中国共産党中央委員会と国務院が、国家ブロックチェーンネットワークの構築を盛り込んだ新たな産業政策を発表しました。AIやデータインフラと並び、ブロックチェーンを国家の重要技術として位置づけています。
仮想通貨の取引に厳しい規制を設ける中国が、なぜブロックチェーンを積極的に採用するのでしょうか。そして、ブロックチェーンに記録された情報は本当に信用できるのでしょうか。これを独自のジャーナリズムで解説します。

中国共産党中央委員会と国務院、新質生産力の発展に関する意見を発表【2026年10月11日】
新華社通信は2026年10月9日、中国共産党中央委員会と国務院が発表した「新質生産力の発展に関する意見」を報じました。
この政策文書は、科学技術の革新と産業の高度化を推進するため、AI、ロボット、量子技術、新エネルギーなど幅広い分野の発展方針を示したものです。
特に注目されるのは、第9項に盛り込まれた「国家ブロックチェーンネットワーク」の構築です。中国政府は、全国一体型の計算資源ネットワークとともに、国家規模のブロックチェーン基盤を整備する方針を示しました。
また、データの所有権、取引、権益の分配、保護に関する制度を整備し、実体経済とデジタル経済の融合を進めるとしています。AIについても、産業への導入を加速させる一方、技術監視やリスク警告などの管理体制を構築する方針です。
なお、今回の発表はビットコインなどの仮想通貨取引の解禁を意味するものではありません。
中国の国家ブロックチェーンは信用できるのか
中国がブロックチェーン技術を積極的に採用していく方針を示しました。
中国はビットコインをはじめ、仮想通貨の自由な売買に規制をかけている国です。いよいよ仮想通貨解禁か、と期待したくなりますが、中身は大きく異なるようです。
中国がブロックチェーン技術を採用する意図は、データの収集・管理にあると考えられます。
広大な中国は、常に正しい情報管理に課題がありました。ブロックチェーン技術とAIの活用によって、中国はデータの信頼性を高める狙いがあるのでしょう。
すでにデジタル人民元など、国家主導のデジタル金融基盤の整備も進んでおります。ただし、デジタル人民元そのものがブロックチェーンを全面採用しているわけではありません。
今回の政策で、仮想通貨取引の自由化ではなく、情報管理の基盤整備を重視している点は、非常に冷静であると考えられます。
一方で、今回の取り組みには大きな課題もあります。
それは、ブロックチェーンは正しい情報を判断できないという点です。
ブロックチェーン技術は誤解が生じやすいですが、得意とするのは記録されたデータの改ざんを困難にすることです。最初から誤った情報が入力されていた場合、その情報が正しいかどうかまでは保証できません。
ビットコインの最初のブロックには、イギリスの新聞「The Times」の2009年1月3日付の見出しが刻まれています。
「The Times 03/Jan/2009 Chancellor on brink of second bailout for banks」
これは当時の新聞報道を利用した時刻の証拠の一つです。すでに発行された新聞と照合できるため、後から作られた記録ではないことを判断する手掛かりになります。
ただし、ビットコインの改ざん耐性そのものは、新聞見出しではなく、暗号技術やネットワークの合意形成によって支えられています。
では、メディアも行政も強い政府の統制下にある中国で、ブロックチェーンに載せられる最初のデータが改ざんされていないと、どのように保証できるのでしょうか。
中国の外にも検証が開かれれば、データの信頼性を高めることにつながります。しかし、インターネットを制限された環境で運用する中国では、ブロックチェーンも閉鎖的なネットワークとして展開される可能性があります。
中国のブロックチェーンは信用できるのかどうか。まず世界はそこに注目します。
ブロックチェーンもAIも、情報の正しさは保証しない
ブロックチェーンもAIも技術は確かですが、その結果得られる情報は検証が必要です。
ブロックチェーンに書いてあるから大丈夫。AIが言ったから大丈夫。という世界ではありません。
今後、これまで以上にテクノロジーに振り回される人類が増加する見込みです。
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