イタリアの南沖に浮かぶ島国、マルタという国をご存じでしょうか?
面積は東京23区の半分程度、人口も50万人程度の小国で、英語とマルタ語を公用語としており、EUにも加盟しています。
マルタの特徴のひとつがGDPの伸びです。 2015年のGDPは107億米ドルでしたが、2016年には114.4億米ドル、2017年には127.5億米ドル、2018年には145.4億米ドルと10%を超える成長率を誇っています。
この成長率を支えている要因が、マルタ政府も積極的に行っているIT関連企業の誘致となっており、かつてはオンラインゲームやオンラインカジノの関連企業を誘致することでマルタの知名度を高めてきました。
ユーザーにとってもマルタを拠点にしたオンラインゲーム・オンラインカジノは、安心感と信頼性で高い評価を集めており、そのような歴史を持つマルタも、時代の経過とともに少しずつ様相を変化しています。
現在はマルタは別名ブロックチェーンアイランドと呼ばれているほどに、暗号資産などのブロックチェーン関連企業が集まっていて、バイナンスやOKExといった世界的に知られる取引所もマルタに拠点を移動しました。
今回はマルタを拠点として新しく考案されているクラウドファンディングプロジェクトBELEGAについて解説します。
BELEGA(ベレーガ)の基本情報
BELEGA(ベレーガ)の特徴
BELEGAの特徴は、クラウドファンディングに更なる価値を付加するところで、ブロックチェーンや分散型台帳技術(DLT : Distibuted Ledger Technology)の利点を組み合わせた、「次世代型クラウドファンディングプラットフォーム」です。
テック企業の有名投資家たちが集まって立ち上げた投資プラットフォームで、サービスの対価として独自トークン「BLGAトークン」を用いたトークンエコノミーを考案し、VFAAによる規制のもと、VFAへのレギュレーション登録を目指します。
VFAAの規制は、暗号資産取引所に対するライセンスである「VFA Service Provider(VFA SP)」や、ICO活動に対するレギュレーションである「Initial Offering of a Virtual Financial Asset(IVFAO)」などが定められていて、BELEGAが目指しているVFA登録とは、VFAAの規制のもと、基準に則った資金調達を行うレギュレーションのことを指します。
マルタで暗号資産やブロックチェーンに関連する事業を行うためには、このVFAAの規制に則ったマルタ金融サービス局(Malta Financial Services Authority、MFSA)からの承認が得られなければ活動することができません。とても厳しい規制なのです。
法規制が整っている国で事業を行うことで、より安全で安心な暗号資産サービスを提供できるため、BELEGAはあえて活動拠点をマルタを選びました。
VFAAの規制のもと、基準に則った資金調達を行うレギュレーションのこと。
2018年11月にマルタで世界で初めて規制された暗号資産法のこと。
BELEGA(ベレーガ)の3つのプラットフォームタイプ
規制枠組の中で運営し、まずは法定通貨、将来的には暗号資産やセキュリティートークンによる投資が行えるクラウドファンディングエコシステムを開発しており、事業の拡大に合わせて以下の3種類のプラットフォームタイプを計画しています。
・ホワイトラベルクラウドファンディング
・クラウドファンディング
・STOファンディング
この3種類の大きな違いは、レギュレーションやライセンスの取得により、サービス可能な範囲が広がり、プロジェクト投資に使うことの出来る通貨の種類・BELEGAの独自通貨であるBLGAトークンの使い方・関わっている組織の数です。
ホワイトラベルクラウドファンディングの特徴
ホワイトラベルクラウドファンディングとは、BELEGAのクラウドファンディングプラットフォームをイギリスの法律下で運営するための第一弾の手法です。
クラウドファンディングレギュレーション登録には時間を要するため、BELEGAはフェーズ1として、他社のクラウドファンディング登録の下で、ホワイトラベル会社としてサービスを一部提供してもらい(この場合でもFCAなどへの厳しい登録要件を満たす必要があります。)、時間を短縮しサービスを開始します。
ホワイトラベルはBELEGAの自社レギュレーションではないため、ホワイトラベル提供元の企業による基準があり、BELEGAが提供するサービスにいくらか制限がかかります。
そのためBELEGAはサービス開始後、自社でのクラウドファンディングレギュレーション登録を開始し、フェーズ2へ移行していきます。
クラウドファンディングの特徴
クラウドファンディングになるとプロジェクトに対して投資家は、法定通貨だけではなくビットコインやUSDCでも可能になります。
STOファンディングの特徴とは
