ブロックチェーンプロジェクトの実態経済への進出【Cardano Community SPO JAPAN GUILD寄稿】

皆様こんにちは!
SPO Japan GuildのKUNI(@leon_stake_pool)です。
仮想通貨相場が再び著しく冷え込んできている昨今ですが、こんな時だからこそこれからのブロックチェーン業界、そしてCardano(ADA)の今後のプロダクトとしての展望をお伝えしていきたいと思います。
目次
仮想通貨市場の下落
4月時の各コインのピークからの下落一覧(6月23日時点)
CoinMarcketCap 2.5兆ドル ⇒ 1.3兆ドル 50%下落
現在の各ブロックチェーンプロジェクトは、残念ながら実態経済の中で実装されているプロダクトが殆どない状況である。
それが故に、一部の国の社会情勢や、業界のネガティブ報道、インフルエンサーのツイート等で相場が激しく上下してしまっているのが現状だ。
今回の変動要因としては中国政府による自国のビットコインマイニング、及び取引禁止が大きく影響したものと考えられる。こうした激しい変動をなくしていく上でも、ブロックチェーン開発の進行により、プロダクトが実体経済へいかに浸透していくかが今後の重要なポイントであると考えている。
そして今まさにその大変革が起ころうとしている渦中であると筆者は見ている。
社会実装に向けた課題(スケーリング、手数料)
プロダクトの開発が進んではいるが課題もある。それはスケーリングと手数料の問題だ。
ブロックチェーンが抱えている問題として、ネットワーク上のトランザクション(処理数)が増えた際の遅延や未決済の問題が取りざたされている。
特にEthereumに関してはガス代(手数料)問題を度々見かけることがある。トークン売買取引だけの問題に留まらず、分散型アプリケーションを搭載した際のスマートコントラクトと呼ばれる処理を行う際に同様の問題を引き起こす。これはアプリケーション機能が満足に運用できないことを意味し、実態経済で運用を行う際には致命的である。
企業がブロックチェーンを採用する為にはコストと安定性は欠かすことができない。日本においても、ハイパーレジャーと呼ばれるコンソーシアム型(Ethereumベース)のブロックチェーンネットワークサービスを耳にすることはある。しかし、結局はこの課題をクリアできなければいつまでたっても実証実験止まりである。
この話は以前よりクリプト業界の中で話題にはなれども、見て見ぬふりをされがちである。しかし、それで済むのはトークン界隈(DeFi)止まりであり、実体経済との親和性は決して生み出せないので、この点はあらためて強調しておきたい。
ここを抜けられない限りは、冒頭の不安定な相場は何度でも繰り返えされるだろう。またブロックチェーンに関する法体系のポジティブな変更も進まないと見ている。
カルダノ(Cardano) 解決するスケーリング問題
カルダノは現時点においても1万TPSと高いトランザクション処理能力がある。これに加えHydra(ヒドラ)と呼ばれるアップグレードを今後控えており、実現すれば100万TPSにまで処理能力を引き上げることができる。これはクレジットカードの決済スピードよりも早い処理能力となる。
また、ブロックチェーンを構成するノードが増える程、処理能力(TPS)が向上する為、結果としてノードの分散化にも繋がり、更なるセキュリティーの向上にも寄与する(すでに世界で2,500以上のプール数が稼働している)。
加えて処理コスト(トランザクションコスト)も安価であり約0.15ADA程度であり、これは6月25日時点のガス代が相当落ち着いている時のETH手数料と比較して1/10のコストである。このようにカルダノは実社会への普及に向けた要件を着実にクリアする為に長い歳月を費やしてきたのである。前回寄稿させていただいた、エチオピアでのデジタルアイデンティティーソリューションであるAtalaPLISMクラスの国家バックエンドインフラスケールのソリューションを動かすことを可能としている。
そして、その強固な基盤の上にERC-20コンバーターが実装され、待望のスマートコントラクトが9月に実装予定となっている。
(2) Cardano360 Mini – May 2021 Edition – YouTube
カルダノ(Cardano)プラットフォームに集うプロジェクト達
SingularityNet
EthereumからCardanoのブロックチェーンへつい先日切り換えたプロジェクトがある。このプロジェクトは世界通信大手の巨人Ciscoと提携をしており、先日ドバイで開催された世界有数の先端テクノロジーコンペティションである『AIBC』のブロックチェーン分野において、3部門ノミネート、そのうち2部門で最優優秀賞を受賞している世界最注目のプロジェクトである。
当プロジェクトはブロックチェーンを利用した汎用型AIを開発するプロジェクトである。現在普及しているAIは特化型AIであり、1つの目的のみに機能するもので、人間の脳のようなマルチ処理の機能は実現できない。これを実現させてしまうのが汎用型AI(AGI)であり、社会実装面において飛躍的な技術革新をもたらす。
当プロジェクトのCEOであるBenGerzelは言う。
『アマゾン、google、アップルのような大衆が利用するグローバルプラットフォームの要件として、スケーリングと低い手数料は必ず必要となる。そしてカルダノにはそれがある。』
彼らもカルダノと同じくエチオピアにオフィスを構えており、エチオピアのカルダノプロジェクト上でAIソリューションの展開が近日公開されるものと見ている。彼らもまた国家スケールのバックエンドインフラの一部を目指している。
When Charles (and Ben) met Grace – YouTube
WorldMobile
カルダノと同じくアフリカで展開しているプロジェクトである。
カルダノがエチオピア政府とパートナーシップ契約を結び、ブロックチェーンを用いたデジタルアイデンティティーソリューションAtaraPRISMから始まり、金融包摂に向けたプロジェクトが着実に進捗している。しかし、このプロジェクトには重要な課題が残っている。それはインターネット環境である。
いくらアフリカの人々がデジタルネイティブな若者が多く、スマホ普及率が高いとは言え、インターネット回線がなければ当然それらは機能しない。郊外にいけば、道路も舗装されていない、電気や水道インフラも満足に整備されていないエリアは膨大にある。
このエリアに対し、インターネットインフラ事業者は通信インフラ設置へ向け何度かトライアルを行ってきた。しかし、マネタイズが成立しないが故に断念してきた過去がある。そして、通信隔絶地帯は長い間放置され続けてきた。そんな中、この状況を【ブロックチェーン】【ステーキング経済】を組み合わせたマイクロエコノミックモデルを用いて、この難題を打破しようとするプロジェクトがある。そう、それがWorldMobileである。
彼らはタンザニアの人々を開放する。
https://www.youtube.com/watch?v=MhIYXIMJNno
これらのプロジェクトはほんの序章に過ぎない。
カルダノブロックチェーン上で稼働する同様のプロジェクトが既に続々と現れている。次回寄稿時にはどのようなプロジェクトが、またどれだけ凄まじい勢いで集まってきているかについてふれていきたい。
(文・画像)
LEON Stake Pool オペレーター KUNI(@leon_stake_pool)