ブロックチェーン技術を語るうえで外せないのがマイニングです。ブロックチェーン技術の発明とはマイニングの発明と言っても過言ではないほど重要な概念です。
マイニングとは正式には「承認アルゴリズムとその報酬システム」のことを言います。
マイニングの発明により、初めて分散化という概念が実現できるようになりました。
さて、このマイニングも課題があります。
今回はマイニングの課題とその課題を払しょくしたFilecoinのマイニングに関して投資家目線ではなくビジネスの側面から解説をします。
公式にはFilecoinのストレージサービスという名称ですが、分かりやすく対比するために本記事では、Filecoinのマイニングと表現しております。
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ビットコインマイニング産業の課題
マイニングへ投資をしたことがある方、または、自身でマイニングをやってみた方は分かると思いますが、マイニングは長続きするビジネスとは言えない環境にあります。
これは投資のやり方が悪いのではなく、マイニングビジネスの構造によるものです。
赤字でも続く熾烈なマイニング競争
マイニングの対価はブロックチェーンの報酬システムであるため、該当の暗号資産で受け取ることが一般的です。
ビットコインのマイニングであればビットコインで受け取ることになるのは当然です。ここに問題が生じます。ビットコインは他の暗号資産と比較しても飛びぬけて価格の変動率が高い銘柄であるためです。
ビットコインの誕生時の市場単価は0.9円でした。ビットコインの価格を100万円とすると値上がり率は100万倍です。するとビットコインは多少価格が下がってもすぐに元に戻る。または、今の価格以上に高くなるという期待が集まります。
投資であればこの判断は個人の自由になりますが、事業になると産業全体に悪い影響を与えます。
結果、多くのマイニング事業者は多少の赤字では事業を止めないという判断になります。
これは体力勝負になることを意味しております。資本が尽きたところから市場から撤退をする流れになりますので、最終的には周知のとおり、大手が寡占する産業となります。
ビットコインは中国一強であると言われるのはこのような背景があります。到底日本の企業では太刀打ちができません。
資本主義においては勝者がいることは何ら違和感がありませんが、ビットコインは分散化を謳っている暗号資産です。
マイニング産業が中央集権に寄ることでビットコイン自体も中央集権化をするリスクを抱えております。
ひたすら計算力を求めマシンの寿命を縮める
マイニングは【一定の条件を満たした適切なハッシュ値を得られるようにナンス値を計算により求める作業】です。
言っている意味は分からなくて大丈夫です。
単純に言えば、早いもの順で正しい計算結果を求めれた方に報酬を渡す仕組みです。この計算は毎回値が変わるので公式は存在せず総当たりの計算となります。必要なのは頭の良さではなく作業効率です。
誰よりも素早く問題を解く行為が評価されるわけです。これに何か意味はあるかと言われれば全く何の意味もありません。世界中で最初に正解を出せた人にだけ指定の枚数ビットコインが渡されます。
10分に1回の頻度で出題され、今後一生続きます。答えが出なかった方は無駄労力となります。当然、マシンの計算能力向上の競争となります。計算能力は半導体の性能と比例し、倍々で指数関数的に能力が向上します(ムーアの法則)。すると旧型のマシンは計算が遅いというレベルではなく、全く勝てる見込みがないゴミになってしまいます。
ビットコインのマイニング市場が立ち上がったは当初はおよそ6か月間でマシンの性能が追い付かなくなり、常に最新マシンを新調する必要がありました。2019年まくると落ち着いてきましたが、現在でも計算能力の通用する寿命は2年間程度と言われております。
ここまで過当競争で相当スペックの上がった高性能マシンもビットコインのマイニングを行うためだけに開発されたもののため、他の用途で使うことはできません。
電気代・人件費を追求し辺境の地へ追いやられる
マイニング大国として中国が圧倒的な地位を確立しておりますが、2位以下にも先進国の名前が少ないことをご存知でしょうか?イランやカザフスタンなど通常のビジネスでは対象とならないような国が上位に食い込んでおります。
この理由は、ビットコインのマイニングの競争がもはやマシンのスペックでは差がつかず、電気代や人件費を抑える競争に切り替わったためです。また、一部では盗電をしたり、非公式に事業を始めたりするなどコストを減らす競争によりどんどんマイニングビジネスが辺境の地に追いやられてきました。
