「Multichain」CEO逮捕、閉鎖へ
クロスチェーンルータープロトコル「Multichain」のZhaojun CEOが逮捕された事と、運営資金の不足からプロトコルの閉鎖が決定しました。
CEOの逮捕以降、コミュニケーションが途絶え、MPCノードオペレーターからの情報により運用アクセスキーが無効化されていることが明らかになりました。
Zhaojunの妹の協力で一時的にシステムへのアクセスが可能となったが、7月7日にユーザー資産が不正に転送された事件を引き起こした後、彼女も逮捕されました。
現状、CEOやその妹の拘留が不正流出と直接関連があるかどうかは不明です。
不正流出のあった「Multichain」のCEO逮捕、プロトコル閉鎖へ
COINPOST
Multichain崩壊から見るDAOの誤解:新興プロジェクトのリスクについて
仮想通貨市場が活発化する一方で、トラブルも増加しています。
DAOやDeFiのような分散型プラットフォームのリスクを理解することは、未来への備えとなります。
市場を揺るがせたニュースは、クロスチェーンブリッジプラットフォームの大手であるMultichainプロジェクトのCEO逮捕とサービス停止です。
2023年5月にMultichainプラットフォームのトラブル報告があり、市場はこれを一般的なハッキングや資金の不正流出と捉えました。
Multichainはクロスチェーン市場の大手ですが、市場自体がまだ黎明期の段階にあり、ユーザーはこのようなトラブルを受け入れやすい傾向にあります。
しかしながら、2023年7月、追加報告とともにサービスが停止された際には流れが変わります。
特に驚きだったのは、Multichainプロジェクトの運営の実態が非常に属人的であった事実です。
仮想通貨プロジェクトの責任者が、様々な問題で逮捕されることはあります。
Multichainが大規模な不正流出に関与した際に、中国当局がCEOのZhaojunを逮捕・拘留することは、正常な行動でした。
この時点で、ハッキングの報告に加えてCEOが逮捕されたという情報があれば、被害はずっと少なかったでしょう。
その後、CEOが逮捕されてもプロジェクトは続行します。
DAOやDeFiのようなブロックチェーン技術を採用する多くのプロジェクトは分散化を目指し、権限の集中化を避ける傾向にあります。
そのため、CEOがいないために創設者が逮捕されるケースもあります。
創設者が逮捕されてもプロジェクト自体は問題なく進行することもあります。
業界の常識に沿っており、最初の不正出金の報道があった後でも、多くの人々はそのままMultichainを続けて利用していました。
しかし、7月にはCEOのZhaojunの家族が、Multichainの資産にアクセスする過程で当局により逮捕されました。
Zhaojun CEOの家族はプロジェクトのための資金を転送するために運用資金にアクセスしたかもしれませんが、結果として、資金は凍結され、Zhaojun CEOまたはその家族しか動かせず、プロジェクトは行き詰まる結果となりました。
全てのアクセス権がないため、サービスサイトを閉じることすらチームではできないという状況で、Multichainにアクセスしないように各方面に働きかけているというのが今の現状です。
今回の問題は、中国当局が市場への影響を考慮せずにCEOを逮捕した件ではありません。また、運営が不正出金が起きないようにセキュリティを怠った件でもありません。
問題なのは、Multichainが分散型サービスではなく、Zhaojun CEOの個人的な権限が強すぎたことです。
今回のような逮捕ではなくとも、Zhaojun CEOが事故や病気で亡くなった場合でもプロジェクトの資金にアクセスできなくなっていたことでしょう。
日本では「銀行」や「保険」の言葉を勝手に会社名に付け加えることはルール違反となっています。
これは、ユーザーが誤解する可能性があるからです。
仮想通貨市場では、DAO、DeFi、DEXという用語が当然のように使われていますが、実際の運営が分散化していないケースもまだ多いです。
そもそも、これらの言葉の定義はまだ十分ではなく産業と呼べるレベルまで成長していません。
分散化されているから資金は安全だと誤解しやすいので、名前やサービスだけでなく、実際の運営の実態も確認する必要がしばらくはあります。
また、トラブルは特定の業界に集中することがあります。
しばらくの間、クロスチェーンブリッジプラットフォームを使用しないで様子を見るのが良いでしょう。
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