【時代はブロック化?】米国経済制裁で中国ハイテク株が好調

残暑、いや酷暑の中、皆さま如何お過ごしでしょうか?
中国とアメリカの熱戦も中国側が今のところは譲歩してピーク時よりは沈静化していますが、アメリカはやる気満々のようですね。
本日は意外な影響を与えたニュースをシェアしたいと思います。
中国ハイテク企業株が人気 米制裁で調達現地化に期待
米国が中国ハイテク企業への締め付けを強める中、中国の政府機関や国有企業はコンピューター・ネットワークで利用する米国製品を自国製品に切り替える努力を進めている。このため投資家の間では中国ハイテク企業株が有望視され、株価が上昇している。
2020/8/20 ロイター通信電子版
通常のシナリオ分析

通常のシナリオ分析では、ミクロではWithコロナの半導体需要や通信のトラフィックが増大していることからハイテク銘柄には追い風。
マクロではITを牛耳っているアメリカの経済制裁で中国のハイテク企業は打撃を受ける。
というものです。
このニュースで詳細はレポートされていますが、現時点では中国が国家総動員でアメリカに対抗するため自国産製品に置き換わる⇒買い となったようです。
株式相場は各国のリスク許容度の国民性が出るものなので、強気になった時の中国相場の勢いというはイケイケです。
今は中国政府もアメリカに対抗する準備を整えているので、買い手もその勢いを信じ、買っているようです。
また中国は日本以上に官製相場なので「景気は大丈夫だ」というメッセージを発するための"買い"も入っているとは思われますが、そこまでアメリカの経済制裁に悲観的になっていないのは正直、驚かされました。
今後広がる米中新冷戦

習近平政権以降、「経済成長すれば民主主義や自由化が進むだろう」という欧米諸国の甘い期待は見事に打ち破られ、アメリカと"世界の覇権国家"の地位を争うまでになりました。
日本とは2010年にGDPが逆転されてから今では倍以上の差を付けられています(苦笑)
IT化も進まない日本、いや変化を受け入れない国民とその代議士(政治家)なのでこの長期の停滞はむしろ、国民の「変わらないで欲しい」という潜在的な希望の表れなのかもしれません。
ただ、残念ながらアメリカと中国の新冷戦の舞台は間違いなく東アジア。
歴史は繰り返すもので、75年前、アジアの覇権をかけてアメリカと戦った国は、そう、大日本帝国。
大日本帝国はアメリカに完膚なきまでに破壊され、一度は連合国に占領され、日本国に生まれ変わりました。
アメリカは建国、そして第一次世界大戦後、英国に代わって世界の覇権国になって以降、アメリカに対抗する国や組織は悉くありとあらゆる手を使って叩きのめされてきました。
ドイツや日本しかり、超大国ソ連も敗北してきました。
次の相手は間違いなく中国。
そして、世界中の予想を裏切って、あの香港までも返還時の取り決めを破り、事実上の共産党の支配下になってしまったことが導火線となったように思われます。
地政学的にリスクのない欧州は未だに経済的利益を優先しているようですが、アメリカ、英国、オーストラリア、ニュージーランド、カナダの「ファイブアイズ」は明らかに経済的利益を超え、中国をどうにかしないと大変なことになると強い危機感を抱いています。
地政学的に韓国、台湾、日本、フィリピン、ベトナムが中国とアメリカの覇権争いに巻き込まれますが、日本や韓国はアメリカと中国のヒトモノカネの往来が制限された際に、「ハブ」としての役割を果たすことができ、日本の経済再生もここが一つのヒントになるのではと私は考えています。
何事もぶれない軸を持ちながら柔軟に

時代の流れに逆らうというものほど、無謀なものはありません。
アメリカの大統領選でバイデン氏が勝利したとしても、最近の対中法案は民主党も共和党も協力していることから、温度差はあれど、対立は継続します。
残念ながら、ヒトモノカネが世界中自由に旅することができたグローバル化というのは一旦、進展が緩やかになるでしょう。
これからはアメリカグループ、中国・ロシアグループ、その他 の3~4極に世界がブロック化されるでしょう。
こう書くと私の大好きな機動戦士ガンダム00の世界観そっくりですが、10年以上前にこのような世界になると予想したシナリオライターは相当地政学のセンスがあると思われます(笑)
グローバル化で世界中が発展する!という価値観をお持ちの方がいるとは思いますが、今後は超大国のいざこざを想定しておかなければなりません。
ぶれない軸、と書くと信念があるように見えますが、一方で時代の流れに逆らい、昔の価値観やそのやり方に固執していると、時代から取り残されてしまいます。
必要なことは謙虚に世の中の流れを知ろうとする姿勢と「無知の知」かもしれませんね。
以上、金崎明人がお送り致しました。
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東証一部上場企業で会社員として働くも、趣味の業界であるため、ストレスフリーで過ごす。 ファンダメンタル分析をベースに長年相場で戦い、経済的なストレスからも解放され、ストレスフリー。市場平均は常に超えてます。 社畜を軽蔑していることからか、辛口コメントなのがタマにキズ。
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