コストが安い方が良いという単純な話ではビジネスはできません。
往々にしてコストが安価なエリアではリスクが高くなります。管理者が常駐するのも難しい環境では、実際にマイニングがされていなかったという詐欺まがいな事件も起きております。
問題だらけのビットコインマイニングですが、2020年5月に半減期を迎えてからはある程度落ち着きを取り戻してきました。
半減期とはマイニングの報酬を半分にするという取り決めであり、市場の過熱を抑制するという働きがあります。
半減期は4年に1度のペースで決められており、2028年頃の5回目の半減期ではマイニング産業は事業ではなく、各個人が行う規模に収束していると予想されます。
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マイニング産業をよみがえらせる期待のFilecoinマイニングの特徴
2020年5月に中国四川省で行われた「世界マイニングフォーラム」では、大手マイニング事業者が参加し、ビットコインマイニング産業の次の一手について熱い議論が交わされました。そのなかで、中国のマイニング企業が注目する仮想通貨として、ブロックチェーンを用いたP2Pストレージサービスを提供するFilecoinが紹介されました。
Filecoinについて知りたい方はこちらの記事を参照ください。
https://coin-otaku.com/topic/55740
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中国の大手マイニングファームはすでにその資産の分散運用を始めております。
その中でもメインストリームになるのがFilecoinマイニングです。ここでは、中国の大手マイニング事業者も着目する最新のFilecoinマイニングについて解説をします。
Filecoinマイニングの概要
Filecoinとは、IPFS(InterPlanetary File System)技術を開発するProtocol Labs社が開発したユーザー同士でストレージの貸し借りができる分散型ストレージネットワークです。
一般的なクラウドストレージサービスは、DropboxやAWSなどがありますが、既存の クラウドサービスでは価格決定やファイルの検索速度などはサービス管理者に依存します。
Filecoinのマイニング報酬はデータを預かった時に発生する『ストレージマイニング』とデータを送り出した時に発生する『リトリーブマイニング』の2つが代表的なマイニング手法です。
スマートフォンやパソコンのスペックが大きく向上し、ストレージサービスも充実した現在では使わない空き容量を保有する方も多いです。
そこで、空いているストレージを貸出して報酬を得ようというニーズを叶えるのがFilecoinです。
データはモザイクのように分散されて保管されるためプライバシーやセキュリティも守られます。ここにブロックチェーン技術も活用されております。
ここまで聞くと、個人でもできそうと感じる方が多いでしょう。実際にFilecoinマイニングは個人でも参加が可能です。ただし、個人と事業主では報酬の体系が異なり、事業主が優遇されております。
個人のストレージ貸出の難点は「通信速度」と「常時接続」です。せっかくストレージを借りていてもいざ必要な時にその個人のストレージがオフラインでは取り出すことができません。
そこで、Filecoinでは「通信速度」と「常時接続」を担保する事業主向けにマスターノードという役割を付与しております。旧ビットコインのマイニング事業者はこのマスターノードに着目をしております。
次の章ではビットコインマイニング事業者が魅力に感じるFilecoinマイニングのメリットを取り上げます。
Filecoinマイニングのメリット
1.産業拡大と実需によりFilecoinの価値の見通しが可能
暗号資産は価格が大きく上昇するという投機の要素が大きいですが、ビジネスにおいてはリスクとなります。
暗号資産が投機になってしまう一番の原因は需要と供給のバランスが見極められない点にあります。まだ存在しない産業では市場規模も市場成長性もつかみどころはありません。
その点、データセンター産業はIoT(Internet of Things:モノのインターネット)時代に持続的成長が見込めるとして、多くの機関からレポートが発表されております。さらに、ここにきて市場拡大が加速することになりました。
