を有したイーサリアム、送金に特化したリップル等、どれが生き残るかは分かりませんが、暗号資産の技術というものはこれからも間違いなくこの世の中に広がっていきます。
ミクロを極めるのも大切ですが、時にはこのようなマクロのうねりを理解するというのも大きな武器になると思う今日この頃です。
以上、金崎明人がお送り致しました。
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東証一部上場企業で会社員として働くも、趣味の業界であるため、ストレスフリーで過ごす。 ファンダメンタル分析をベースに長年相場で戦い、経済的なストレスからも解放され、ストレスフリー。市場平均は常に超えてます。 社畜を軽蔑していることからか、辛口コメントなのがタマにキズ。
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