暗号資産の市場に参加する投資家はビットコインの値上がりばかりを追いかける傾向がありますが、実際にこの市場の投資冥利の一つとして新しいテクノロジーへの支援があげられます。
暗号資産でテクノロジーと言えば「ブロックチェーン」を思い浮かべる方も多いですが、実はそれだけではありません。日々新しい技術が誕生しております。
今回はブロックチェーン以上に世の中を変える可能性を秘めた最新技術とその技術を採用しているプロジェクトをご紹介します。
実はそのプロジェクトとは市場参加者であれば耳にしたこともある人が多い「Filecoin」です。いま改めてFilecoinが着目されている理由を伊藤が解説します。
ファイルコインについての最新情報はこちらから
そもそもファイルコインとは何か?
ファイルコインとは2017年8月にICO(Initial Coin Offering:イニシャル・コイン・オファリング)を行ったプロジェクトです。結果は約280億円の資金調達に成功しており、当時の調達額ランキングでは世界第2位を記録しております。
その様子をコインオタクでも記事にしております。
https://coin-otaku.com/topic/50974
ご存知のようにICOにより資金調達に成功しても、その後のプロジェクトで成功をしなかったプロジェクトが多数存在します。しかし、全てのICOプロジェクトが失敗したわけではなく、数は少ないですが大成功をしたプロジェクトも存在しております。
Filecoinは資金調達から約3年の年月をかけてプロジェクトを進めてきており、2020年ついに日の目を見る時が来ました。
海外ではすでに多くのメディアが取り上げておりますが、日本ではこれからどんどん出てくるでしょう。
その一例を紹介します。
米国大手暗号資産取引所GEMINI(ジェミニ)への上場を発表
GEMINIと言えばビットコインの初期投資家で暗号資産長者として有名なウィンクルボス兄弟が運営する取引所です。一般的にはFacebookの訴訟や映画で有名な人物ですね。
彼らは暗号資産市場にどっぷりとつかっており、多くのプロジェクトへ投資をしております。その中の一つがFilecoinであり、2020年Filecoinがメインネットへ移行するタイミングで上場を取引所として公式に発表しております。
https://gemini.com/blog/upcoming-support-for-filecoin
米国最大手暗号資産取引所Coinbase(コインベース)への上場を発表
コインベースはビットコインの保有枚数が世界一の取引所として有名です。その規模は98万4300BTCというとても大きな数になります。暗号資産市場への影響も大きく、コインベースで取引ができることがプロジェクトの中でもステータス扱いになっております。そのコインベースも2020年4月にFilecoinを取り扱う事を発表しております。上場のタイミングはFilecoinがメインネットへ移行するタイミングと予想されており、予定では2020年度中になるでしょう。
https://blog.coinbase.com/coinbase-custody-to-support-celo-gold-cgld-filecoin-fil-keep-network-keep-near-protocol-6b54fc4c183a
イーサリアム創業者ビタリックがIPFS技術を採用するとツイート
暗号資産時価総額ランキングでは常に上位であるイーサリアムもIPFSの技術に着目しております。創業者であるビタリックも以下のように発言をしております
「ウェブサイトethereum.ethでENSを介したIPFSとアクセス可能になりました。」
https://twitter.com/VitalikButerin/status/1244940021272064000
IPFS技術を採用したブラウザサービス「Brave」が日本でもユーザー数を伸ばす
国内取引所bitFlyerやGMOコインへいきなり上場し話題となったBATという暗号資産は「Brave」プロジェクトのトークンです。このIPFS技術を採用したブラウザサービスは実際に需要もあり、ユーザー数が右肩上がりで増加中です。コインオタクでもニュース解説として取り上げております。
https://coin-otaku.com/topic/55682
