DAO(分散型自律組織)とはブロックチェーン上に作られる、分散型の組織のことです。
「DAOがすごい」「DAOを活用した新しいビジネスモデルだ」など耳馴染みのある方もいるでしょう。
しかし、DAO(分散型自律組織)の正確な定義や事例、何がメリットなのか知らないのがほとんどです。
今回はWeb3コミュニティを運営するCOIN OTAKUが、DAOに関して特徴やメリット、代表的な活用事例などを徹底解説していきます。
時間がない方は「第1章 DAOの紹介とその主な特徴」(所要時間1分)だけ読んでください!DAOの全体概要が把握できます!
終盤ではDAOの将来の展望や簡単な作成手順を紹介しているのでぜひ最後までお読みください。
DAOの紹介と主な特徴
この章だけでDAOの全体像がつかめます。
DAO(分散型自律組織)とは、コードによって運営され、ステークホルダーのグループによって運営される新しいタイプのデジタル組織です。従来の管理者やリーダーといったヒエラルキーではなく、メンバーによって運営されるデジタル上の会社やクラブのようなものだと考えてください。
DAOの主な特徴の1つは、ビットコインなどの暗号通貨を動かすのと同じ技術であるブロックチェーン技術に基づいて構築されていることです。この技術は、高い透明性と不変性を実現します。つまり、一度ブロックチェーンに記録されたものは、変更したり削除したりすることができません。これにより、DAOのルールや意思決定プロセスが公正で透明性の高いものになります。
DAOのもう一つの重要な特徴は、分散型であることです。つまり、単一の組織や個人がコントロールすることはありません。その代わりに、組織の所有権を表すトークンを用いた投票プロセスを通じて、DAOのメンバーによって意思決定が行われます。
これにより、より民主的な方法で意思決定が行われ、検閲のリスクも軽減されます。
DAOは、分散型金融(DeFi)、予測市場(※)、コミュニティガバナンスなど、幅広い用途が期待されています。既存のDAOの例としては、暗号通貨を担保にお金を借りることができる分散型プラットフォーム「MakerDAO」や、分散型予測市場プラットフォーム「Gnosis」などがあります。
予測市場とは
保険やスポーツ観戦など、未来の出来事を予測してお金をかける市場
つまり、DAOとは、コードによって運営され、メンバーによって運営される新しいタイプのデジタル組織であり、ブロックチェーン技術を利用して透明性と分散化を実現するものです。従来の階層構造を必要とせず、人々が集まって意思決定を行うための画期的な新しい方法です。
DAOの活用事例5選
DAOは幅広い用途が期待されており、現在すでに多くのDAOが運用されています。ここでは、既存のDAOの例とその活用方法を紹介します。
MakerDAO
これは、ユーザーが暗号通貨を担保にお金を借りることができる分散型プラットフォームです。これにより、人々は自分の暗号資産を売却することなく借り入れを行うことができ、より柔軟に投資を行うことができる。
グノーシス
選挙の結果や特定の銘柄の価格など、さまざまなトピックを予測することができる分散型予測市場プラットフォーム。これらの予測はプラットフォーム上でお金をかけることができ、予測結果に応じて報酬をもらうことができます。
アラゴン
分散型組織を構築・管理するためのプラットフォームです。分散型の取締役会の構築や、分散型の予算管理などのツールを提供しています。また、他のブロックチェーンプロトコルとの統合も容易に行えます。
MolochDAO
オープンソースソフトウェアのプロジェクトに資金を提供することを目的とした分散型組織です。メンバーが様々なプロジェクトへの資金提供を提案し投票することができ、その投票結果に基づいて資金が分配されます。
DAOstack(ダオスタック)
分散型組織を構築・管理するためのツール群を提供するプラットフォーム。意思決定やメンバー間のコラボレーションを容易にするガバナンスの枠組みを提供する。
これらは既存のDAOとその活用方法のほんの一例ですが、DAOの技術や理解が進むにつれて、さまざまな業界でより革新的なDAOを目にすることができるようになるでしょう。
まとめると、DAOは分散型金融、予測市場、コミュニティガバナンスなど、幅広い用途が期待できます。DAOの既存の例としては、MakerDAO、Gnosis、Aragon、MolochDAO、DAOstackなどがあり、それぞれ異なる活用方法と組織化および意思決定の方法を持っています。
DAOを利用するメリット
果たしてはそんなDAOのメリットはなんなのでしょうか?