STO(Security Token Offering)ファンディングでは、法定通貨・ビットコイン・USDCでの投資が可能で、投資家はデジタル証券を受け取ることができます。
BELEGA(ベレーガ)が3種類の投資方法を用意した理由
暗号資産に関してもBELEGAは、ひとつずつ使用用途の拡大していくことを考えていて、クラウドファンディングによって生み出されるプロジェクトの投資に対しても、まずは法定通貨のみで投資を募り、そして12ヶ月から24か月の予定で、暗号資産による投資を認めていく予定です。
BELEGAのビジョン
BELEGAはトークン化とAI/ブロックチェーン/分散型台帳技術の利点に対するグローバルな規制当局の長期的な連携を組み、グローバルな取引プラットフォームの成長と価値創造に繋がると考えています。
BELEGAのマーケット
BELEGAではトークンとクラウドファンディング事業で先駆けとなる管轄区域を変更し、
BELEGAトークンの投資家は主にアジアから、クラウドファンディングはイギリスから始動することを決定しました。
アジア・イギリスを選んだ理由は、それぞれの市場の法的環境の明確さに基づいたグローバル戦略のためです。
BELEGAの方向性
BELEGAは、まずマルタとイギリスで活動し、徐々に別の区域へと進出する予定です。
BELEGA(ベレーガ)が発行するBLGAトークンとは
BLGAトークンはBELEGAの開発している独自通貨で、新規のブロックチェーンの開発は行わず、既存のブロックチェーンの上にプラットフォームを開発する予定になっています。
BELEGAの提案している3種類のクラウドファンディングエコシステムの中で、規制対象外サービスの使用料金やローンの支払いなどに使用されます。
規制対象外サービスとは
3種類のクラウドファンディング全てに関わるBLGAトークンの使い方です。
規制対象外サービスであるコンサルタント・デューデリジェンスサポート・マーケティング・プラットフォームへの掲載・コミュニケーション戦略に対するプロジェクトからの支払い手段として使用されます。
暗号資産に対するBELEGAの考え
現在の暗号資産市場に対してBELEGAは、イーサリアムとビットコインによって支配されているという見解を示しています。
TRON・EOS・Cardanoなどの競合他社が出現していますが、2~3銘柄が主流のプラットフォームになるだろうという見通し で、BELEGAでは、プラットフォームにとらわれないという方針を決定しました。適応技術や適応構造の開発を行い、明確な技術の方向性が見えてきたところで移植できるようにするためです。
ブロックチェーンの開発も行うつもりもなく、既存のブロックチェーン上にプラットフォームを開発します。
BLGAトークンの今後の予定
・2019年第4四半期〜2020年第1四半期 : プライベートセール
・2020年第2四半期 : Initial Virtual Financial Asset Offering(IVFAO)
・2020年第2四半期〜2020年第3四半期 : 上場予定
※ IEOに関して、現在計画を再考中でマーケットの状況を見て判断します。現段階では行わない予定です。
BELEGA(ベレーガ)を支える3団体
BELEGAは、複数のグループ企業によって成り立ち、グループ企業は大きく3つに分割されます。
・VFAホールディングスリミテッド
・BELEGAリミテッド
・ロンドンフィンテックリミテッド
この3グループが互いに協力・補完することで、暗号資産と法定通貨のどちらも使用する投資サービスの提供を目指しています。
VFAホールディングスリミテッドとは
VFAホールディングスリミテッドはただの持株会社であり、それ以上でもそれ以下でもありません。BELEGAリミテッド及びロンドンフィンテックリミテッドの100%株主であり、事業活動は行いません。
BELEGAリミテッドとは
BELEGAリミテッドは、BLGAトークン発行企業でBELEGAプラットフォームへのノンレギュレーティッドサービスの提供します。
マルタにてVFAレギュレーション登録を行い、規制下でIVFAO(ICO)を行い資金調達を行っていきます。
ロンドンフィンテックリミテッドとは
クラウドファンディングプラットフォームの開発・運営を行うのがロンドンフィンテックリミテッドです。
VFAホールディングスリミテッドの100%子会社となっており、ロンドンフィンテックリミテッドは、英国に焦点を当てたクラウドファンディングのプラットフォーム立ち上げを予定しています。
直近の予定では2020年から2021年の間にホワイトラベルクラウドファンディング、2022年にイングランドのクラウドファンディングライセンス取得を目指し、VFAホールディングスリミテッド・BELEGAリミテッドの主な活動拠点がマルタであるのに対し、ロンドンフィンテックリミテッドはイングランドを中心に活動しています。