IPFSとブラウザサービスの連携は必須で、「OPERA」や「Firefox」もIPFS技術の採用を検討しております。このように実際にニーズのあるサービスは、一気に市場が拡大します。
Filecoinの成功要因はICOの有効活用
ICOプロジェクトに投資をしていた暗号資産投資家の方にとってみれば、他のICOプロジェクトと何が違うのか疑問に思う事でしょう。こちらについて解説します。
まず、ICO自体は非常に画期的な資金調達の仕組みであり、プロジェクトが発行するトークンを購入するという形をとります。すなわち、トークンを利用する未来のユーザーへ先行して販売をするため、資金調達とユーザー獲得と市場リサーチが同時に可能となります。さらに(当時は)国境を問わず資金調達が可能であったため、サービスをリリースしたタイミングでは一気に世界展開もできます。多くのプロジェクトは資金調達のしやすさに着目してしまい、本来の対象顧客やパートナーではない属性に手を広げ、結果、サービスリリース後に再度マーケティングをやり直すという事態を招きました。
今回のFilecoinはICOの参加者をスクリーニングし、総資産額1億ドル以上の投資家、または年間で20万ドル以上の利益を出した投資家といういわゆる適格投資家に限定しました。その結果、WINKLE VOSS Capital、Andreessen Holowitz Capital、Digital Currency Groupなどのクリプト系キャピタルからSEQUOIA Capital、Y Combinatorといったシリコンバレーを代表するキャピタル、Coinbase、SKYPEといった企業、さらにはIT企業をいくつも輩出したスタンフォード大学までもが参加し、彼らは現在の暗号資産市場へ大きな影響力を持ち、Filecoinサービスをインキュベーションすることへ貢献していきます。
Filecoinの根幹技術IPFSを理解する
そもそものIPFSについても理解をしておきましょう。従来のIPFS情報は主に技術者向けの配信のみでした。そのため、暗号資産の投資家としても理解をするには非常に時間がかかりました。今回は、多くの方に理解しやすいように一般論を交えて解説します。
本当に技術的な詳細を知りたい方は以下の公式サイトへアクセスして下さい。日々の技術者や投資家との質疑応答が開示されております。
Filecoin公式サイトブログ
https://filecoin.io/blog/
IPFSとはInterPlanetary File Systemの略称であり、日本語で言えば「分散化ファイルシステム」です。分散化という理解が一般的ではないため、シンプルに言えば「データをみんなで管理しよう」です。
「データをみんなで管理する理由」は「データを1か所で管理することに課題が生じた」ためです。分散と対する言葉は集中であり、現在多くの提供されるサービスは企業に集中しており、分散化に対して中央集権化と呼ばれます。あたりまえのことですが、サービスを提供するうえで企業や政府がデータやルールを管理しているという事です。
FacebookやLINEなどのSNSを始め、ファイル転送サービスやメールなどなどユーザーの多くは企業を信用しデータを預けます。時として情報が漏洩する場面では、責任をもってデータを預かった企業が謝罪をするケースが多いです。
いままではビジネスとして成り立っておりましたが、今後は5Gという新しい通信規格が誕生し、やり取りするデータ量は莫大になります。さらに、新型コロナウイルスが社会にパンデミックを招いたことでリモートワークの文化になり、データをやり取りする場面が大幅に増加傾向です。
一つ目の課題は、増加するデータ量に対して、保管をするデータセンターが追い付かないという点です。
2024年市場予測データセンターサービス 3兆2,549億円(45.4%増)
(データセンタービジネス市場調査総覧 2020年版)
https://www.fcr.co.jp/pr/20040.htm
※国内市場だけでなく海外も同様に市場は拡大しております。
もう一つの課題は「超高速と超低遅延(リアルタイム)」への対応です。
これは5Gという新しい通信技術が自動運転やIoTなど新しい産業を誕生させることで必要になります。データサーバはアクセス過多になると速度が落ち、サーバがダウンするという事が起きます。5Gの新しい産業ではこれを起こしてはいけないため、平常時の需要以上に余剰分の設備が必要となります。IPFSの技術は耐障害性に優れており分散してデータを保管している為、一つのデータサーバがアクセス過多で遅延しても別のデータサーバへアクセスをするという事ができます。
