こんばんは。金崎明人です。
長雨が続き気分が滅入ってしまいますね。
ついつい身近なことばかり気にしてしまいますが、世界、いやデジタル世界はこうしている間にも激しい競争を繰り広げています。
今回はデジタルプラットフォームを握るGAFA(Google,Apple,Facebook,Amazon)にスポットを当て、解説していきたいと思います。
あなたの生活の大多数は米国企業のGAFAによって成り立っています!
AMAZONの次なる種?
Amazonが特に大きく伸ばしている事業が、広告事業です。具体的な売上は公開していませんが、広告事業を含むその他部門の売上高は前年同期比で83%増の79億1400万ドルで、2021年第1四半期(1月~3月)と共に大きな成長率を見せています。AmazonはTwitchやFireTVなどのストリーミングメディアプラットフォームを抱えており、これらにおける広告収入が増えていると考えられます。
GIGAZINE Amazonの2021年第2四半期売上は市場予想を下回り成長も鈍化、ただしAWSと広告事業は好調 より
皆さんの生活でもお馴染みのAmazonですが、直近の決算(2021年第2四半期)では売上高 約12.4兆円を叩き出したものの、市場予想を下回る結果となり、増益にも関わらず1日で7%マイナスの失望売りにつながりました。
ちなみに、7月末から8月中旬にかけては多くのアメリカ企業の第2四半期決算が発表されるので大きく相場が動きます。
全体としてアメリカ市場は絶好調で、株価指数は連日の高値を更新していますが、中には当然凸凹はありますのであまりリスクを取りたくない方は無難なインデックス投資をされると良いかもしれませんね。
冒頭で紹介したAmazonですが、ウォルマートの猛追もあり、ネットショッピング事業は薄利多売、稼ぎ頭のAWS(Amazon Web Serviceと言われるクラウド事業)もマイクロソフトのAzureやGoogle cloudといったサービスとの競争が激化しており、今後は厳しい見方をされています。
そんな中、広告事業をFacebookや既存の企業からシェアを奪い、次の事業の種にしようとしているという所がさすがAmazon、抜け目ないなと(個人的に)感じた決算でした。
国家規模にまで大きくなったGAFA
インターネットでよくバブル期の日本企業の凋落がネタにされる画像をよく見かけますが、それ以上に米国のテック企業と中国の国力が増したことに注目すべきで、本当にマクロの動きを見逃してはいけませんね。
教養として企業の時価総額規模を知っておくことは投資をするしない関わらず重要ですので、下記にておさらいしましょう。(2021年6月末時点)
1. Apple(米国) 時価総額2.3兆ドル、情報技術
2.マイクロソフト(米国) 時価総額2兆ドル、情報技術
3.サウジアラムコ(サウジ) 時価総額1.9兆ドル、エネルギー
4.Amazon(米国) 時価総額1.7兆ドル、一般消費財/サービス
5.Google(米国) 時価総額1.6兆ドル、コミュニケーション/サービス ※持ち株会社アルファベット
6.Facebook(米国) 時価総額0.9兆ドル、コミュニケーション/サービス
7.テンセント(中国) 時価総額0.7兆ドル、コミュニケーション/サービス
8.テスラ(米国) 時価総額0.7兆ドル、一般消費財/サービス
9.バークシャーハサウェイ(米国) 時価総額0.6兆ドル、金融業
10.台湾セミコンダクター(台湾) 時価総額0.6兆ドル、製造業
間違いなく言えることとしては、恐るべしGAFA。
ちなみに世界のGDPランキング10位のカナダは1.7兆ドルで、時価総額世界1位のAppleはGDP世界8位のイタリアに匹敵する規模となっています。
当然、時価総額はGDPとは異なりますので単純な比較はできませんが、国家クラスの経済力を持つと評価されていると言っても過言ではありません。
なお、世界に誇る日本のTOYOTAは世界時価総額ランキング36位でナイキやネットフリックスと同じほどの規模となっています。
日本のトップ企業で世界時価総額TOP100に入っているのはTOYOTAだけですので、日本は経済大国、とよく言われますが企業の時価総額や一人当たりのGDPで考えると、既に日本はそうではないということを知っておかなければいけません。
GAFAが狙う領域は暗号資産?
