ドイツ最大手のドイツ銀行が、ビットコインなどの暗号資産を法人・機関投資家向けに保管するサービスを開始する見通しです。さらに2027年にはアジアへの展開も計画しています。
これまで暗号資産の保管先といえば取引所やハードウェアウォレットが中心でしたが、世界の大手銀行が本格参入することで、その常識が変わるかもしれません。日本でも同様の変化が起きた場合、国内取引所の立場はどうなるのでしょうか。これを独自のジャーナリズムで解説します。

ドイツ銀行、暗号資産カストディを開始へ──2027年にはアジア展開(2026年10月18日)
CoinDeskは2026年10月18日、ドイツ銀行が数週間以内にドイツ国内で暗号資産のカストディサービスを開始し、2027年にはアジアの金融拠点へ展開する計画だと報じました。
カストディとは、顧客に代わって資産を保管・管理するサービスです。ドイツ銀行は法人や機関投資家を対象に、ビットコイン(BTC)、イーサリアム(ETH)などの暗号資産を保管し、秘密鍵やウォレットの管理を担います。
当初はUSDC、EURC、EURAUなどのステーブルコインも対象となる計画です。今後はステーブルコインの換金、トークン化預金、デジタル債券などのブロックチェーン関連サービスも拡充する方針です。
ドイツ銀行は暗号資産インフラ企業のTaurusなどと協力しており、2026年10月にはドイツの金融監督当局BaFinからMiCAに基づく認可を受けたと報じられています。
世界の大手銀行が、暗号資産の売買だけでなく、資産の保管そのものを新しい金融サービスとして取り込み始めています。
銀行が暗号資産を保管する時代──国内取引所の役割が変わる
ドイツ銀行が法人向けのビットコイン保管サービスを開始します。
昨今のウォレットのトラブルやハッキング被害を受け、本当に安心してデジタル資産を管理できる場所を市場は探しておりました。
そこに登場するのが、伝統的な金融機関である銀行です。
私は以前から、銀行や証券会社が暗号資産の保管業務へ参入することで、仮想通貨取引所の役割は大きく変わると考えております。
なぜ、仮想通貨取引所は金融機関になれなかったのでしょうか。
もちろん、暗号資産交換業者も金融規制の対象となる事業者です。しかし、銀行とは免許制度や事業範囲、資本規制、顧客からの信用力が異なります。
日本だけの話ではありません。世界中で伝統的金融機関がデジタル資産の領域を拡大させております。
では、近未来の日本では何が起きるのでしょうか。
まず、法人による暗号資産の保管需要は確実に存在すると考えております。日本でも2028年以降、銀行や証券会社によるデジタル資産の保管サービスが本格化する可能性があります。
現時点でも国内取引所は顧客の暗号資産を保管しています。しかし、顧客が安心して資産を任せられるかという点では、技術力だけでなく、金融機関としての規模や信用力も判断材料になります。
例えば、国内の暗号資産交換業者が預かる顧客資産は業界全体で数兆円規模です。一方、三菱UFJフィナンシャル・グループの預金残高は数百兆円規模に達します。
もちろん、暗号資産の預託残高と銀行の預金残高は性質が異なり、単純に安全性を比較できる数字ではありません。しかし、顧客が金融機関の信用力を判断する際、規模の違いは大きな印象を与えます。
一般の利用者が秘密鍵の管理技術やブロックチェーンの安全性を詳細に評価することは簡単ではありません。そのため、銀行というブランドや既存の取引関係を重視する法人も多いでしょう。
銀行が暗号資産の保管に参入した場合、国内取引所から銀行へ資産を移す動きが生まれる可能性があります。
大手銀行が既存の法人顧客から大量の暗号資産を受託できれば、参入から短期間で大きな預かり残高を獲得することも考えられます。
これは国内取引所にとって、単純な競争相手の増加ではありません。これまで取引所が担ってきた資産保管という役割そのものが変わる可能性があります。
一方で、取引所の技術や運営ノウハウが不要になるわけではありません。銀行が顧客との窓口や信用力を担い、取引所や専門企業が売買・流動性・技術インフラを支える関係へ変化することも考えられます。
私は、今後の仮想通貨取引所は銀行業務をサポートする立場へ移っていく可能性があると考えております。
大きな業界変動が起きるかもしれません。市場からしばらく離れていた方も、資産管理の方法を見直し始めましょう。
銀行の暗号資産参入に備える──資産の保管先を見直そう
私はハッキング事件が増える以前から、銀行や証券会社が暗号資産の保管業務に参入した場合、一部の資産を伝統的金融機関へ移すことを検討した方が良いと推奨してきました。
いよいよ、その選択肢が現実になり始めています。
ただし、銀行だから必ず安全というわけではありません。暗号資産の分別管理、秘密鍵の保護、補償条件、出庫制限などはサービスごとに確認する必要があります。また、銀行預金と暗号資産カストディでは、顧客資産を保護する仕組みも異なります。
重要なのは、一つの保管方法に依存しないことです。取引所、自己管理ウォレット、将来の銀行カストディなど、それぞれの特徴を理解し、保管先を分散することも検討しましょう。
作業が面倒だからと後回しにせず、今のうちから資産管理の見直しを進めておきましょう。
ニュースは、必ずしもすべてが正確とは限りません。 また、誰が発言しているかによって、同じ事実でも意味は大きく変わります。 そもそもニュースは、出来事の「一部」しか切り取って発信されないものです。
だからこそ、ニュースだけを材料に未来を断定すると、判断を誤りやすくなります。 ただし、ニュースそのものが無価値なのではありません。 読み手が、まだ読み方を知らないだけです。
無知は無能ではありません。 ニュースの構造や背景を意識して読み解く練習を重ねれば、誰でも「今の情報」から「これから起きる流れ」を捉えられるようになります。 このメディアでは、そのための視点と考え方を伝えていきます。