他にも従来の中央集権では実現できなかったサービスモデルがどんどん誕生しており、IPFS技術を評価する声が大きくなってきております。
よくある質問として、分散化が素晴らしいのであれば、なぜ最初から分散化で仕組みを作らなかったのか?と疑問が生じますが、分散化にも課題があります。それは、分散化は強制力がなく、物事が進まないという点です。最初から分散化だった場合、もしかするとインターネットも誕生しなかったかもしれません。
どちらが良い悪いと判断するのではなく、分散化も集権化も必要なものと認識すると良いでしょう。
今後、分散化だけの社会になるとも言い切りません。分散化も集権化もバランスを持って存在する社会になると予想します。
世界各国でIPFSを採用する動きが加速
IPFSはすでに説明した通り、暗号資産市場だけのものではありません。ブロックチェーン技術と肩を並べる需要が存在する新テクノロジーです。そこで、大手企業もIPFSに着目し行動を起こしております。
NetflixのIPFS事例
ネットフリックスは米国大手動画配信サービスの会社で契約者数は世界で1億2500万人を超えるとても巨大な企業です。ネットフリックスはオリジナル作品に力を入れ、年間の製作費は約1.8兆円を超えるなど、日本のすべての放送局が協力しても到底太刀打ちができないレベルになり話題となりました。そんなネットフリックスも作品は全てデータとして世界各国で視聴が可能となります。
問題になるのはデータの取り扱いです。いまはAmazon Web Services(AWS)を前面に使っているようですが、世界展開の規模になると選択肢はAWSしかないのが現状です。そこで、IPFS技術が選択肢の一つになるのではないかと2019年より検証が始まりました。その様子はFilecoin公式ブログで公開されております。近い将来Netflixのサービスの一部はIPFS経由で視聴できるようになりそうです。
https://blog.ipfs.io/2020-02-14-improved-bitswap-for-container-distribution/
MicrosoftのIPFS事例
世界で最も普及しているパソコンOS Windowsを展開するマイクロソフトは世界人口の2割を超える15億人が利用していると言われております。そんな大企業の課題は「顧客IDの分散管理」です。
企業は全ての顧客情報を保有したがるという幻想がありますが、実際には企業も過剰な情報に関しては管理をしたくないというのが本音です。
そこで、ブロックチェーン技術が誕生し、顧客情報は顧客自身が管理をするという検証が行われました。しかし、なかなか実現には至りません。原因は、ブロックチェーンの課題である保管できるデータ容量の限界と取引速度の遅さです。これを解決する手段としてIPFS技術が着目されております。ブロックチェーンかIPFSかという選択ではなく、ブロックチェーンとIPFSを使って課題解決する流れが今後のメインになるでしょう。
上記以外にもIPFSでデータを分散化する動きは毎日のように出てきておりますが、中でも
DeFiと呼ばれる分散型金融の動きはこれから活発であり、ここでもIPFSは重要な役割を担いますが、こちらについては別の機会で詳しく解説いたします。
いかがでしたでしょうか。
IPFS技術やFilecoinプロジェクトはまだ技術者が検討している段階です。そのため、世の中で取り扱われる情報は技術的な話題が多く、一般投資家は理解しにくいのが現状です。
まるで、ビットコインが誕生したばかりの頃と似ております。
そして、2020年秋ごろを目安にFilecoinプロジェクトがオープンし、IPFSの採用が一気に広がる世の中が期待されております。
ぜひこの新しい波に乗り、市場を応援していきましょう!皆さんが応援することで新しいテクノロジーの浸透が加速し、より便利な世の中が実現していきます。
Filecoin(ファイルコイン)はマイニング市場にも大きなインパクトを与える!<2020年6月18日記事更新>
https://coin-otaku.com/topic/56029
この記事を書いた人
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