クロスチェーンと取引マイニングを導入した次世代DEX取引所、FSDEX

調査員取材

DEX取引所をご存じでしょうか?

「Decentralized Exchanges」の略称で分散型取引所という意味です。最近では分散型取引所ではないことを明確にするために集権型取引所の場合は「Centralized Exchange(CEX)」という名称で呼ばれています。

まだまだ暗号資産取引所の主役は集権型取引所で、世界的に見ても集権型取引所が売り上げ・流通量ともに上位を独占しています。しかしここ近年、そのような上位の取引所も分散型取引所を立ち上げています。

今回は中国のFSharesというプロジェクトによって立ち上げられた新しいDEX取引所「FSDEX」について紹介します。

FSharesとは

FSharesは正式にはFutureSharesという名称で、次世代インフラを創造していくプロジェクトになります。

EOSのブロックチェーンをベースとしており、トークン発行やスマートコントラクトの確立を目指しています。

FSharesが特に力を入れているのは、スマートコントラクトの開発です。WASM WebAssemblyという技術を使って、FSharesはスマートコントラクトのサポート体制を整えています。

さらにFSharesは従来の中央集権型取引所に代わる、次世代の取引所「DEX(分散型取引所)」をプラットフォームとして開発しており、「FSDEX」を9月20日にオープンいたします。

プロジェクト名:FShares(エフシェアーズ)

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WASM WebAssemblyとは

スマートコントラクトは画期的な技術として見られているものの、問題点も指摘されています。その問題点のひとつがデータの入出力です。
スマートコントラクトでは、さまざまな条件を設定することが可能です。しかし同時に条件を満たしているのか判断するためのデータが欠かせません。このため複雑なアプリケーションを十分にサポートできないという悪循環を招いていました。
スマートコントラクトのこの悪循環を修正するためには、データ収集の効率化が必要不可欠です。データ収集の効率化のためにFSharesが目に付けたのがWASM WebAssemblyになります。

WASM WebAssemblyのメリット

WASM WebAssemblyのメリットは対応言語の多さです。プログラムを開発するためには、プログラミング言語という専門技術が必要です。プログラミング言語の中には一部互換性のあるものもありますが、多くの言語には互換性がありません。そのためどのような言語で開発されているのかは、開発者にとって非常に重要な問題です。
WASM WebAssemblyはC、C ++、Golang、Rust などの複数の言語に対応しています。これらの言語は他のプログラムの開発で使われることも多く、サポート体制も整っています。修得している開発者の数も多いので、他分野からの転職も可能です。

DEX(分散型取引所)の特徴

DEX(分散型取引所)の特徴は中央管理者の排除です。

従来ある中央集権型の取引所は、運営者(取引所)がトレーダー間の取引を仲介することで円滑な取引を行うことができ、暗号資産を購入したい人と売却したい人をマッチングさせ、取引を成立した際に発生する手数料を利益にしています。

しかし、中央集権型の取引所に資産を預けている場合、秘密鍵やアドレス、個人情報などを取引所に委任する形となるため、不正流出やハッキングなどのリスクが付きまといます。

DEXと 中央集権型の取引所とは異なり運営者(取引所)の存在がなく、中央管理者を介さずにユーザー同士で直接暗号資産を取引できる取引所 のことです。

そのため、余分な手数料を運営者(取引所)に支払う必要はありません。また、秘密鍵やアドレスは売買したいユーザー同士が自分の秘密鍵とアドレスを用いて直接取引を行うことができ、ハッキングされるなどのリスクも無くなるので、セキュリティーが優れています。

これはプラスに働く部分も多い反面、マイナスに働く部分も多く、取引所側だけではなくトレーダー側も慣れていく必要があります。

DEX(分散型取引所)のメリット

プラスに働く部分は、手数料の削減とセキュリティーと透明性の向上です。

中央集権型の取引所には価格操作や取引量の水増しなど不明確になっている部分があります。DEXでは透明性を高めることで、不明確な部分を減らし、また途中介入が減ることにより操作速度も上がるため、使いやすさの向上に繋がっています。

手数料が安い

中央集権型の取引所では、常にサイバー犯罪者からユーザーの資産を守るためのセキュリティーシステムの構築と優秀な人材を配置するためにコストがかかってきます。そのため、取引所は手数料を徴収することで運営ができています。

 DEXは中央管理者がいないので、取引所を維持するためのコストが削減されるため、多くの手数料を払わなくてすみます。 

セキュリティーが高い

今までハッキング被害や持ち逃げがあった取引所は全て中央集権型取引所です。また、ハッキングのような外部からの攻撃だけではなく、取引所は秘密鍵やアドレス、個人情報を管理しているため、悪意ある運営者の場合は内部からの攻撃もあり得ます。

