仮想通貨で一攫千金の時代は終わった──a16zが示す次の投資戦略

暗号資産業界を代表するベンチャーキャピタル「a16z Crypto」が、名称を「a16z Frontier」に変更し、AIなどの先端技術へ投資対象を拡大しました。

これを暗号資産市場からの撤退と受け取る声もあります。しかし、私は全く逆の評価をしております。これは暗号資産が見限られたのではなく、産業として成熟したことを示す動きではないでしょうか。投資家は今、何を評価すべきなのか。これを独自のジャーナリズムで解説します。

伊藤健次
伊藤健次
このニュース、 伊藤が解説します。

a16z Cryptoが「a16z Frontier」に改称──AIなど先端技術へ投資拡大(2026年10月27日)

米ベンチャーキャピタルのアンドリーセン・ホロウィッツ(a16z)は10月22日、暗号資産投資部門「a16z Crypto」を「a16z Frontier」に改称すると発表しました。新たな投資対象には、AIを活用した製品・サービス、自律型機械、医療・バイオ技術、人間とAIエージェントを結ぶネットワークなどが含まれます。

同部門を率いるクリス・ディクソン氏は、ブロックチェーンの普及によって金融機関やフィンテック企業も関連技術を活用するようになり、「暗号資産企業」という分類の重要性が薄れているとの見方を示しました。

一方、a16zは暗号資産関連への投資を継続すると明言しています。ステーブルコインを決済基盤として活用するほか、AIエージェント同士の取引を支える技術として、ブロックチェーンの重要性を評価しています。

今回の変更は暗号資産事業からの撤退ではなく、新たなファンドの投資領域を広げるものです。ただし、今後の投資資金が暗号資産分野にどの程度配分されるかは明らかになっていません。

仮想通貨は終わったのではない──VCが次の技術へ向かう本当の理由

仮想通貨市場の盛り上がりには、クジラと呼ばれる大口投資家の存在が欠かせませんでした。

初期のビットコイン保有者から、取引所創業者、トレーダー、KOLへと資金の保有者が広がる中、安定して大きな影響力を持ち続けてきたのが仮想通貨専門のベンチャーキャピタルです。

その代表格がa16z Cryptoです。

今回、同部門がa16z Frontierへ名称を変更し、投資対象をAIなどの先端技術へ広げたことで、「仮想通貨は終わりだ」「アルトコインは終わりだ」という見方も出ています。

しかし、私は全く逆の評価をしております。

仮想通貨・ブロックチェーンが産業として確立したからこそ、VCは次のステージへ向かったということです。

多くの投資家が誤解しているのは、仮想通貨が今も新興の挑戦者であるという認識です。

現在の暗号資産は、伝統的金融機関も参入し、既得権益も生まれている大きな産業です。もはや、数人のベンチャー企業が新しい仮想通貨を立ち上げるだけで、世の中を変えられるような段階ではないと考えております。

もちろん、新しい技術やプロジェクトが生まれる余地はあります。しかし、仮想通貨業界では約10年にわたり、数多くの企業やプロジェクトが参入と撤退を繰り返してきました。

その結果、どのような仕組みに需要があり、何が事業として成立するのかについて、一定の答えが見えてきたと考えております。

私は、今後の成長余地が大きい技術領域として、AIや自律型機械などに注目しております。a16zが投資対象を広げたことも、こうした技術革新の流れを反映したものと捉えています。

これは、仮想通貨が見限られたという話ではありません。

むしろ、仮想通貨が真っ当な評価を受ける産業となり、初期段階のプロジェクトを育てるVCの役割が変化してきたということです。

ただし、今回の発表だけで暗号資産へのVC投資が終わったと判断することはできません。a16z自身も投資継続を明言しています。

私が投資家として重視したいのは、今後、未知のアルトコインが次々と急騰する未来を期待するよりも、すでに市場で実績を持つプロジェクトの成長に注目することです。

新しい仮想通貨が世界を変える可能性を否定するつもりはありません。しかし、以前と比べれば、そのような成功例を見つけることは難しくなっていると考えております。

仮想通貨は、夢を買う市場から、事業の成長を評価する市場へ変わりつつあります。

一攫千金のアルトコイン投資は卒業──これからは事業の成長を評価しよう

仮想通貨を一攫千金の選択肢として捉えていると、投資判断を誤る可能性があります。

私が考える、仮想通貨に投資するだけで大きな利益を期待できた時代は、すでに5年以上前の話です。

現在は、暗号資産も通常の企業活動や金融サービスと結び付いた産業になっております。

これからは、新しいトークンが発行されたという理由だけで期待するのではなく、実際の利用者数、収益構造、競争優位性、トークンに価値が還元される仕組みなどを評価する必要があります。

既存のプロジェクトであっても、事業の成長が必ずトークン価格の上昇につながるわけではありません。そこまで確認することが重要です。

運任せの投資から卒業し、正しい知識と情報をもとに、成長する事業を見極めていきましょう。

ニュースは、必ずしもすべてが正確とは限りません。 また、誰が発言しているかによって、同じ事実でも意味は大きく変わります。 そもそもニュースは、出来事の「一部」しか切り取って発信されないものです。

だからこそ、ニュースだけを材料に未来を断定すると、判断を誤りやすくなります。 ただし、ニュースそのものが無価値なのではありません。 読み手が、まだ読み方を知らないだけです。

無知は無能ではありません。 ニュースの構造や背景を意識して読み解く練習を重ねれば、誰でも「今の情報」から「これから起きる流れ」を捉えられるようになります。 このメディアでは、そのための視点と考え方を伝えていきます。

この記事を書いた人

伊藤健次

日本最大級の暗号通貨サイト【COIN OTAKU】編集長 1984年生まれ 静岡県出身 慶應義塾大学 大学院 経営管理研究科 ヘルスケアポリシー&マネジメント集中コース終了 株式会社ソクラテス 代表取締役 / 国内企業暗号資産事業顧問 / 暗号資産取引所アドバイザー / 暗号資産投資アナリスト / Fintechコンサルタント / 暗号資産非公式アーティスト /YouTuber テレビ東京WBS出演 テレビ東京モーニングサテライト出演 NHKおはよう日本出演 BS11 真相解説 仮想通貨NEWS!出演 その他各メディア取材、出演

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