ブロックチェーンの記事を読んでいるとよく目にする「サイドチェーン」。
なんとなく読み進めてしまう人も多いのではないでしょうか?
簡単に説明すると、サイドチェーンとはメインのブロックチェーンにもう一つのブロックチェーンを付け加えることで、機能を拡張できる技術のことです。
この記事では「サイドチェーンって何?」に答えるため、Web3専門メディアのCOINOTAKUがわかりやすくサイドチェーンを解説します。
後半ではレイヤー2(セカンドレイヤー)との違いやサイドチェーンの代表例を紹介しています。
ぜひ最後までご覧ください!
サイドチェーンが作られた経緯
まず、なぜサイドチェーンが作られたかを解説します。
ブロックチェーン技術には、ネットワーク上のユーザーやトランザクションが増えるほどブロックチェーンが混雑し、処理が遅くなってしまうという問題がありました。
これは現在スケーラビリティの問題と言われ、ブロックチェーンが拡大する上での障害の一つと言われています。
そこで別のブロックチェーンを作り、そこにメインブロックチェーンで行われる特定の取引やデータを別の場所に写すことで、全体の容量を増やすだけでなく、新機能やアプリケーションのテストや実装を可能にした技術がサイドチェーンです。
当初、サイドチェーンはビットコインのスケーラビリティを解説するために、Adam Back氏によって提案され、現在、彼がCEOを勤めるBlockstreamによってLiquid Networkというサイドチェーン技術を利用したサービスが運用されています。
サイドチェーンで可能になること
では一体、サイドチェーンによって何ができるのでしょうか?
取引にかかる処理コストとスピードの向上
メインチェーンで行う処理の一部をサイドチェーンで行うことができるので、全体容量を増やし、取引コスト削減、処理スピード向上を実現できます。
スマートコントラクトなどの機能拡張
メインチェーンにないスマートコントラクトなどの拡張機能を追加することができます。
これにより、メインチェーンで作成できなかった分散型アプリケーション(DApps)など、より高度なアプリ開発を柔軟に行うことができます。
トランザクションのプライバシー保護
サイドチェーンは、主要なブロックチェーンから隔離されているため、トランザクションのプライバシーを確保することができます。
独自仮想通貨をサイドチェーン上で発行できる
双方向ペグ(two-way pegging)という技術により、サイドチェーン上で独自通貨を作成することができます。またそれらの独自トークンをメインチェーンに戻すことも可能です。
サイドチェーンの課題
メインチェーンにメリットを与えるサイドチェーンですが、いくつかの課題点があります。
セキュリティリスクの高さ
サイドチェーンはセキュリティを確保するために、同じコンピューターのハッシュレートでビットコインの親チェーンとサイドチェーンを同時採掘できるマージマイニング(merged mining)の導入が必要と言われています。
もしマージマイニングが行われない場合、マイナーはどのブロックチェーンをマイニングするかを選ばなければならないため、一部のチェーンでセキュリティリスクが高まる可能性があります。
中央集権化の可能性
サイドチェーンへのマイニングは、大きなマイニングパワーが必要となるため、ビットコインと同様にマイニングの集中化が進む可能性があります。
マイナーはサイドチェーンに接続されたブロックチェーンすべての取引手数料を得ることができる点も企業への強い動機となっています。
サイドチェーンとセカンドレイヤーの違い
サイドチェーンとセカンドレイヤーソリューションは同じ文脈で語られることが多いですが、両者は同じものではありません。
両方ともブロックチェーンの性能向上や拡張に関連する技術であることは同じです。
しかしサイドチェーンは分散型ホスティングとしてメインブロックチェーンとは別に独立したチェーンであるのに対し、セカンドレイヤーはメインブロックチェーン場に構築され、高速なトランザクション処理や柔軟なアプリケーション開発のために提供される追加の技術レイヤーを指します。
サイドチェーンはオンチェーンでの処理になるため取引履歴が全てメインチェーン上に残りますが、セキュリティはサイドチェーンで担保されるため、メインチェーンのセキュリティを引き継ぐことができないのがデメリットです。
セカンドレイヤーはレイヤー1のセキュリティを引き継げますが、オフチェーンの処理になるのでオフチェーンの状態で行われた取引履歴に関しては追うことができません。
サイドチェーンの例
この章ではサイドチェーンを使った代表例を紹介します。
Liquid
初代サイドチェーンとも言えるLiquid Networkは、最初にサイドチェーンを提唱したBlockstream社によって開発されたサイドチェーンです。
取引所間でビットコインの送金をスピーディーに行うために開発され、サイドチェーンの独自トークンであるL-BTC(ビットコインと1:1で交換できるトークン)を使って、Liquid上に資産を保持しておくことが可能となっています。
Lisk
Liskは、サイドチェーン実装を想定されたメインチェーンです。
スマートコントラクトの追加を世界でユーザーの多いJavaScriptで行うことができ、サイドチェーンの構築が比較的簡単に行えます。
サイドチェーンを書き換えで、新機能の追加・サービスの改善を柔軟に行うことができる点が話題となっています。
Polygon
Polygonはイーサリアムをメインとしたサイドチェーンであり、Plasmaという技術を使われています。
Plasmaとは、サイドチェーン技術の一つで、親チェーンであるイーサリアムのもとの子チェーン、孫チェーンに処理を行わせることで、最終的なデータを親チェーンに保存する技術のことを指します。
Polygonは、レイヤー2でもありつつサイドチェーンも利用しているブロックチェーンです。ただ、この手法はハッキングのリスクが高いので注意が必要です。
他にもイーサリアムブロックチェーンのサイドチェーンである「Plasma Chain」やビットコインのサイドチェーン「RSK」、イーサリアムのサイドチェーン「Matic Network」などがあります。
サイドチェーンのまとめ
この記事ではブロックチェーンのスケーラビリティ問題を解決するサイドチェーンに関して解説しました。
サイドチェーンはメインブロックチェーンとは別にサブのブロックチェーンで取引処理を行う技術です。
それによりメインチャーンの取引スピードを向上させ、スマートコントラクトなどの追加機能を加えることができます。
Liquid Network、Lisk、Polygonなどサイドチェーン技術を使ったサービスが多く作られており、今後もブロックチェーンの発展に欠かせない技術となるでしょう。
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