日本国内ではMt. Gox、Coincheck、Zaif、Bitpointが不正流出事件を起こしており、秘密鍵を運営側が管理していたことで発生しました。

DEXでは個人情報の登録は必要なく秘密鍵とアドレスは自分たちで管理をし、中央管理者がいないのでハッキングや持ち逃げを防ぐことができます。

本人確認が不要

従来の取引所で取引を行ったり入出金をする場合は、はじめに本人確認書類の提出が必要になってきます。

これも運営が管理するので情報漏洩の可能性もあり、記憶に新しいのはバイナンスユーザーの個人情報がテレグラムのグループに勝手に公開されたニュースがありました。

現在、DEXでは本人確認書類の提出の必要はありませんが、 将来的には本人確認が必要になる可能性もあります。 

価格操作のリスクが低い

暗号資産の市場では、仕手による価格操作が問題となっています。

外国為替のように取引量が大きいと相場の価格を操作することは難しくなりますが、暗号資産の市場では取引所ごとに取引量が異なり規模も少ないため価格操作が可能になっています。

DEXで取引を行うことで、取引所内での価格操作を仕掛ける中心的な存在がないため、価格操作や取引高の改ざんのリスクが最小限に抑えられます。

取引量の水増しを防ぐ

もうひとつの不明確部分である取引量の水増しは、これまで何度か複数の調査会社が指摘している内容で、暗号資産取引所の取引量や取引高は、取引所の比較分析サイトに掲載されています。

しかし、これらの掲載されている数値とブロックチェーン上に記録されている数値に大きな差があるという指摘があり、 DEXでは途中介入出来るような仕組みを排除しているため、価格操作や取引量の水増しが難しくなります。 

FSharesが運営する分散型取引所「FSDEX」の特徴

FSDEXの特徴として以下が挙げられます。

  • 取引手数料が無料
  • クロスチェーンを使用
  • 取引スピードが速い
  • 取引マイニング
  • FShares Coinの発行
  • FShares Wallet

取引手数料が無料

中央集権型の取引所に比べるとDEXは手数料が少ないという利点がありますが、FSDEXはさらに驚くべきことに取引手数料が無料となっています。

これはトレード頻度が多いトレーダーにとっては非常に嬉しいシステムの一つです。

クロスチェーンを使用

 現在稼働しているDEXではプラットフォームが同一の通貨としか取引が出来ません。 

FSDEXでは、アトミックスワップという技術を用いて「クロスチェーン取引」が可能となりました。これにより異なるベースの通貨同士でも取引ができるようになります。大手取引所のバイナンスが手掛けるバイナンスDEXもCosmosのTendermintという技術を用いています。

“アトミックスワップ”

アトミックスワップは、異なるブロックチェーン上に存在する通貨を取引所などの第三者を介さずに直接的に交換する技術。

 

“クロスチェーン”

クロスチェーンとは、異なるブロックチェーン同士を繋ぐこと。 クロスチェーン取引が実現することで、取引所などの第三者を経由することなく異なる暗号資産を直接交換できるようになり、取引所が抱えるセキュリティ上のリスクや手数料などを回避できる。

取引スピードが速い

FSDEXは取引スピードが速いことも特徴で、なんと100万TPSという取引スピードを実現しています。

TPSとは「Transaction per Second」の略で、1秒間の取引数を表します。つまり1秒間に100万回の取引が可能となっています。

なお、バイナンスDEXのTPSは1秒間に数千回なので、FSDEXがいかに驚異的なスピードというのがわかります。

取引マイニング

取引マイニングとは、取引を行う度に一定額の独自通貨を得られるという仕組みです。

バイナンスのBNBやフォビのHuobi Tokenなど、取引所が独自に仮想通貨を発行している例は複数あります。しかしこれらの取引所の独自通貨は取引手数料の建て替えなどが役割であり、取引することで増えることはありません。

なお初年度のFSCの発行枚数は1億5,000万枚、その内の30%にあたる5,000万枚が取引マイニングに当てられます。

FShares Coinの発行

FShares Coinはプラットフォーム型のトークンであり、FSDEXで使用できる取引所トークンでもあります。

Fshares Coinを保有することで取引手数料を0になり、上記記載の取引マイニングにも参加することが出来、マイニング方式はDPoSという方法が採用されています。

バイナンスの取引所トークンであるBNBは発行時から最大で200倍を記録しています。

FShares Wallet

FSharesのウォレットは、ウォレット兼取引所となってます。

現在、FShares Coin(FSC)やビットコインなど合計5種類の取引ができ、取引手数料は0です。

下記からダウンロードができます。

FSDEXと他社DEXとの比較

まだ数が多いとは言えないDEX取引所ですが、既にバイナンスがDEXを立ち上げています。

しかしバイナンスDEXは執筆時点でクロスチェーン開発中であり、ビットコインやイーサリアムなどを上場させることが出来ません。

これに対して FSDEXは、FSharesが開発したクロスチェーン技術FSharesVEPのお陰でビットコインやイーサリアムの上場が可能です。 

また取引マイニングに関しては、FCoinやCROSSEXCHANGEなどの取引所が導入しており、FSDEXの取引マイニングはこれらの取引マイニングとは取引手数料無料とFSCの凍結の2点で異なっています。

