暗号資産は、現代社会の背景やニーズから生まれた、新たな通貨の概念です。
本来、通貨として機能することが目的であるものの、 現状は価格の爆発的な上昇や下落を頻繁に繰り返し、投機的な要素の方が強い印象を受けます。
暗号資産は通貨と成り得るのか、この課題を考える前に、通貨本来の概念や歴史を理解することが重要です。
今回は「通貨」を少し掘り下げた内容を知っていただき、暗号資産を考えていきます!
通貨の役割
通貨とは、広義では「お金」と同意に解釈します。
お金には一般的に3点の役割がある とされています。
これから述べる3点の役割を、暗号資産の現状に当てはめて考えてみます。
価値尺度:モノの価値をはかる基準として使う役割
例えばビットコインとアルトコインは価値の比較ができ、また円やドルなどの法定通貨とも比較することができます。
つまりモノの価値をはかることが可能となります。
従って、暗号資産は価値尺度を有していると言えます。
交換・流通手段:交換(決済)を行う時の支払手段としての役割
ビットコインなど一部の通貨は決済手段として利用されており、一般社団法人日本暗号資産交換業協会が2018年4月に発表したレポートによると、ビットコインを取扱可能な店舗数は、国内で52,190店舗とされており、今後も増加していくと見込まれます。
一方で、その他のコインは軒並み少数で、決済手段としては有効ではありません。
従って、暗号資産は交換・流通手段としては十分に機能しているとは言えないが、将来的には十分に成り得ると考えられます。
価値貯蔵手段:貯蓄することで、将来に備えて価値をたくわえることができる役割
暗号資産は価値貯蔵手段としての要素が十分ではありません。
価値貯蔵手段は安定した価値のもとで成り立つため、ボラティリティ(価格変動率)が高い現状では、投機対象として扱われ、貯蔵手段には向いていないと言えます。
通貨の概念を知ることで、現在の暗号資産が「お金」として利用されることを前提にした場合の不足部分を整理することができました。
現在、社会は暗号資産を「お金」として、或いは「投機対象」として成熟させていくことの岐路に立たされているのではないでしょうか。
通貨の歴史から暗号資産を考える
先にも触れたとおり、 通貨にはその時代背景やニーズに応じた歴史があり、暗号資産もその過程にある と位置づけられます。
そのため、通貨の歴史を理解することで、暗号資産への理解も深まるのではないでしょうか。
物々交換による経済活動
大昔、人は物々交換を通じて欲しいものを取引していたそうです。
漁で捕った魚と、収穫した米を交換するなどの経済活動でした。
しかし、双方が欲しいモノでない限り取引は成立しないため、全員が生きていくための解決策を考える必要がありました。
通貨の誕生
「物々交換」の課題に対して、全員が同じ認識のもとで、自由なタイミングで欲しいモノと交換できる「共通の価値」として、通貨が誕生しました。
当時は装飾などで重宝されていた貝などが使用されていたそうです。
しかし、貝はどこでも拾えるため、通貨として安定させることができませんでした。
通貨の発展
「通貨の誕生」の課題に対して、入手が困難で、数量に限りがあるモノが好まれるようになりました。
世界中の多くの地域で「金・銀・銅」が好まれて使われていたようです。
素材そのものに価値がある通貨(貨幣)を実物貨幣などと呼びます。
(日本では7世紀後半に造られたとされる「富本銭」が最古の通貨(貨幣)とされています。)
流通の発展
16世紀に入ると、商工業の発展にあわせて貨幣の需要が増大しました。
地域や国家間の交易も増え、金(銀)の含有率や重量が異なる各地域や国家の通貨の交換を行う「両替商」が重宝されました。
また、この頃から「両替市場」も誕生したと言われています。
しかし、経済が発達するにつれ、金や銀だけで流通をまかなうことが困難となります。
紙幣の誕生と管理通貨制度
「流通の発展」の課題に対して、17世紀中頃から登場したのが「紙幣」です。
紙幣と貨幣を組み合わせ、国の経済にあった量の通貨を発行し、流通のバランスを取りました。
これを「管理通貨制度」といいます。
管理通貨制度では、その国の政治や経済状況などの信用によって、流通している通貨の価値が決まります。
金本位制
紙幣と貨幣による経済が発達すると、各国の中央銀行が発行する紙幣は、同額の金との交換が保障されました。
これを金本位制といいます。
金を基準に、貨幣価値を定め、安定させていったのです。
金本位制の概念は古くから存在しましたが、19世紀初頭にイギリスが「貨幣法」により導入したことで、各国に広がりました。
日本では1871年に「新貨条例」を定めて、新貨幣単位の「円」とともに確立されましたが、金の準備量が十分ではなく、あまり機能しなかったようです。
金本位制の崩壊
1971年、当時の金本位制において、金と交換できる唯一の通貨は米ドルのみとされていました。
