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【伊藤が解説】ビットコイン版スマートコントラクト、Ordinalプロトコルの論争と影響

2023.05.10

ビットコインのBRC-20：拡大と課題

ビットコイン（BTC）のBRC-20トークン規格に基づくミームコインが急速に人気を博しており、時価総額が約1,300億円に迫る勢いです。
しかし、低流動性や技術的課題などから、投資家はリスク管理に注意を払う必要があります。
BRC-20トークン市場の主力であるORDIは、海外取引所Gate.ioでの取引開始後、価値が急上昇し、時価総額は約540億円に達しました。

BRC-20は、ビットコイン上でのトークン作成を可能にするフレームワークで、Ordinalプロトコルを利用しています。
ただし、取引方法の機能や柔軟性が制限されるなどの課題があります。
また、BRC-20トークンの人気は、ビットコインの取引量と手数料の高騰に影響を与えています。

ミームコインの取引過熱、ビットコインのトークン規格「BRC-20」市場が急拡大

COINPOST

ビットコイン版スマートコントラクト、Ordinalプロトコルの論争と影響

このニュース、 伊藤が解説します。

ビットコインのスマートコントラクトとも称されるOrdinalプロトコルが、ビットコインコミュニティ内で賛否両論を巻き起こしています。

2023年5月8日にOrdinalプロトコルを使って発行された仮想通貨「Ordinals（ORDI）」が大手取引所Gate.ioに上場されると、価格は著しく高騰し、190倍の価格上昇を記録しました。

現在、私たちはミームコイン（ジョークコイン）ブームの最中にあり、Ordinalプロトコルによって発行されるBRC20基準のビットコインベースの仮想通貨がますます増えています。
既に1万種以上が生成されている状況です。
注目の中心であるOrdinals（ORDI）の公式ウェブサイトを見ても、トップページでは生まれたばかりのBRC20基準の仮想通貨が更なる煽りを得ている様子が伺えます。

しかし、このブームの規模はまだ小さいのが現状です。
Ordinalプロトコル自体がテスト段階にあり、非常に使いにくいことが原因です。
仮想通貨であるOrdinals（ORDI）は取引所で取引可能なため、24時間取引量は約100億円程度ありますが、多くのBRC20基準のミームコインは取引所で取扱われていません。

ウォレットの数が少なく、取引は複雑で、1万種以上のBRC20基準のミームコインが生まれたことで、資産が過度に分散されているため、１銘柄あたりの24時間取引量は1億円未満です。
さらに、取引プラットフォームの一つであるBRC-20ウォレットUnisatは、二重支払い攻撃を受け、実際に損害を出しております。

このような状況ではOrdinalプロトコルブームは参加しない方が良いと判断できます。

不安定な取引がビットコインブロックチェーン上で行われていることにより、ビットコインへもネガティブな影響が出ております。

ビットコインの取引手数料は、Ordinalプロトコルブームの影響で高騰しています。
現在の手数料は通常時の約20倍となっており、不必要なBTC送金は控えた方が良いでしょう。
業界トップのビットコインとイーサリアムの手数料が急騰し、一時的に仮想通貨需要が減少しています。ブームが早く落ち着くことを願っています。

しかし、全てが悪いわけではありません。

高騰した手数料は市場に還元されます。イーサリアムでは、手数料の急騰の影響でステーキング報酬が上昇しています。
また、焼却されるETHの量も増えており、ETHの価値を高めています。

ビットコインでも、手数料の急騰はマイナーに支払われる形で市場に戻されています。
ビットコインのマイニング報酬は将来的に消えると予想されていますが、今回のOrdinalプロトコルの導入による手数料の急騰が、未来のマイナーへの強力なインセンティブとなることに期待が寄せられています。

現段階での手数料の急騰は、過去にイーサリアムが経験したように、ビットコインにとって大きな転換点となる可能性があります。
個人的には、ビットコインがイーサリアムのような市場を作るのは難しいと思いますし、ブームが終わり、ビットコインが元の平和な状態に戻ることを願っています。

結論として、ビットコインのOrdinalプロトコルとその新たなBRC-20規格の仮想通貨は、ビットコインの価値と将来性に新たな可能性をもたらしています。
しかし、その進化はビットコインの取引コストの上昇という副作用をもたらしており、その影響はビットコインの使いやすさと利便性に影響を及ぼしています。
これらの事実を理解し、適切な投資判断をすることが重要です。