FSDEXと従来DEXのチェーンの違い

ブロックチェーンは複数の種類があります。

ビットコインのブロックチェーンとイーサリアムのブロックチェーンも異なっており、互換性がありません。そのため取引をする時にもビットコイン・イーサリアム双方のブロックチェーンを個別に処理する必要がありました。

そこで異なるブロックチェーンでも互換性を持たせようという技術の開発が世界中で進んでいて、この技術のことをクロスチェーンと呼び、FSharesVEPもクロスチェーン技術のひとつです。

DEX取引所の多くは特定のブロックチェーンで管理されています。バイナンスDEXではバイナンスチェーンで管理されているため、バイナンスチェーンで管理されている銘柄のみが上場しています。

FSDEXはEOSのブロックチェーンなので、本来はEOSのブロックチェーンでサポートされた銘柄しか上場出来ません。そこでクロスチェーン技術であるFSharesVEPを使い、ビットコイン・イーサリアムなどの異なるブロックチェーン上で稼働している銘柄も上場できるようにしています。

FSharesVEPとは

クロスチェーンで重要になるのは信頼性です。ブロックチェーンにはそれぞれ異なる仕組み・仕様が盛り込まれており、利用している人々も異なります。

そこでFSharesVEPは、互いのブロックチェーンを十分に活用できるようなガイドラインを設定します。

FSDEXは取引手数料無料

仮想通貨取引所では銘柄・MakerやTaker・取引量などに応じて一定額の手数料を徴収しています。

この手数料が取引所の収益で、取引マイニングを導入している取引所でも同様に取引手数料の徴収を行っています。

従来の取引所と取引マイニング導入の取引所の違いは、取引手数料徴収後にあり、従来の取引所は徴収後に取引所側からアクションを起こすことはありません。

一方、取引マイニング導入の取引所は取引手数料と同額の独自通貨を取引所側が発行され、これによって手数料に関する各トレーダーの収支はプラスマイナス0になっているわけです。

しかし、FSDEXでは完全に取引手数料が無料です。加えて取引マイニングによるFSC発行分を獲得できるので、トレーダーは取引をする度にFSC保有額を増やし続けられることになります。

FSCの凍結

仮想通貨取引所の中には、アカウントによって1日の取引量に制限を設けていることがあり、これらの制限は本人確認を完了させるなどの手続きで制限を緩和あるいは解除していきます。

FSDEXは少し異なっており、取引前に自分の保有しているFSCの一部を凍結させます。この凍結額の1/100がFSDEX内で1日の間に取引出来る上限で、この仕組みにはFSCの売り圧を下げる狙いもあります。

取引マイニングで得たFSCを売却するためにも、更に大量のFSCを凍結させる必要があるためです。

なお凍結させたFSCは任意のタイミングで解除申請を出すことが出来、申請して24時間後に解除され、もし解除申請中に追加で解除申請を出した場合は、追加の解除申請から24時間後に合計分のFSCが解除される仕組みです。

FSDEXの今後の展望

まだ暗号資産取引所の最適解は明確になっていません。

強固なセキュリティ・安い手数料・豊富な取引ペア・厚い取引板など前提となる条件は、いくつか見えてきています。

しかし、多くのトレーダーの心に刺さるキラーコンテンツという部分はまだ明らかになっておらず、 取引マイニングはキラーコンテンツになり得る要素のひとつでしょう。 

暗号資産取引所は常にセキュリティーの対策が求められます。

中央集権型の取引所はユーザーと取引量が大きいのでトレードがしやすく便利ですが、外部や内部からの攻撃により資産や個人情報が不正流出のリスクがあり、悪質な取引所による資産の持ち逃げされる可能性があるため、セキュリティーを向上しても絶対に安全ということはないでしょう。

DEXは現状ユーザーが少なく取引量も低いですが、中央集権型取引所と比べたらハッキングされるリスクは少なく、仲介を挟む必要がなくなるため無駄な手数料を支払う必要がなくなります。しかし、すべての取引がブロックチェーン上で行われるため、スケーラビリティ問題などにより入出金が遅くなる場合があります。

この問題を解決したのがFSDEXで、FSDEXはバイナンスDEXよりも取引スピードが圧倒的に速いため、取引がスムーズに改善されています。さらに独自のクロスチェーンを開発しているので、 現状でも取り扱い通貨が他のDEXよりも多いですが、今後も種類を増やしていく予定です。 

FShares Coinという独自の取引所トークンを発行しており、取引マイニングという新しいシステムを採用したことでユーザーがFSDEXで取引するメリットが生まれました。

トークンを保有するメリットとDEXを利用するメリットを兼ね備えたプロジェクトなので、バイナンスのBNBと同じような高騰に期待したいですね。