ニュース概要
金融庁と経済産業省は、企業が自社で発行・保有する暗号資産の課税方法を見直す方針を固めた。
読売新聞が8月24日に最初に報じたが、自民党の平将明議員がツイッターで方針を固めたことを認めた。
有望なスタートアップ企業が海外に流出することを防ぐことが狙いで、2023年度税制改正で新しい方針を議論する計画だ。
現行法では、企業が期末まで仮想通貨を保有していた場合、期末時(事業年度終了時)の時価が取得時より高いと所得に加えられ、この仕組みが創業間もないスタートアップ企業には大きな負担になると指摘されてきた。
今回見直されるのはこの期末課税のルールで、今後は期末課税の対象から外し、売却などで利益が生じた時点で課税するように改める。
もう1つ大きな問題として指摘されているのが、取引の利益が雑所得に分類されるルール。
日本暗号資産ビジネス協会(JCBA)が公表した「2023年度 税制改正要望書」には、仮想通貨取引の利益への課税方法を20%の申告分離課税にすると記載されている。
仮想通貨に対する課税方法を見直す
日本政府、仮想通貨の法人税のルールを見直す方針COIN POST
伊藤健次のコメント
日本国の暗号資産に関する税制の見直しが進みそうです。
今回は法人と個人両方が対象になった見直しです。
日本の法律や税制の話になると『日本は遅れている』『日本は条件が悪い』という声が多くなります。
世界中を比較して、ここではあえて企業や投資家にとって都合の良い真実について解説をします。
まず、税制の良し悪しで言えば、しっかりと既存のルールで暗号資産から税回収をしている日本政府は優秀と言えます。
他国は税制が中に浮いているから税金を払わなくても良いケースやあえて優遇措置で無税に近い税制の国もあります。
これらの国ではどれだけ暗号資産が浸透した場合でも税制を上げることが難しくなり、永続的に暗号資産からの税回収をしない可能性が高まります。
結果、政府としても暗号資産に関して支援を行うことが難しくなり、ひたすらボランティア的な政府の運営を続け、別の税制をわざわざ儲けて税徴収をするという二度手間が生じます。
暗号資産の市場が拡大し、最も恩恵を受けるのは我が国日本と言えるでしょう。
しかし、個人投資家の立場からすれば、よその国が無税で自国が世界的にも高い水準の税率が課せられているとなると文句の一つも言いたくなります。
高い税率が課せられている分、比較的自由に投資をさせてもらえているのが日本人の特権です。
日本政府からすれば当然稼いでもらってなんぼの世界なので、多少のことには目を瞑り『ガンガンやっちゃってよ!』という状況が続いております。
これは個人投資家にとってとても大きなメリットです。
『海外取引所』という言葉が当たり前のように使われておりますが、普通の国では『海外取引所』なんてもってのほかで、自国の取引所のみが利用できるという厳しい条件があります。
それなりに抜け穴はありますが、利用していることがバレると資金は全て没収となります。
違法行為をしているから当然です。
日本の方はどうでしょうか?
バイナンスやバイビットを使っていたら資金が凍結する!なんて日々怯えて海外取引所を利用している人は皆無でしょう。
当たり前のように『おすすめの取引所はバイナンス!バイビット!』と会話が飛び交います。
あらためて言いますがこれは違法行為です。
日本政府が厳しく取り締まっていないだけで本当はやってはいけないことです。
これも日本の暗号資産の税制度が優遇されていないことの影響です。
ここにきて、いよいよ世界各国と暗号資産の税制の足並みを揃えようという動きが出てきました。
当然、これまで見過ごしてきた違法行為は取り締られる形になります。
2022年10月1日からその動きが始まる見込みです。
手始めに海外取引所は一通り利用できなくなるでしょう。
利用できなくなるというのは海外取引所と国内取引所の仮想通貨の送金・受領ができなくなるということです。
換金ができなくなりますので海外取引所を利用する人は激減するでしょう。
この記事を見て『いやデビッドカードにチャージできるし』とか『友達に相対取引してもらえれば良いんじゃない?』と言う方もいらっしゃいますが、めちゃくちゃハードルが高いことを言ってます。
一般の方が海外の銀行口座を開設(たいてい海外の居住証明必要)したり、両替商のライセンスを取得したりはしません。
できる人がやるだけの話です。
多くの方が海外取引所を利用しなくなることで、逆に日本国内の市場が縮小することを懸念しております。
ごく一部の方ができるから大丈夫と言うのと誰でも簡単にアクセスできるプラットフォームがあるのとでは市場規模の成長度合いが変わります。
伊藤個人的には税制優遇はいらないのでゆるーくグレーゾーンが続いてくれれば良いな〜と思っておりました。
そろそろ限界なので、あらためて日本の一般投資家層の方に向けた情報配信に内容を切り替えていこうと考えております。
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この記事を書いた人
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「暗号資産市場の最前線を知る男」として世界中の暗号資産界隈の人脈を持ち、国内外のイベントに引っ張りだこ。
現在、毎週TwitterとYoutubeにてLIVEを発信中。
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