DAOはさまざまな組織タイプを撮ることができ、組織形態ごとのメリットも変わってきます。ここではDAOの主なメリットを紹介していきます。
効率性の向上
DAOはコードによって動作するため、従来は手作業で行っていた多くのプロセスを自動化することができます。これにより、時間を節約し、エラーのリスクを低減することができます。また、DAOは分散型であるため、中央機関が監視する必要がなく、24時間365日稼働することができます。
セキュリティの向上
DAOを形成するコードはブロックチェーン上にあるため、ハッキングや改ざんに強く、データやプロセスの安全性が高くなっています。さらに分散型であり単一障害点がないことも、ハッキングに強い要因となっています。
非中央集権
DAOは単一の事業者や個人が制御するのではなく、民主的な方法で意思決定が行われます。そのため検閲リスクも軽減され、従来組織のような規制や制限を受けず、組織のパワーバランスが個人に偏らないことが可能となります。
透明性
DAOは、取引や意思決定の記録がすべてブロックチェーン上に保存されるため、高い透明性があります。これにより、DAOのルールと意思決定プロセスが、不正されることなく実行することができます。
柔軟性
DAOは、さまざまな種類の組織のニーズに合わせてカスタマイズすることができ、必要に応じて適応させることができます。このため、さまざま組織や運営方法をDAOの形式で実施することができます。
まとめると、DAOは、効率性の向上、セキュリティの改善、分散化、透明性、柔軟性など、多くのメリットを提供します。これらの利点により、DAOは、運営や意思決定の新しい方法を探しているさまざまな種類の組織にとって魅力的な選択肢となっています。
DAOのデメリット
前章ではDAOは多くのメリットを紹介しましたが、いい面もあれば悪い面もあります。
この章ではDAOのデメリットを紹介します。
専門的な知識が求められる
DAOは比較的新しい技術であるため、理解し設定するのが複雑です。
そのため、専門的な知識を持たない個人や組織がDAOを作成することは非常に困難です。DAOのコードで運営されるため、不十分な知識で作るとコードにバグやエラーが発生してしまいます。
規制の欠如
DAOは新たな組織運営になるので従来の規制や法律に当てはまらないことが多いです。
なのでDAOの利用者だけでなく運営者ですら、従来の法律がどのように適応されるか把握しづらいのです。これによって、DAOは詐欺やその他の違法行為が行われる危険性を持っています。
スケーラビリティの欠如
DAOはブロックチェーン上で構築されるため、ブロックチェーンの課題であるスケーラビリティ問題を引き継ぎます。つまりブロックチェーン自体が重くなるとコードの処理に時間がかかり、DAOの動作も遅くなってしまいます。
監視の欠如
DAOの特徴である非中央集権な組織運営は、一人に権力を集中させないメリットと同時に
管理者がいないことで暴走してしまうデメリットにも繋がります。さらに問題発生時の対処や規制が出来ないこともあります。
ネットワーク効果への依存
DAOはネットワーク効果に依存して機能します。つまり、DAOへの参加者が多ければ多いほど、その組織の価値は高まります。これは、参加に興味を持つ人が少なかったり、ネットワークが時間の経過とともにメンバーを失ったりすると問題が発生することを示唆します。
要約すると、DAOには、技術レベルの高さ、規制の欠如、スケーラビリティの欠如、監視の欠如、ネットワーク効果への依存など、いくつかの潜在的な欠点があります。これらの欠点はDAOを始める前に考慮する必要があり、それらを軽減するためにいくつかの解決策の提案もされています。
DAOの未来と異業種での活用方法について
さあDAOのメリット・デメリットを紹介したところで次はDAOの活用が期待できる業種や活用方法について紹介していきます。
分散型金融(DeFi)
分散型金融とは、ブロックチェーン上に構築される金融機関のことです。
既にDAOは、分散型取引所、融資プラットフォーム、およびその他の金融サービスを作成するために、DeFiですでに使用されおり、今後も幅広い形式で活用が期待されています
