週刊東洋経済ビットコイン(Bitcoin)特集
週刊東洋経済(2017年11月4日号)にて、ビットコイン(Bitcoin)の特集が組まれました。
今回はその内容について解説していきたいと思います。
暗号資産の拡大に悩む規制当局
「暗号資産元年」と言われる2017年。
ビットコイン(Bitcoin)を含む暗号資産にまつわる規制や条件緩和、ICOの禁止、独自通貨発行など、様々なニュースが飛び交い、各国の政府は急速に浸透しつつある暗号資産に対する見解に追われているように感じます。
東洋経済では各国の見解についてまとめた記事を出し、各政府の対応や今後の方向性を分かりやすく解説しました。
最大のリスクは国単位でコントロールできないこと
最大のリスクは、各国の金融政策の実効性を毀損するおそれだ。1844年にイングランド銀行がポンド紙幣の事実上の独占発行権を得て以降、各国中央銀行も同様に通貨発行権を独占してきた。
その権利を持つ代わりに、中央銀行は通貨価値の安定を求められ、金融調節を行ってきた。
暗号資産が一段と普及し、世界レベルで独自の経済圏が構築されると、各国の金融政策の実効性が低下し、ひいては自国通貨の安定性を損なう引き金となる恐れがある。
引用:週刊東洋経済2017年11月4日号
上記のように、法定通貨より暗号資産が力を持った場合、 国が政策によってコントロールできないことが一番のリスク であると考えます。
これは金融政策では国のインフレ・デフレをコントロールできないことを意味します。
そしてもうひとつが マネーロンダリングに対する防止策が整備されていないこと 。
以前シルクロードという違法サイトにてビットコインを使った裏取引が横行し、FBIが摘発したという事件がありました。
最近では東洋経済でも記載されているようにワナクライ事件が有名です。
利用者と規定の困難性を逆手にとって、不法商品取引やテロ組織などの資金洗浄の手段として利用されうる。
実際、今年5月に「ワナクライ」というPCウイルスが世界中に拡散したときには、ウイルス除去の「身代金」の支払い手段としてビットコインが指定された。
引用:週刊東洋経済2017年11月4日号
また、近年では北朝鮮がビットコイン(Bitcoin)を使って資金調達をしているというウワサも耳にします。
貨幣と認める認めない争論や税金をかけるかどうかの前に、
各国の政府が全力を持って取り組まなくてはいけないことがある と感じます。
分かれる各国の規制体制
まずは一覧表をご覧ください。
主要国は一定の制限を設けて取り扱いを許容 -各国当局の暗号資産の規制状況-
国または地域 | 仮想通貨の取り扱い | 規制主体 | 規制などの内容 |
---|---|---|---|
日本 | 法令順守が前提 | 金融庁、財務局 | 2017年4月に改正資金決済法が施工。世界で初めて仮想通貨を法律で定義づけした。仮想通貨交換業者は金融庁への登録が必要 |
米国1 | 制限(官公庁、州ごとに対応が異なる) | 商品先物取引委員会 | 仮想通貨を「商品」と定義。信用取引を取り扱う仮想通貨取引所は、「先物取次業者」として事前許可が必要 |
米国2 | 制限(官公庁、州ごとに対応が異なる) | 金融犯罪捜査網 | 仮想通貨取引所に対し、口座開設にかかる本人確認とマネーロンダリング防止に関する対処プログラムの作成を要求 |
中国 | 法令順守が前提→制限 | 中国人民銀行 | 9月4日に中国人民銀行はICOを「金融秩序を乱しかねない」かつ「許可を得ていない調達行為」として禁止。ICOを行った企業には投資家に資金を返却するよう求めた |
香港 | 規制なし | 香港金融管理局 | 13年11月に香港金融管理局の最高責任者が、ビットコインは「仮想的商品」であるとして、「ビットコインを規制しない」と発言(仮想通貨に関する詐欺や犯罪が起きた場合は、現行法に基づいて措置を取る) |
韓国 | 規制なし→規制強化 | 政府 | 17年9月に金融員会など関連当局が仮想通貨の規制を検討する会合を開いた。17年中に規制の枠組みを作り、18年施工を目指す |
シンガポール | 法令順守が前提 | 金融管理局 | 14年3月に、マネーロンダリングやテロ組織の資金調達で仮想通貨が利用されるリスクを回避するための規制を導入 |
ドイツ | 法令順守が前提 | 連邦金融監督庁 | 14年2月にマネーロンダリング防止の観点から、銀行法で仮想通貨取引所等を規制対象に追加 |
フランス | 法令順守が前提 | プルーデンス規制・波状処理庁 | 14年1月に仮想通貨取引所等を「マネーロンダリング・テロ資金対策に係る規制」の対象に追加 |
ロシア | 禁止→政府の認定通貨のみ利用可 | 財務省、中央銀行 | 14年1月にロシア連邦中央銀行は「ビットコインの使用はロシアで禁止されている貨幣の代替えに当たる」との名声を発表。17年10月に政府独自の仮想通貨発行で調整中と報じられる |
ベネズエラ | 禁止→許可 | 政府 | 17年6月に銀行規制当局の監視の下、ビットコイン取引所Monkeycoinの運営を公式に許可することを決定 |
ボリビア | 禁止 | 中央銀行 | 14年5月に「政府または当局が発行・管理している通貨以外のものを利用することは違法である」旨の声明を発表 |
このように、各国判断に悩んでいる様子が見受けられます。
今まで認めていたものを180度変え禁止にした国もあれば、最初から禁止している国など様々です。
ここに記載されていない国についても、 大方が「法令遵守が前提」 としている様子。
今後の見解から目が離せない状態となっております。
スウェーデン政府、ビットコイン(Bitcoin)で税金を支払い可能に
政府が規制しようが関係ない
いくら政府が規制したところで、国民の暗号資産を認める声は抑制することができず、浸透するのはもはや時間の問題です。
ロシア当局は14年にビットコインを通貨のように扱うことは違法だとしていたが、今年になってその利用を合法化する動きが見られた。
しかし10月「クリプト・ルーブル」と呼ばれる独自の暗号資産を発行し、それ以外の暗号資産を禁止する方向で当局が調整していることが明らかになった。
引用:週刊東洋経済2017年11月4日号
こんなことをしても全く意味がありません。
国内では、東京三菱UFJがコインの価値を「1コイン=1円」に固定した「MUFGコイン」を発行するとしています。
暗号資産が便利とされる所以は、ボーダーレスで国境を越えた取引ができることです。
これを取ってしまっては新たな革命は起こり得ません。
政府が禁止している国でも、大手金融機関や中央銀行はリップル(Ripple)の描くRipple Netに賛同している国がいくつかあります。
便利なものは便利と認め、利便性が損なわれない法整備を打ち出してくれることを、切に願うばかりです。
リップル(ripple)を採用する国外金融機関まとめ
リップル(ripple)を採用する国内金融機関まとめ
まとめ
フィンテック(FinTech)技術により金融のマーケットに新たな風が入ってこようとしています。
法整備を急ぐあまり、間違った方針を出し、その波を抑制してしまっては新しい時代は訪れません。
これだけ利便性の高いものを生かすも殺すも政府次第。いや、いくら潰そうとしても潰すことができないところまで来ています。
SBIの北尾吉孝氏が中国を批判したように、
潰せない波と知った時点で、逆にそれを飲み込むような政策を打ち出した方が国のためになるのでは無いかと感じます。
日本の政府には良い政策を立ててもらえるよう、期待したいところです。
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written by yuta takahashi
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