先ほど紹介したようにGAFAはデジタルプラットフォームを握っているため多くの投資家から高く評価され、文字通りの世界トップ企業となっています。
実際、GAFAを抜いた株価指数を作ってみた場合、実は米国企業も日本企業も成長率に差がなかったという検証があるほど、アメリカの経済力に大きな影響を与えています。
そんなGAFAですがデジタル領域をほぼ「侵食」した感が出ており、かつてほどの成長率は叩き出せなくなってきました。
コミュニケーションに特化したzoomや決済に特化したVISAやスクエアといったようにGAFAが侵食してこなかった領域でニッチなポジションを確立した企業が出てきましたし、中国では規制で進出が難しい、インドやブラジルではローカル企業も成長してきている、また国内でGAFAに一方的にやられてきた企業もデジタル化を推進し始めた・・・
等の理由で90年代や00年代、10年代の勢いはなく、良くも悪くも成熟化してきているという意見もあります。
GAFA内で現在はサブスクリプションサービスの競合やクラウドコンピューティング事業の競合が始まり出し、デジタル領域を開拓した後の“陣取り合戦”が始まりつつある中で、密かにGAFAが目を付けているのが暗号資産関連事業と言われています。
Facebookが暗号資産リブラを開発し、米国政府の強い圧力を受け、ディエムと名を変え、ビジネス化を模索中であるというのは有名な話ですが、他のApple、Amazon、Googleも2021年に入って動きを加速させています。
Appleは暗号資産技術者の採用を拡大させ、Amazonは決済に暗号資産を活用することが社内検討されているといったことが報道に出始め、つい最近ではGoogleが下記のような制限解除に動き始めました。
Googleは8月3日、米国で禁止していた暗号資産関連の広告の一部に対して制限を解除した。DeFiやICOに関する広告は引き続き禁止されている。
ICOや暗号資産の販売に関する広告がピークにあった2018年6月に、Googleはプラットフォーム全体における暗号資産関連の広告を禁止する対応を取っていた。2021年6月に入り、この制限の一部を8月3日に解除する方針を発表し、予定通り実行されている。
Hedge Guide Googleが暗号資産関連広告の制限を一部解除、ICOやDeFiは引き続き禁止対象に より
もちろん彼らにとって暗号資産は新規事業の一つに過ぎないのかもしれませんが、デジタルプラットフォームを牛耳る企業が暗号資産の領域にも進出する、というのは大きなインパクトを与えます。
暗号資産の持つ技術を彼らがビジネスに活用したいのは間違いなく、暗号資産関連への投資が行われるのは間違いないでしょう。
大から小へ
以前は情報過多だからこそ、身動きが取り辛くなるという記事をシェアしましたが、大切なのは「大を捉え」「流れを予測してみる」ことに尽きるかと思います。
日本からGAFAが生まれなかったのは本当に残念(この理由を書くと1記事書けるレベルになってしまいます)ですが、少なくとも私たちの世代がリタイアするまではGAFAはデジタルプラットフォームを握り続けるでしょう。
そんなデジタル界の巨人の動向を追うことが一番、世の中の流れを知る手っ取り早い方法なのかもしれませんね。
ちなみに個人的な分析で、GAFAのうち、GoogleとAmazonに将来性を感じ、私はAmazonにある程度のポジションを持っていますが、あくまで投資は自己責任でお願いします。
Amazonのもつポテンシャルは計り知れませんが、ジェフベゾス引退後のマネジメント次第ではかつてのマイクロソフトのように低迷するかもしれません。
未来は誰にも分かりませんが、5~10年後にまた答え合わせをしたいと思います。
以上、金崎明人がお送り致しました。
この記事を書いた人
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東証一部上場企業で会社員として働くも、趣味の業界であるため、ストレスフリーで過ごす。 ファンダメンタル分析をベースに長年相場で戦い、経済的なストレスからも解放され、ストレスフリー。市場平均は常に超えてます。 社畜を軽蔑していることからか、辛口コメントなのがタマにキズ。
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