【進撃のガースー】携帯料金の下げ指示は圧力?

歴代最長となった安倍政権が終わり、菅政権になりましたね。
メンバー的にも実務者が多いのでどうなっていくか楽しみです。(あくまで個人的見解です)
首相、携帯料金の下げ指示 総務相、大幅減額に意欲
菅義偉首相は18日、武田良太総務相と官邸で会い、携帯電話料金の引き下げに向けた検討を進めるよう指示した。武田氏が会談後、記者団に明らかにした。武田氏は「国民の生活と直結する問題なので、できるだけ早く結論を出すよう全力で臨んでいきたい」と強調。「1割とかいう程度では改革にならない」として、大幅な引き下げに意欲を示した。
2020/9/18 共同通信 首相、携帯料金の下げ指示 総務相、大幅減額に意欲 より
以前からロックオンしていた携帯利用料金

この菅首相の意向を受け、世の中の投資家達はNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの株を売りに走りました。
市場というものは残酷なもので、容赦なくビジネス環境が変わるとみなされたものは、切り捨てられる世界です。特にドコモはドコモ口座を悪用した不正出金の対応の不手際もあり、今後やり玉に挙げられると思われます。
全世帯の80%近くが携帯電話を持ち、現役世代に至ってはほぼ誰でもスマートフォンやタブレットを持つ時代。
世帯で見ると月1~2万円の携帯代料金は家計の負担になっているという指摘はもっともです。
また、大容量プランの金額では世界の主要都市で最も値段が高いなど、「寡占に胡坐をかいている」と見なされている感は否めません。
人によっては民業に政府が値下げ圧力をかけるのは中国と変わらない、社会主義だ!と沸騰してしまう人がいますがこの件は冷静に素因数分解していくと一定の合理性が見えてくる事象であると言えます。
公共財という概念

公共財とはその名の通り、多くの人と共有する財産のことです。
供給されるものが仕組み上、全員に行きわたり、特定の人を除外できないサービスや財産を指します。
具体的には道路(有料道路を除く)、公園、消防、警察、国防、水、環境が良い例かと思います。
市場原理は公共財に関しては機能しにくいため、公共財は非市場的(=政府や自治体の介入)に供給されます。
かつては鉄道や電話、電力、ガスも公共財と見なされて来ましたが、「独占による非効率、質の劣化」と「科学技術の発達」により、民営化が進められてきました。
民営化の最先端は英国ですが、日本でも中曽根政権や小泉政権で思い切った民営化が進められてきました。
確かに民間の資本やノウハウを注入することで効率的に、より低コストでサービスを提供できるのですが、民営化がすべてのサービスに適用できないのは、この公共財の性質があるからです。
例えば、消防や警察を民営化したらどうなるでしょうか?
人の命の平等よりも「お金の多寡」が優先されると思わないでしょうか?
そうしたことから、公共性が高いものは特定の行政の管理下であったり、強い監督権が与えられている訳です。
携帯電話サービスも公共性を帯びている

話を戻すと、携帯電話サービスというのは電波という目には見えない国民共通の財産を利用し成り立っています。
電気・ガス・通信といったものは公共性が高いことから、総務省や経済産業省といった行政の介入が切っては切れないものになっており、完全に「市場原理」で動いている世界ではないことを前提にすべきです。
通信各社は電波利用料というものを一応は払っているものの、その料金がビジネスの規模の割に少なすぎるという批判は以前からありました。
携帯電話サービスは公共性を帯びていることから、総務省のラインセンスが必要=一定の行政の関与を受けるというのは大前提としてあり、株式上場はしているものも、大株主が国(財務大臣等)や地方自治体であるパターンが大半です。
国民への"人気取り"としての民業圧迫は総バッシングすべきですが、正当な対価を支払わず、高収益、高配当、高財務の状態を維持していると、行政側から「待った」という意見が出てくるのも一定の合理性が導き出せる訳です。
何かしら投資をしたいと思っても、そのサービスの性質を理解しておかないと、今回のような政治のプレッシャーに必要以上に翻弄されることになりかねませんね。
ただ、今回の新政権はデジタル化に本腰を入れると期待されているので、暗号資産にも総じてポジティブであることを切に祈っています。
以上、金崎明人がお送り致しました。
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東証一部上場企業で会社員として働くも、趣味の業界であるため、ストレスフリーで過ごす。 ファンダメンタル分析をベースに長年相場で戦い、経済的なストレスからも解放され、ストレスフリー。市場平均は常に超えてます。 社畜を軽蔑していることからか、辛口コメントなのがタマにキズ。
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