カリフォルニア州で「超富裕層への5%資産税」が提案され、仮想通貨・テック業界から強い反発が起きています。
一見すると“一部の富裕層だけの話”に見えるこのニュースですが、実は資本主義の前提そのものに触れる論点を含んでいます。
なぜ起業家や投資家がこれほど強く反応するのか。
そして、なぜこの動きは仮想通貨と無関係ではないのか。
これを独自のジャーナリズムで解説します。
米カリフォルニア州の超富裕層への「5%資産税」に業界猛反発 仮想通貨起業家流出の懸念も|2025年12月30日
米カリフォルニア州で、純資産10億ドル(約1,560億円)超の居住者を対象に、最大5%の資産税を課す提案が示された。
この「2026年カリフォルニア州億万長者税法」は、株式、不動産、仮想通貨などを含む資産全体を対象とし、未実現の含み益にも課税する点が特徴とされている。
この税は一回限りの緊急措置とされ、支払いは一括または5年間の分割が可能だが、分割には年7.5%の利子が課される。
提案の目的は、公的医療制度や教育、食料支援プログラムの財源確保であり、影響を受けるのは約200人程度と説明されている。
一方で、仮想通貨取引所や資産運用会社の創業者、著名投資家らが反対を表明。
起業家や資本が州外へ流出する可能性や、将来的な課税拡大の前例になる点を懸念する声が相次いだ。
本法案は2026年11月の住民投票にかけられる予定で、実施には約87万5,000人分の署名が必要とされている。
引用元:CoinPost
https://coinpost.jp/?p=677982
富裕税は「税率」の話ではなく「資本の居場所」の話
この出来事はこう解釈してください。
今回の論点は、税率が高いか低いかではありません。
「保有しているだけの資産」にまで課税が及ぶことが、資本の振る舞いをどう変えるか、という構造の話です。
特に未実現の含み益への課税は、評価と現金化のタイミングを切り離します。
これは、株式や仮想通貨といった流動性の高い資産ほど影響を受けやすい設計です。
資本は感情ではなく、ルールに反応します。
そのルールが「成功した後も安全ではない」と示唆するなら、資本は別の場所を探し始めます。
これは国や州の善悪ではなく、資本の性質そのものです。
一部の富裕層だけの話と切り離して考えるのは簡単ではない点に、注意が必要です。
資本は「怒る」のではなく「静かに去る」
このニュースを見て「金持ちのわがまま」と感じるなら、あなたは資本の動きを見誤っています。
資本は抗議もしなければ議論もしません。
条件が合わなくなれば、ただ移動するだけです。
今回の反発は、税への感情論ではなく、「前提が変わった」というシグナルに近いものです。
仮想通貨やテック起業が特に敏感なのは、最初から国境を前提にしていないからです。
だからこそ、この動きは一地域の政治ニュースで終わりません。
資本と国家の距離感が、また一段階変わりつつある可能性があります。
ニュースは、必ずしもすべてが正確とは限りません。
また、誰が発言しているかによって、同じ事実でも意味は大きく変わります。
そもそもニュースは、出来事の「一部」しか切り取って発信されないものです。
だからこそ、ニュースだけを材料に未来を断定すると、判断を誤りやすくなります。
ただし、ニュースそのものが無価値なのではありません。
読み手が、まだ読み方を知らないだけです。
無知は無能ではありません。
ニュースの構造や背景を意識して読み解く練習を重ねれば、誰でも「今の情報」から「これから起きる流れ」を捉えられるようになります。
このメディアでは、そのための視点と考え方を伝えていきます。



