しかし、ドルの金交換に応じられないほど、米国の金保有量が減ったことにより、当時の大統領リチャード・ニクソンは、金とドルの交換を(一時的に)停止することを発表しました。
これをニクソン・ショックと呼びます。
変動為替相場制の導入
ニクソン・ショックにより、金と米ドルを介した各国通貨との価値の連鎖は完全に絶たれました。
各先進国は、通貨の交換比率を固定せず、市場の需給バランスによって決定する現在の「変動為替相場制」に移行していきました。
電子マネーの登場
インターネットの普及と技術革新が進むにつれ、社会はキャッシュレス(現金を使用しない)決済方法を考えます。
通貨はついに価値を変えずに実体を無くし、電子マネーは現在の決済手段の主流となりつつあります。
新たな価値観をもたらした暗号資産
従来の貨幣や紙幣、電子マネーも国が発行、流通を管理する法定通貨であることに違いはありません。
国が発行する通貨は、その国の信頼度に依存します。
従って、自国経済が弱体化すると、銀行から引き出すお金にも制限がかかり、自由な経済活動を行うことが困難になります。
一方で、ビットコインをはじめとした暗号資産は、国家が発行したものではありません。
国内情勢に左右されないよう、インターネット上にある数字に価値をつけ、通貨として自由に取引できるような仕組みを実現させたのがビットコインを代表とする暗号資産です。
すでに、途上国などでは、法定通貨から暗号資産への資金移動が進んでいます。
暗号資産は真の通貨となれるのか
“The technology, there is real merit to it. I do think, though, it will be years down the road before we see the kind of ubiquity and acceptance that make it a form of currency that is used every day.”
『この技術には真のメリットがあります。しかし、日常的に使われる通貨として受け入れられるようになるまでには、長い時間がかかると思います。』 PayPal社最高財務責任者(CFO)ジョン・レイニー氏
“The blockchain is real. You can have crypto yen and dollars and stuff like that. ICO’s you have to look at individually”
『ブロックチェーンは本物です。仮想円や仮想ドルといったものも出てくるでしょう。ICOに関しては個別に評価しなくてはなりません。』 JPモルガン・チェース最高経営責任者(CEO)ジェイミー・ダイモン氏
“In terms of cryptocurrencies, generally, I can say almost with certainty that they will come to a bad ending. Now when it happens, or how or anything else, I don’t know.”
『暗号資産に総じて言えることは、それがほぼ確実に悲惨な最期を迎えるということです。いつそれが起こるかはわからないですが。』 世界的投資家ウォーレン・バフェット氏
引用元:Crypto Times
冒頭でも述べましたが、暗号資産は、現代社会の背景やニーズから生まれた新たな通貨の概念です。
多くの面で期待を受けている一方、多くの課題も抱えています。
「通貨の役割」で述べた「利用範囲が限られ、決済手段としての利便性が低い」、「ボラティリティが高く、安定的な貯蔵が見込めない」ほか、技術的、環境的な側面でも課題が存在します。
しかし通貨は、その歴史の中で、多くの課題を解決し、形やルールを変えながら変化をしてきました。
暗号資産においても、ビットコインのソフトウェアがオープンソースで公開された2009年1月から、多くの改良を経て現在に至ります。
また、今でこそビットコインが暗号資産における基軸となっていますが、ビットコイン以外の通貨(アルトコイン)の中には、イーサリアムなどビットコインが持つ課題を解決させて開発された通貨もあり、将来、ビットコインに置き換わる通貨が登場するかもしれません。
以上を踏まえ、 現在の暗号資産は真の通貨として機能するための成長段階にある と考えます。
新しい技術の導入や新たな通貨の登場により、世界中の人が安心して便利に使える通貨として成長するのか、資産を増やすための投機対象に留まるのか、我々の社会が答えを出すはずです。
参考資料
暗号資産を理解するために、勉強し直すお金の歴史
日本の貨幣の歴史
暗号資産取引についての現状報告
通貨の将来と暗号資産の意義
暗号資産のトレンドついて知りたい方はこちら
ブロックチェーン技術について知りたい方はこちら
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