与えられた2つの役割に対してロンドンフィンテックリミテッドは、アイディアを持っている人をこれまで以上に幅広い投資家に紹介し、また個人投資家に対しても、これまでに出来なかった方法で画期的なプロジェクトを支援を行います。
なぜグループを分けるのか
現在のマルタの法律下ではVFA登録企業は、既存の金融ライセンスを取得することが禁止されています。
多くのEU圏内企業でも、「ユーティリティトークン(ライセンスまたはレギュレーション下)」と「既存の金融ビジネス(ライセンスまたはレギュレーション下)」を1つの会社で行うことは法律的に禁止されています。
これが大きな理由であり、レギュレーション及びライセンスといった法律をクリアするためのソリューションが最も大きな条件となり、第2の理由として、クラウドファンディングの基盤は金融大国であるイギリスで開始するためです。
マルタの暗号資産事情
マルタには数多くのブロックチェーン関連企業のオフィスが存在します。
この背景にはマルタ政府が、IT関連企業の誘致に積極的という背景があり、マルタ政府自体も不動産貸借賃貸をブロックチェーン上で管理するなど公的にブロックチェーンを取り入れています。
ただし、マルタでの暗号資産に対する規制が緩いというわけではありません。
マルタではVFAA(Virtual Financial Assets Act:仮想金融通貨に関するフレームワークの法令)という法律が設定されており、この規制の中にVFAという資金調達を行う企業向けのレギュレーションやVFA SP(VFA Service Provider)という暗号資産取引所向けのライセンスが含まれています。
マルタでICOや取引所ビジネスを起業するためには、これらのレギュレーションに対して申請を行い認可を得る必要があります。またこの認可を得るために、MFSAに対し申請を行うことが唯一できるのはライセンスをもったエージェントのみで、VFAエージェント(VFA AGENT)といいます。 そのためVFAレギュレーションややVFA SPライセンス取得を目指す企業は、必ずVFAエージェント(VFA AGENT)と契約をする必要があります。
(※VFAAとVFA AGENTは別物なので、お気をつけ下さい。)
なお、2019年4月2日にマルタ金融サービス局(Malta Financial Service Authority:MFSA)は、14のエージェントを発表しました。正式承認は5月になります。
地元紙の報道によるとVFAエージェント(VFA AGENT)ライセンス取得に対して250以上の申請があり、最終審査まで進んだのは28のみだったと言われており、また承認された14のエージェントに関してもマイナー箇所の修正が必要だったとされています。
デルタサミットについて
マルタ政府の目的は、振興技術企業の最先端のハブとしての地位を維持することです。
マルタ内外の関連企業の関係性を強め、新たな人脈の構築やビジネスチャンスの発見を手伝う場所をマルタ政府は提供しています。そのような目的のために行われているビジネスイベントのひとつがデルタサミットで、魅力のひとつが多数の参加者です。
2019年に開催されたデルタサミットでは、マルタのヨセフ・マスカット首相やシルビオ・シェンブリ政務官、バイナンスのジャオ・チャンポンCEO、トロンの運営者ジャスティン・サンCEO、アメリカの投資家ティム・ドレイパー氏なども参加しました。
2019年のデルタサミットでは、ブロックチェーンだけではなくAIやIOTなどの認知企業の統合やeスポーツ市場へのプラットフォーム提供も視野に入れていることが発表され、ブロックチェーン関連企業を認可にあるマルタ金融サービス局やマルタ証券取引所なども公的機関やOKEx・バイナンスなどの暗号資産関連企業、更に現段階では大手通信企業のvodafoneや日本企業では自動車メーカーの日産なども参加しています。
まとめ
暗号資産を扱う上で安全性は、最も重要な課題のひとつです。
VFAエージェントは、VFAレギュレーション登録を目指す企業やVFA SPライセンス取得を目指す企業を、MFSAへ申請することができ、主にマルタの弁護士事務所が取得するライセンスで、BELEGAはVFAレギュレーション登録を目指しています。
また、BELEGAの考案しているクラウドファンディングは、今後のクラウドファンディングの価値や利便性の向上にも繋がると思われます。
2020年には上場企業を中心にしたブロックチェーンベースのトークンを発行した資金調達のブームが訪れるため、ICOブームで苦い経験をした投資家も多いと思いますが、STOブームが来た時、その時どのような行動をすれば良いかは自ずと見えてくるでしょう。
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