サプライチェーン管理
DAOは、サプライチェーンを通じて商品や材料の動きを追跡するために使用することができ、より透明性と効率性を高めることができます。特に農業など、生産物の原産地を把握することが重要な産業で有効と考えられています。
個人情報の管理
DAOは、個人情報の管理を目的とした分散型システム構築に使用できます。これにより、中央組織ではなく個人が自分の個人情報をコントロールできるようになり、データ侵害のリスクを低減できるのです。
コミュニティガバナンス
まず、コミュニティガバナンスとは地域コミュニティにおける民主的なルールづくりに向けた運動のことを指し、身近なものだと地域の自治体が当てはまります。
DAOは、都市や地域などのコミュニティガバナンスのための分散型システムを構築するために使用することができ、市民が意思決定や管理により多く参加することができるようになります。
ゲームとメタバース
DAOは、プレイヤーがゲーム内の資産を所有・管理し、プラットフォームがプレイヤーによって統治される分散型仮想世界やゲームプラットフォームの構築に使用できます。
可能性は無限大で、DAOの技術や理解が進むにつれて、さまざまな業界でより多くの革新的な導入が見られるようになると予想されます。DAOの将来はまだ不透明ですが、将来的に組織や意思決定の方法を変える可能性を秘めた、革新的な新技術です。
DAOの設定方法と作成に利用できるツールについて
DAOについての理解は出来たでしょうか?
ここからはそんなDAOを作ってみたい、導入したいという方に向けてDAOを作るための簡単な作成手順を紹介していきます。
まず、どのような組織を作りたいかを決める必要があります。非営利団体なのか、営利団体なのか、それとも別の団体なのか。その目的や使命は何でしょうか。
次に、DAOの統治構造を決定する必要があります。メンバーが提案に投票する民主的なシステムなのか、それとももっと複雑なものなのか?どのように決定し、どのように問題を解決するのでしょうか?
その後、DAOを構築するブロックチェーンプラットフォームを選択する必要があります。現在、イーサリアムが最も人気がありますが、EOS、TRONなど、他の選択肢もあります。
次に、Solidity(Ethereum用)やC++(EOS用)などのプログラミング言語を使って、DAOのコードを書く必要があります。DAOstack、Aragon、MolochDAOなどの既製のテンプレートやフレームワークを活用することで、DAOの作成を簡単に行えます。
コードが書かれたら、それを選択したブロックチェーンにデプロイし、あなたのDAOの所有権を表すトークンを作成する必要があります。
最後に、メンバーを集め、意思決定を開始するために、DAOを宣伝する必要があります。
DAOの作成は複雑で時間のかかるプロセスですが、技術や独自のDAOを作成する方法について学ぶのに役立つ多くのリソースがあります。DAOを作成するための最も人気のあるツールには、DAOstack、Aragon、MolochDAOなどがあり、それぞれが異なる特徴と機能性を提供しています。
まとめると、DAOを設定するのは複雑で技術的なプロセスになりますが、正しい知識と適切なツールがあれば、自分自身の分散型自律組織を作ることは可能なのです。最初のステップは、DAOの目的とガバナンス構造を決定することであり、次にブロックチェーンプラットフォームを選択し、コードを書き、それを展開し、トークンを作成し、最後にDAOを宣伝することです。
DAOまとめ
いかがでしたでしょうか?
今回はDAOに関して特徴、活用事例、メリットデメリットを簡単に紹介しました。
DAOを導入している事例は既に多くなってきていますが、まだ発展途上の技術であるため今後生まれる、画期的な活用方法にまだまだ期待ができます。
またDAOを作成するにあたって利用できるプロットフォームやテンプレートもありますので、興味のある方はぜひ一度DAOをつくってみてはいかがでしょうか?
この記事を書いた人
-
公式イベント・セミナーのお知らせやレポートをお届けします。
10年に1度の楽曲情報も?
▶︎LINE