3月19から20日にかけて、アルゼンチン首都ブエノスアイレスでG20首脳会議が行われました。
G20諸国の金融規制を調整する機関FSB(Financial Stability Board)は、加盟国からの世界規模での暗号資産に対する規則の採択を却下し、現在のところ、暗号資産が世界的財政の安定性にリスクをもたらすものではないとした。
今回は各国の規制について再度振り返りたいと思います。
G20(主要国首脳会議)で暗号資産が議題のテーマに
G20とは主要国首脳会議と呼ばれ、G7に加え、EUやロシア、新興国11か国が加わった計20か国からなるグループのことを指します。
以前からここでは、暗号資産による資金洗浄の可能性について指摘されておりました。
また2017年の後半にかけて、暗号資産は軒並み向上をみせたこともあり、多くの新規参入者が増えたこともあり、投資家保護や市場の健常性を保つ必要性が出て来ました。
国レベルでの規制はありましたが、各国によって規制の厳しさが異なるので、完全なる投資家の保護や市場の正常化を確立することは不可能でした。
その為今回は 世界レベルでの規制が必要である という指摘をもとに、議論がなされました。
G20参加主要国の規制状況
日本
言わずもがな日本では、暗号資産の取引量が多いことはご存知でしょう。
2017年4月には、改正資金決済法(暗号資産法)が成立し、暗号資産は国から正式に決済方法の一つとして認可されています。
日本では暗号資産は支払い手段の1つとして認識されており、そこにも税金が課されます。
ここまで国を挙げて暗号資産に対して、寛容的な国は珍しいですが、コインチェックの一件から金融庁からの風当たりが厳しくなったのは間違い無いでしょう。
今後の 暗号資産取引所に関する規制 ・ ICO参加への規制は強化されていく と予想されます。
中国
中国では、暗号資産に対して厳しい規制を設けています。
2017年には「中国本土の取引所の閉鎖」や「ICOの禁止」などの規制が行われ、2018年には「中国本土の投資家による、国内外での暗号資産取引の規制」が強化されることになりました。
今現在、中国では小規模な個人間の取引は容認されていますが、事実上中国では 暗号資産取引はほぼ禁止された と言っていいでしょう。
しかし中国人民銀行は、新総裁に暗号資産に対して好意的な易綱氏が就任したことによって、今後の動向がきになるところです。
アメリカ合衆国
アメリカでは規制はあるものの、暗号資産取引は行えます。
しかしマネーロンダリングなどの違法行為に対する規制やICOに対してはかなり厳しい姿勢を取っている模様です。
またアメリカ証券取引委員会(SEC)の委員長を務めているJay Clayton(ジェイ・クレイトン)氏は以下のように発言しております。
これまで一般的な送金業者は、有価証券、商品および通貨交換に類似した他のサービスを提供してきませんでした。つまり、現在の暗号資産取引所に対する規制は、現実の暗号資産取引に即していないことになります。 (※暗号資産取引は、通貨交換に類似したサービスのため)
引用‘Open’ to Regulation of Cryptocurrency Exchanges: US SEC Chairman to Testify https://www.ccn.com/sec-chairman-to-testify-they-are-open-to-federal-regulation-of-cryptocurrency-exchanges/
国レベルで規制を整えることによって、投資家が保護されてない現状へ対策を行い、ブロックチェーンのような画期的な技術をさらに発展させることが出来ると考えています。
今後の規制が厳しくなる可能性はありますが、 暗号資産に対し比較的寛容的である ことが伺えます。
フランス
フランスはドイツと共に、国際的な規制の必要性を呼びかけており、投資家の暗号資産への投機によるリスクを危惧しています。
国としては、 規制の準備を整えている段階 であります。
規制の内容次第では、暗号資産市場に影響を及ぼす可能性は大いにありますので、注意しておきたいです。
ロシア
ロシアは、暗号資産の売買やICO、マイニング等をめぐる規制の枠組みを確立する「デジタル資産規制法」の草稿を公開しています。
暗号資産の取引や法定通貨との交換は、認定された取引所のみ利用可能であり、ICOに関してはある一定の制限を満たした場合での取引は可能であります。
中国のような全面的な規制は設けられていませんが、一定のルールが敷かれています。
韓国
韓国も暗号資産の取引量が多い国の1つです。
規制は比較的厳しく、金融委員会が暗号資産を取引する際の無記名預金口座の利用を1月30日から禁止すると発表したました。
金融監督院のチェ・フンシク院長は20日、自主規制の環境下で暗号資産ビジネスが正常化することを期待していると表明。記者団に対し、「全世界が(暗号資産の)枠組みを構築中であり、従って(政府は)規制強化よりは正常化に向けて取り組んでいく」と語った。
引用:韓国の暗号資産業界、当局の「規制強化より正常化へ」方針転換を歓迎https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/02/post-9576.php
しかし、規制強化より正常化に向けていくとの発言もあったように、韓国の 暗号資産の見通しは少し明るくなった ように感じます。
ドイツ
ドイツもフランス同様、効果的な規制を行うために、国際的な協力が必要性を訴えています。
暗号資産は合法的な決済手段として認識され、決済手段として使用する場合に限り ビットコインは非課税 とされています。
今後の暗号資産規制の方向性
G20の共通認識では“暗号資産は通貨に当たらず、資産である”ということでまとまりました。
全体的に暗号資産やブロックチェーンの持つ可能性は期待されていることは間違い無いのですが、投資家保護やマネーロンダリングなどの観点では、まだまだ甘い部分が多いのが現状の課題です。
規制は、 投資家保護や不正防止の面で強化されていく と予想されます。
ただこれは悪いことだけでなく、市場が正常化されるということは、我々にもメリットがあります。
しかし規制は、市場に影響を与える大きな要因でもありますので、常に各国の動向について気にかけておく必要があるでしょう。
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