昨年マレーシアで開かれたイスラム諸国首脳会議にてイランのロウハニ大統領は、今もなお経済制裁を続けるアメリカを批判し、「イスラム世界は米ドルが支配する金融体制から脱却するための対策を取るべきだ」と主張しました。
イランは1979年以降、アメリカから軍事技術などの軍事関連の輸出の禁止や石油、天然ガス、石油化学製品に投資することも禁止されており、イランの金融機関を国際的な取り引きから締め出されています。
ロウハニ大統領はアメリカと戦うためには他のイスラム諸国と金融協力を深める必要があると述べ、すでにマレーシアやトルコなどのイスラム主要国はロウハニ大統領の意見に賛同していて、具体的な解決方法としてイスラム諸国間の各国法定通貨による貿易とイスラム法に基づくデジタル通貨の開発を提案しました。
マレーシアのマハティール首相もロウハニ大統領の見解と同様に「ドルの受け入れは国の経済成長の妨げになる制裁をもたらす」と述べ、従来の金融システムから逃れる必要性を訴えました。
ドルの支配から逃れようとする国はイスラム諸国だけではなく、先例として2000年代以降著しい経済発展を遂げているブラジル、ロシア、インド、中国が挙げられ、これらの頭文字を取ってBRICs(ブロックス)と呼ばれていて、これらの国も政府が発行する独自デジタル通貨の開発を計画しています。
米国が世界を管理する大義はあるものの、米国一強の存在はデメリットが目立つようになりました。
国同士のバランスを保っているものも通貨の存在であり、米国ドルに代わるものを市場は求めております。
暗号資産市場にとってはもちろんプラスですが、暗号資産と法定通貨の存在が入れ替わるほどのインパクトは数十年単位の時間が必要でしょう。
足元は期待が高まる暗号資産市場への投資という目線で市場と向き合う方が良いです。
市場参加者はすでに体感しておりますが、法定通貨と暗号資産がとって変わったとしても市場ではコミュニティの分断は起こります。
暗号資産やブロックチェーン技術が全てを円満に解決するツールではないことは理解が必要です。
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