それは5Gという新しい通信規格の登場です。「超高速」、「超低遅延」、「多数同時接続」の5Gが一般化することによりデータセンター産業の成長速度は加速します。長期に成長する産業でビジネスを行う事は基本中の基本であり、今まで暗号資産やマイニングに関わってきていない企業も着目しております。
2.過度なマシンスペック競争、電気代競争が起きにくい
誰もが着目をする産業であれば、結果的に過当競争に陥るのではないかと心配する声もあります。
しかし、ビットコインのマイニングとは違い、データセンター事業は参入障壁が高いビジネスです。データセンターの外部構造や冷房設備、発電機や配線接続などマイニング事業と共通する部分はありますが、セキュリティ管理や運営における専門知識などはマイニングファーム事業とは比較にならない高いレベルを求められます。
一般企業も同様に、旧来のモデルでただ単にデータセンターを拡大するだけでは膨らんだコストを吸収しきれません。
IPFS技術とブロックチェーン技術を採用するからこそセキュリティとコストのバランスをとりビジネスとして成り立ちます。マイニング報酬は計算のスピードではなく、保管するデータの量に左右されるため、計算力を競う必要も常にフル稼働で計算をし続ける必要もありません。
マイニングは安価な運営コスト・電気代を求め辺境の地で事業展開をすることが一般的になりましたが、データセンター事業は通信環境とセキュリティが整備されている都市型のビジネスと言えます。
これにより天候や盗難など想定外の事業リスクにさらされる危険は大きく解消されました。
3.長期ビジネスの展望が描ける
ビットコインマイニングの最も大きな課題は事業の寿命が短いことでした。
ビットコインの価格の乱高下や法令順守などそもそも事業を行う土台がまだ整っていないと言えるでしょう。
そもそも短期のビジネスは結果的にコスト高になることが多く、大手企業はこのような市場には参入しません。マイニング産業が日本で根付かなかったのにはこのような背景もあります。
市場が着目しているFilecoinマイニングは、マイニング産業ではなくデータセンター産業という側面の方が大きいです。
日本国においても来るIoTの普及のためにデータセンターの拡充のための政策を複数行っております。NTT・富士通・KDDIなど国内大手企業もデータセンター事業には力を入れており今後国内マーケットの拡大が期待できます。
コロナ禍の影響で下火になったオフィス需要に対し、不動産大手も「データセンター不動産」という市場を形成し、関連ビジネスも複数誕生しております。このような市場はビットコインマイニングをしていた事業社からすると非常に魅力的に映ります。
すでに大手ビットコインマイニング企業も一部をFilecoinマイニングへ転換し始めております。
最新のFilecoinマイニングへの参加方法
Filecoinマイニングへの参加方法は、大きく3つあります。
1.個人で空きストレージを提供
2.事業主としてマスターノードを立てる
3.マスターノードに参加をする
個人向けのサービスはまだ公開スケジュールが未定です。マスターノードを自分で立てるのか、すでに存在するマスターノードへ参加するのかのどちらかになります。
マスターノードを立てる方法は参入障壁が高く、世界でも100社に絞られておりますので、現実的にはマスターノードへ参加する方法を選択することになるでしょう。
予定では2020年秋頃にはFilecoinのマイニングが始まる見込みです。
この記事を公開しているタイミングは、テストネット最後のフェーズとなっております。
Filecoin Testnetフェーズ2(2020年5月14日公開)
https://filecoin.io/blog/filecoin-testnet-phase-2-is-here/
現在テストネットの状況は公開されており、成績上位企業の予約受付が始まっております。
せっかく参加するのであれば結果の良いマスターノードを選択するようにしましょう。
FILECOIN MINERは大手ビットコインマイニングプール運営企業の一つであるTOMORROW社と共同開発したデータセンター設備を採用しております。テストネット上でのマスターノードの成績NO.1の企業です。※他社比2.5-3倍のマイニング効率
Filecoinが本格的に話題になるのは2020年9月前後と考えております。
少しでも早い段階で情報を取得することがビジネスでは重要になります。
今回の記事は恐らく世界でも最速に近い形で公開ができておりますのでぜひ有効活用してみてください。
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