シルバーゲート・キャピタル銀行の財務懸念により株価50%以上急落、事業と戦略の見直しを進める
米仮想通貨取引所コインベースが、シルバーゲート・キャピタル銀行との送金取引を停止すると発表した。
シルバーゲートの財務状況に懸念が浮上しているためで、他の仮想通貨企業も同様の動きを見せている。コインベースは、今後シルバーゲートとの間の決済取引を行わず、他の銀行パートナーと機関投資家顧客の現金取引を行う予定だ。
コインベースの広報担当者によると、「当社はシルバーゲートに対して最小限のエクスポージャーしか持っていない」とコメントしている。一方、シルバーゲートは、自己資本不足の可能性があり、事業を見直していることをSECに報告した。これにより、株価は50%以上急落している。
シルバーゲートは、12月末の顧客のデジタル資産の預金額が激減していることを報告し、現在事業と戦略を見直していると説明している。コインベースは、法定通貨の引き出しや預け入れに関して、Signature Bank銀行を介して行うようユーザーにアナウンスしている。
米シルバーゲート株価暴落 米コインベースらとの取引停止を受け
COIN POST
シルバーゲート銀行の株価下落の背景と仮想通貨市場への影響力
米ニューヨーク証券取引所に上場するシルバーゲート銀行が一時株価の下落率が50%を超えました。仮想通貨並みの価格下落ですが、なぜ起きたのか、そして仮想通貨市場になぜここまで大きな影響力があるのかを解説します。
まず、シルバーゲート銀行とは老舗の銀行で2013年には仮想通貨事業を立ち上げております。日本で言えば銀行が仮想通貨取引所を2013年に始めたという非常に攻めた銀行です。
当時は仮想通貨市場は大きなマーケットではないので、顧客は個人よりも法人がメインとなりました。その後、順調に事業を拡大し、2021年には1000社を超える仮想通貨事業の法人顧客を保有し、100社近く仮想通貨取引所とも取引がありました。
大手のCoinbaseやKrakenやGeminiも取引先です。ステーブルコイン業界2位のUSDCともパートナーシップがあり、USDCの流動性の多くはシルバーゲート銀行経由となります。途中で頓挫してしまいましたが、Meta社が企画していたステーブルコインDiem(ディエム:元リブラ)も本来であればシルバーゲート銀行が公式に発行する予定でした。
仮想通貨市場において無くてはならない存在のシルバーゲート銀行ですが、2022年の仮想通貨ショックの影響で決算情報の遅延が生じております。
もちろんただ遅延しているだけの可能性がありますが、各取引所は軒並みシルバーゲート銀行との取引がすでにない旨を発表し、仮にシルバーゲート銀行に何かがあっても経営状況に問題ないと先んじて火消しをしております。
日本人が直接影響があるのは、取引関係のある海外取引所を利用している方かステーブルコインのUSDCを利用している方となりますが、すでに大手取引所やUSDCを発行しているサークル社も問題ないという旨を発表しておりますので大きな心配は不要です。
市場は5~10%程度の下落が生じましたが、ある程度様子を見るという形で下げ止まりを見せております。中期的には米国での規制強化という形で影響は出そうです。また、米国の景気後退を長引かせる原因にもなりますので楽観視しすぎないようにしましょう。
2023年も仮想通貨冬の時代が継続すると経営状況が悪化し倒産する企業が増えます。今回のように大手取引所ほど2022年に起きた仮想通貨ショックに敏感であり、リスクがある取引はすでに閉じている傾向があります。市場が騒ぐほどリスクは高くないです。
しかし、中小規模のビジネスでは攻めた取引を行うこともありますので、大手と中小とでリスクが極端に異なる市場であることは引き続き注意しておくポイントです。なんとなくで取引所を選んでいると痛い目に遭うので気をつけましょう。
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