なぜICOには詐欺が多発するのか?
ICO(イニシャル・コイン・オファリング)とは企業がプロジェクトを起こす際に「コイン」や「トークン」と呼ばれる暗号通貨を発行して、資金調達する方法です。
ICOは投資家メリットも莫大なものがあるのに加え、ボクサーのフロイド・メイウェザー・ジュニアがICO投資に積極的に関与していくと宣言したりと追い風もありますが、詐欺やハッキングの事件が多発しているのも事実で、市場が拡大したが故の洗礼を受けている状況です。
ブロックチェーンの分析を手がける「Chainalysis」が8月に発表によれば、数年間でICOは16億ドルを超える投資マネーが流れ込んできましたが、2016年にはそのおよそ10%がサイバー犯罪者に被害にあっているとのことです。
ブロックチェーン技術を学習すれば簡単に理解できることですが、問題になっているのは暗号資産に使われるブロックチェーン技術などではないということです。ほとんどの詐欺行為や、サイバー攻撃は暗号資産周りのテクノロジーの脆弱性によるものでした。
マウントゴックス(Mt.Gox)事件はどうやって起こったのか?
有名な事件にマウントゴックス(Mt.Gox)事件があります。
この事件による最大の被害は、人々の暗号資産への印象が完全にネガティブな方面へ向かってしまったということです。
マウントゴックスは、ビットコインの私設取引所を開設しており、2013年には世界のビットコイン取引の7割を扱うまでになっていました。
フランス人の社長が、「システムの脆弱性を突かれてビットコインが流出した」と謝罪しましたが、そこから「ビットコインシステムの脆弱性問題あり」とねじ曲がった印象を世間に与えました。
出典:http://www.iza.ne.jp/topics/economy/economy-7625-m.html
問題があったのはビットコインのブロックチェーンシステムではなく、マウントゴックスの取引所システムの脆弱性に他ならなかったのです。
また、2016年6月にイーサリアム(Ethereum)、8月にビットコイン(Bitcoin)の香港取引所から、大規模な資金流出事件が起きましたが、どちらも暗号資産のシステム自体ではなく、両替所やファンドのシステムからハッカーに侵入されています。
これらの事件は、暗号資産にまつわるテクノロジーやサービスにも徹底して強力なセキュリティ技術を導入させ、消費者の資産を守らなくてはいけないという、根本的な問題に改めて一石を投じることになりました。
待ち構えているICOハッカー
ICOをハッキングする手段として、システムの脆弱性をついてくるものなどもありますが、ICO詐欺のほとんどは、ソーシャルエンジニアリングを悪用したものだったのです。フィッシング攻撃を仕掛けたり、SNSを悪用したりして、ICOの管理者になりすまし、真実に見せかけた情報を広めるのです。そのうえで、投資家たちに嘘の送金場所を伝えることによって、投資家たちの資金を闇に葬り去ってしますのです。
こういったハッキングでは、味を占めて、同じ攻撃者がほかのいくつかのICOを攻撃して不正に利益をあげていたという報告も出ています。
7月中旬には、CoinDashが、ICOの最中に700万ドルをハッカーの偽造をレットに、投資家の資金が流れ込んでしまいました。投資家の送金を受け付けるアドレスがハッカーによって改ざんされたことが要因でした。
その数日後に、3つ以上のICOが合わせて3,000万ドルが盗まれる事件も発生したりと、ハッカーによる攻撃の標的とされてしまっています。
ICOに対する対策
暗号資産プラットフォームを手がけるKickicoのアンチ・ダニレフスキーCEOは8月31日に、同社が実施したICOに対して行われた様々な攻撃の手法を明らかにし、次のように謝罪している。
「当社は自分たちの過失を正直に認めます。名前も知られていないような小さな企業のICOがハッカーから注目され、攻撃を受けるとは、考えてもみませんでした」
Kickicoは、他企業のICOを支援する計画があるため、安全対策を強化し、システムやウェブサイトのセキュリティを高めるために、侵入テストや独立監査を開始したということです。
世界中のICOは詐欺をしようとしているのではなく、結果的に詐欺的な資金調達をし、投資家の資産を失うこととなってしまった事例が非常に多いです。近頃のニュースでは、北朝鮮がロケット発射実験や核実験の資金を調達するために、国家ぐるみでサイバー攻撃を仕掛けているというニュースも出ています。
過去の事例からも、サイバー攻撃はテクノロジーのいたちごっこになりがちであるが、暗号資産が一皮むけるためには、セキュリティ強化が一つのキーとなってくるでしょう。
https://coin-otaku.com/topic/2579
Written by 酒井 和
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