【通貨発行権の闇？】デジタル人民元に”西側”が猛反発！

新型コロナウイルスの影響を底打った感がある東アジア。

改めて東アジアの生活様式にも感謝だと思う今日この頃です。

そんな東アジアの覇王、中国が世界に先駆けて、先手を打ってきました。

Ｇ７、デジタル人民元を牽制　麻生財務相「中国大丈夫か」

日米欧の先進７カ国（Ｇ７）の財務相・中央銀行総裁会議が１３日、テレビ会議で行われ、各国で導入に向けた議論が進む中央銀行デジタル通貨（ＣＢＤＣ）をめぐって、法の順守や透明性、健全な経済統治という必要な３つの要素を明示した共同声明をまとめた。中国が１２日から実証実験を始めた「デジタル人民元」を念頭に取引データの恣意（しい）的な利用を牽制（けんせい）する構えだ。

2020/10/13 SankeiBiz　Ｇ７、デジタル人民元を牽制　麻生財務相「中国大丈夫か」より

中国が進めるデジタル人民元

過去のニュースでもご存知の通り、中国の政治体制から、管理を強化するという側面で暗号資産を中国は国家プロジェクトとして強力に推進してきました。

今回、中国のシリコンバレーと言われ、製造業が集約している新興都市、深圳でデジタル人民元の社会実験が開始されました。

総額1.6億円のデジタル人民元を抽選で5万人にeウォレットとして中国政府が配布し、通貨の流通を実験的に監視しようという試みです。

中国では既に現金が使われなくつつあり、WeChat PayやAlipayといった決済アプリが主流になっているため、そのスキームにも対応できる、または補完するような設計思想でデジタル人民元は構築されつつあります。

5万の枠に対し、200万以上の応募が殺到したようで、この実験を経て中国政府は深圳の開発計画にデジタル人民元の研究開発や利用、技術の海外展開を加え、深圳を世界最先端の技術都市にしようという野望があるようです。

通貨の発行権は国家の根本

Facebookのリブラにも懸念を示したG7ですが冒頭のニュースのように、デジタル人民元にも懸念を表しました。

G7をはじめとする「西側」諸国は原則的に、「資本主義」、「民主主義」、「法治主義」を共通の価値観として有しており、中国のようにいくら経済的な利益があったとしても、人権問題等で相容れないところがあると躊躇なく制裁やボイコットを行います。

今回のデジタル人民元も利便性以上に、プライバシーの問題が大きく、国民すべての動きが国家の管理下に置かれるというところに「西側」諸国は懸念を抱いています。

今回の共同声明でも明らかに日米欧と中国は違うというところが改めて強調されました。

日米欧としては中国のような価値観の違う国家でデジタル法定通貨が成功してしまうと、世界中の様々な国に「中国式」のデジタル法定通貨が輸出され、G7の地位が相対的に低下してしまうのを本音では恐れているのではないかと考えています。

今の世界はUSドルが世界の基軸通貨として君臨しており、USドルは貿易の大半の決済通貨となり、また資源価格の標準価格を示す通貨にもなっています。

また、各国の中央銀行が通貨の発行権を有しており、意外に知られていませんが大体の中央銀行は「半官半民」または「民間企業」です。

国家運営の基本である通貨発行権をFacebookや他の国家に脅かされることだけは許さない。

G7から私はこのようなメッセージを強烈に発信したのだと感じました。

今後、世界共通ルールを設け、ドラスティックな変化は避け、徐々に徐々に、技術発展と法定通貨の仕組みをG7主導の下、統合していくと想定されます。

今後も続く新冷戦

中国が露骨にアメリカの覇権に挑んでいる今、長期のトレンドではアメリカと中国の対立は激化こそすれ、沈静化することはまずシナリオとしてはあり得ない状況になってきています。

現在、アメリカ大統領選でトランプが予想に反し勝利するか、バイデンが予想通り勝利を手にするか話題になっていますが、”対中国”ではどちらも厳しい姿勢を変えていません。

中国は歴史的に今まで影響力が小さかったのがおかしい程の「大国」であり、当然アメリカと対等になる、またはアメリカをも凌駕したいというのは国家目標として既定路線となっています。

新型コロナウイルス発生源である中国ですが、ありとあらゆる手段を使い、諸外国と比べ沈静化させ、世界各国が弱っている今がチャンスと言わんばかりに様々な手を打ってきています。

それの良し悪しは置いておいても、このトレンドを頭に入れておかないと時代の濁流に飲み込まれてしまいます。

短期ではなく、中期、長期の目線で資産を増やしたいと思うのであれば、時代の流れというものに逆らうべきではありません。

今後、日本の国力は衰退し、アメリカと中国の間に挟まれることが予想されます。

そんな時代をどうサバイブしていくのか？

まずは一人一人がリテラシーを向上させていくしかないと私は考えています。

以上、金崎明人がお送り致しました。