Prime Trust:破綻危機と仮想通貨喪失
米国ネバダ州の金融機関局は、仮想通貨カストディ企業、Prime Trustが財政困窮に見舞われており、管理不適切と判断。
そのため、同社の資産管理者を指名するよう司法に提案しました。これにより、Prime Trustの運営は完全に覆る可能性があります。
すでに、金融機関局はPrime Trustの新たな資産取得を停止しています。
裁判所への申し立てによると、Prime Trustは、顧客に対する莫大な負債を抱えています。
現金で約122億円(8,500万ドル)、仮想通貨で約99億円(6,900万ドル)の負債があり、手元に保有している現金および仮想通貨の額はその負債をカバーできるほどのものではありません。
さらに衝撃的なのは、Prime Trustが仮想通貨ウォレットへのアクセスを喪失し、代わりに顧客の資金を使って新たに仮想通貨を購入していた事実です。
現在も、問題のウォレットへのアクセスが不可能な状況が続いています。
仮想通貨カストディPrime Trustが事実上破綻 ウォレットへのアクセス喪失か
COINPOST
米プライムトラスト社の破綻と仮想通貨カストディ業界の課題
Prime Trust(プライム・トラスト)という企業が仮想通貨の保管過失により破産するという事態が発生しました。
同社は仮想通貨の保管事業を主軸に置いていました。
ここでは、なぜ専門家がミスを犯したのかという問いと、仮想通貨を取り扱う企業が直面する課題について解説します。
仮想通貨の保管という特殊な業界ですが、専門家であろうと初心者であろうと、仮想通貨の保管方法は基本的に同一です。
資産を保全するためにはハードウェアウォレットやマルチシグウォレットを使用します。
プライムトラスト社はウォレットサービスの企業と提携をしておりましたが、その提携が解消された後に問題が起きており、創業時と異なる運用によりミスが生じたと考えられております。
仮想通貨の保管における難題の一つは、その操作が不可逆であるという特性です。ミスを犯すと、取り返しのつかない結果を招くこととなります。
現状では、このような事態に備える保険は存在しません。人間である以上、作業ミスを完全に排除することは困難です。
プライムトラスト社は保管にミスがあったことを認めておりますが、それを取り戻すことができず、結果、倒産に至りました。
すべての仮想通貨資金をウォレットで管理すべきだという視点は、この問題に対する効果的な解決策となり得ます。
しかし、それは単に責任を個人に分散するだけで、問題の根本解決には至りません。
2023年7月に、SBIクリアリングトラスト株式会社が日本で初の保管事業を開始する予定です。
国内の取引所はこれまでに様々なトラブルを引き起こしてきた経緯があり、取引所への信頼が十分に築かれているとは言えません。
仮想通貨を保有するにはウォレットを利用することが一般的と言われている理由です。
この背景から初心者にとって仮想通貨を始める障壁の一つとしてウォレットの利用が挙げられます。
しかし、仮想通貨信託業務の一般化により、取引所を利用するための障壁は大幅に下がることが予期されます。
取引所を信用するか否かに関わらず、資産が保全されることになります。
市場が拡大するにつれてミスやトラブルは避けられないものとなりますが、市場参入を考える仮想通貨関連企業、特に日本の事業者にとって、仮想通貨信託保全は必須の要素となるでしょう。
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