Googleが量子計算の「20年の壁」を突破──ビットコインの暗号は大丈夫か

Googleが量子コンピュータの実用化を阻んできた技術的課題の一つを突破しました。特殊な量子状態の生成におけるエラーを約40分の1に削減したというニュースです。暗号資産業界では、量子コンピュータによる暗号解読への懸念が続いています。しかし、私はもう一つの技術、AIの進化にも注目しております。暗号を突破するのは量子コンピュータが先なのか、それともAIなのか。これを独自のジャーナリズムで解説します。

伊藤健次
伊藤健次
このニュース、 伊藤が解説します。

Google、量子計算の必須工程でエラーを40分の1に削減(2026年10月16日)

CoinPostは2026年10月16日、Google Quantum AIが量子コンピュータの実用化に欠かせない「マジック状態の培養」を実機で実証したと報じました。

Googleの量子プロセッサ「Willow」を使用した実験では、培養しない場合と比較してエラーを約40分の1に削減。特殊な量子状態であるT状態の論理忠実度は99.99%に達しました。

マジック状態は、汎用的な量子計算に必要な演算を実現するための重要な資源です。しかし、高品質な状態を生成するには膨大な計算資源が必要で、量子コンピュータの実用化を阻む課題となっていました。

今回の成果は、この資源消費を抑えるための技術を実機で示したものです。ただし、検査を通過した試行は約8%にとどまり、大規模な連続処理や暗号解読を実現したわけではありません。

なお、Googleも今回の成果について、実用的な量子コンピュータの実現には、さらに大規模な環境での検証が必要だとしています。

暗号を先に突破するのは量子コンピュータか、それともAIか

量子コンピュータの実現にまた一歩近づきました。まだ本格的な実用化までの見通しは立ちませんが、着実に進化しております。

さて、仮想通貨業界では量子コンピュータが誕生すると、ブロックチェーンの暗号技術が突破されるという懸念があります。

一方で、足元ではAI技術も急速に進化しております。私は、AIが将来、既存の暗号技術に対する新しい数学的な突破口を見つける可能性にも注目しています。

では、この二つの技術のうち、どちらが先に暗号資産の脅威となるのでしょうか。

両者では、想定される暗号の突破方法が異なります。

量子コンピュータは、従来のコンピュータとは異なる計算原理を利用する技術です。特にショアのアルゴリズムを使えば、十分な性能を持つ量子コンピュータが実現した場合、現在広く使われている一部の公開鍵暗号を効率的に破れると考えられています。

ただし、そのためには大量の量子ビットと高度な誤り訂正が必要です。今回のGoogleの成果も、直ちに暗号が破られることを意味しません。

一方、AIは人類がまだ発見していない数学的な理論やアルゴリズムを見つける可能性があります。

もし既存の暗号を少ない計算量で解ける新しい方法が発見されれば、それまで安全と考えられていた技術の評価が一変するかもしれません。もっとも、AIがそのような方法を発見できるという証拠は現時点ではありません。

量子コンピュータには大規模な計算機の実現という技術的な壁があります。一方、AIによる数学的発見には、いつ何が見つかるかわからないという不確実性があります。

私は、この予測の難しさという点で、AIの進化も量子コンピュータに劣らず警戒すべきだと考えております。

もちろん、両者は対立する技術ではありません。AIが新しい理論や計算手法の発見を支援し、量子コンピュータが特定の計算やシミュレーションを担う。逆にAIが量子コンピュータの設計や制御を支援することも考えられます。

量子コンピュータとAIは、未来の科学技術を発展させる両輪となる可能性があります。

安全に使えば、人類を次のステージへ飛躍させる素晴らしい道具です。問題は技術そのものではなく、それを悪意ある目的に利用する人間の存在です。

量子コンピュータ対策、AI対策と叫ばれますが、暗号技術の更新と同時に、悪意ある行為を防ぎ、被害を最小限に抑える仕組みづくりにも力を入れるべきでしょう。

危ないから道具を作るのをやめようという判断は、人類の進歩を停滞させます。

新技術で資産価値が揺らぐ時代──投資家は技術との関係を理解する

今後、新しい技術が誕生するたびに、旧来の技術が無価値になるのではないかという論争が起きることでしょう。これは避けられない未来だと考えております。

そのたびに、関連する資産の価格は乱高下する可能性があります。

大切なのは、保有する資産と、その価値を支える技術の関係を理解することです。

特に暗号資産では、暗号技術の安全性や将来の更新可能性が資産価値に直結します。新しい技術のニュースに振り回されるのではなく、何が実証され、何がまだ仮説なのかを区別して判断しましょう。

ニュースは、必ずしもすべてが正確とは限りません。 また、誰が発言しているかによって、同じ事実でも意味は大きく変わります。 そもそもニュースは、出来事の「一部」しか切り取って発信されないものです。

だからこそ、ニュースだけを材料に未来を断定すると、判断を誤りやすくなります。 ただし、ニュースそのものが無価値なのではありません。 読み手が、まだ読み方を知らないだけです。

無知は無能ではありません。 ニュースの構造や背景を意識して読み解く練習を重ねれば、誰でも「今の情報」から「これから起きる流れ」を捉えられるようになります。 このメディアでは、そのための視点と考え方を伝えていきます。

この記事を書いた人

伊藤健次

日本最大級の暗号通貨サイト【COIN OTAKU】編集長 1984年生まれ 静岡県出身 慶應義塾大学 大学院 経営管理研究科 ヘルスケアポリシー&マネジメント集中コース終了 株式会社ソクラテス 代表取締役 / 国内企業暗号資産事業顧問 / 暗号資産取引所アドバイザー / 暗号資産投資アナリスト / Fintechコンサルタント / 暗号資産非公式アーティスト /YouTuber テレビ東京WBS出演 テレビ東京モーニングサテライト出演 NHKおはよう日本出演 BS11 真相解説 仮想通貨NEWS!出演 その他各メディア取材、出演

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