日銀が約30年ぶりの水準まで利上げを進める方針を示しました。
これを「日本の金利の話」で終わらせるか、「世界の資金の話」として捉えるかで、見える景色は大きく変わります。
多くの人が為替や株価への影響だけを気にしますが、そこだけを見ていると判断は簡単にズレます。
これを独自のジャーナリズムで解説します。
日銀総裁、利上げ継続示す 30年ぶり高水準更新へ|2025年12月25日
ロイター通信の報道によると、日本銀行の植田和男総裁は2025年12月25日、東京都内で講演を行い、経済と物価の改善状況に応じて「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と述べ、利上げを継続する姿勢を改めて示した。
日銀は同月19日の金融政策決定会合で、政策金利を0.5%から0.75%へ引き上げることを決定している。これは1995年9月以来、およそ30年ぶりの水準となる。植田総裁は講演の中で、現在の実質金利について「極めて低い水準にある」と指摘し、引き締め余地が残っているとの認識を示した。一方で、次回の利上げ時期については具体的な言及を避けた。
日本経済新聞の報道では、市場参加者が織り込む次回利上げの確率は2026年前半で約6割とされている。また、2026年春闘における賃上げの継続や、日銀が目標とする2%の物価上昇率に着実に近づいているとの見方も示された。
利上げ継続の方針を受け、市場では円キャリートレードの動向にも注目が集まっている。低金利の円を調達し、高利回り資産へ投資する取引は、これまで株式や仮想通貨市場にも影響を与えてきた。円の調達コストが上昇すれば、円を買い戻す動きが強まる可能性があると指摘されている。
引用元:CoinPost
https://coinpost.jp/?p=677282
金融政策は「金利」ではなく「信頼の配置」を動かす
この出来事はこう解釈してください。
今回の利上げ継続発言は、日本の金利水準そのものよりも、「資金がどこに安心を見出そうとしているか」を映し出しています。実質金利が低いと説明される一方で、世界的には通貨価値や政策への信頼が揺らぎ、資金の置き場所が定まらない状況が続いています。
金利が上がるか下がるかという単純な話ではなく、政府や中央銀行の言葉がどこまで信用されているのか、その裏返しとして貴金属や他の資産が選ばれている点に注意が必要です。株や仮想通貨も例外ではなく、それぞれが「実態を伴っているか」を静かに問われています。
市場はまだ明確な結論を出しておらず、資金の大きな移動も限定的です。この不確実性の中で、単一の指標だけを根拠に判断するのは簡単ではない、注意が必要です。
迷っている相場に、答えを求めすぎない
このニュースを見て安心や不安を即座に決めたくなる人ほど、まだ全体を見ていません。
金利、株、仮想通貨はそれぞれ独立しているようで、実際には「何を信じるか」という一本の線でつながっています。今は誰に聞いても明確な正解が返ってこない局面であり、市場全体が迷っている状態です。その事実を受け入れること自体が、ひとつの判断になります。
ニュースは、必ずしもすべてが正確とは限りません。
また、誰が発言しているかによって、同じ事実でも意味は大きく変わります。
そもそもニュースは、出来事の「一部」しか切り取って発信されないものです。
だからこそ、ニュースだけを材料に未来を断定すると、判断を誤りやすくなります。
ただし、ニュースそのものが無価値なのではありません。
読み手が、まだ読み方を知らないだけです。
無知は無能ではありません。
ニュースの構造や背景を意識して読み解く練習を重ねれば、誰でも「今の情報」から「これから起きる流れ」を捉えられるようになります。
このメディアでは、そのための視点と考え方を伝えていきます。



























