1兆円ハッキングでも出金はわずか2.1%──なぜ投資家はBinanceを信じるのか

史上最大級のハッキング被害を受けたBinanceが、暗号資産の出金を再開しました。再開後9時間半で約5,700億円が純流出しましたが、これは預かり資産全体のわずか2.1%です。

巨額の被害が発生したにもかかわらず、なぜ多くの利用者は資産を残しているのでしょうか。今回の事件から、金融機関の信用を決める新たな基準が見えてきました。これを独自のジャーナリズムで解説します。

伊藤健次
伊藤健次
このニュース、 伊藤が解説します。

Binance出金再開、9時間半で約5,700億円流出──預かり資産の2.1%(2026年11月2日)

暗号資産取引所Binanceは、10月29日に発生した大規模ハッキング事件を受けて停止していた出金サービスを、11月1日から段階的に再開しました。

再開から約9時間半で出金額は約46億4,900万ドル、入金額は約10億1,000万ドルとなり、差し引き約36億4,000万ドル(約5,700億円)が純流出しました。これは10月28日時点の預かり資産約1,710億ドルの2.1%に相当します。

Binanceは出金の急増が落ち着きつつあると説明。第1弾となる15ネットワーク・銘柄の出金を再開し、新たな準備金証明(PoR)の公開も進めています。

今回のハッキングについて、Binanceは影響額を約63億ドルと推計。約30億ドル相当の資産を凍結し、ユーザー保護基金「SAFU」と自社資金によって顧客損失を全額補償する方針を示しています。

なお、2.1%という数字は出金再開直後9時間半の純流出率であり、その後の資金動向や最終的な顧客離反率を示すものではありません。

1兆円のハッキングでも出金は2.1%──Binanceが失わなかった信用の正体

Binanceで史上最大級のハッキング事件が発生しました。しかし、出金再開後9時間半の純流出は預かり資産の2.1%にとどまっています。

この数字をどう評価するべきでしょうか。

現在、暗号資産業界では取引所、ハードウェアウォレット、DeFiなど、さまざまなサービスでセキュリティ問題が発生しています。絶対に安全な保管方法は存在しないと考えております。

実際にハッキング被害が起きたサービスから資産を移すことは、合理的なリスク管理です。ハードウェアウォレットを買い替えたり、国内取引所へ資産を移動したりする投資家もいるでしょう。

それにもかかわらず、Binanceからの純流出が初動で2.1%だったことは興味深い結果です。

理由の一つとして考えられるのが、Binanceの補償能力に対する信頼です。

Binanceは今回、約63億ドルという巨額の被害に対して、SAFUと自社資金による全額補償の方針を示しました。過去にもハッキング被害への補償実績があります。

これからの金融機関に必要なのは、「絶対にハッキングされない」という宣伝ではなく、「万が一のときに顧客資産を守れる」という信用だと考えております。

これは日本の証券会社にも共通する話です。不正アクセスによる被害が発生した際、どこまで補償されるのかによって、利用する金融機関を見直す投資家もいるでしょう。

暗号資産取引所でも、企業の財務体力、準備資産の透明性、過去の補償実績がブランド価値を左右する時代になっています。

Binanceは、こうした補償能力という点で業界有数の実績と資金力を持つ企業です。

もちろん、出金できない銘柄が残っていたことや、利用者が資産を移す先を簡単には見つけられないことも、初動の流出率に影響した可能性があります。2.1%だけで信頼が維持されたと断定はできません。

それでも、これほどの事件を起こしたBinanceに、なお多額の資産が残っているという事実は注目に値します。

ハッキングされたから信用を失うのではなく、ハッキング後にどう対応するかで信用が決まる。金融サービスの評価基準が変わり始めていると考えております。

日本の取引所は本当に安全か──補償能力を基準に資産の保管先を見直そう

日本居住者は原則としてBinanceグローバルを利用できないため、今回の事件を対岸の火事と考える方もいるでしょう。

しかし、日本国内の取引所であっても、ハッキングのリスクがなくなるわけではありません。

国内取引所には顧客資産の分別管理などの規制がありますが、すべての損失が無条件に全額補償されるわけではありません。

今後は取引所の知名度や手数料だけでなく、財務体力、資産管理体制、事故発生時の補償方針まで確認することが重要です。

自分の資産を守るために、金融機関の補償能力を調べ、必要に応じて保管先を分散する。この一手間が大きな差になると考えております。

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この記事を書いた人

伊藤健次

日本最大級の暗号通貨サイト【COIN OTAKU】編集長 1984年生まれ 静岡県出身 慶應義塾大学 大学院 経営管理研究科 ヘルスケアポリシー&マネジメント集中コース終了 株式会社ソクラテス 代表取締役 / 国内企業暗号資産事業顧問 / 暗号資産取引所アドバイザー / 暗号資産投資アナリスト / Fintechコンサルタント / 暗号資産非公式アーティスト /YouTuber テレビ東京WBS出演 テレビ東京モーニングサテライト出演 NHKおはよう日本出演 BS11 真相解説 仮想通貨NEWS!出演 その他各メディア取材、出演

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