- Tether Limitedによる中央集権制が敷かれている。
- 価格変動が少なく米ドルに連動するペッグ通貨である。
- ビットコインブロックチェーン上で稼働し法定通貨に比べて早い送金速度及び低手数料を実現している。
Tether(テザー)の基本情報
TetherはTether Limitedがビットコインブロックチェーンに基づいてTether Limitedに預けられた法定通貨と1:1の割合で裏づけされたペッグ通貨です。多くの暗号通貨が非中央集権化を推し進める中でTether Limited管理による中央集権制度を敷くことによって暗号通貨が抱えるハイボラティリティ(価格変動率)の問題に対応します。法定通貨とおよそ完全に同期した価格変動のもとで早い送金速度や低いトランザクションコストなど暗号資産の特性を持つ通貨です。 暗号資産が抱える ボラティリティ(価格変動)の問題に対処するべく、法定通貨を預けることで同等量発行されるTether はその信頼性を構築しながら暗号資産の需要を高め、通貨の安定性、価値保存可能性、利便性を兼ね備えた通貨になることを目的にしています。 既に知られているように、一般的に暗号資産には低トランザクションコスト、ボーダレスな国際送金、ブロックチェーンによる非中央集権的統治によるリアルタイムの透明性などいくつもの利点がありますが、既存の法定通貨を取って代わるほど主流な通貨とはなっていません。普及が劇的に進まない主な理由は、高いボラティリティ(価格変動性)、暗号資産に対する不十分かつ狭い理解度、一般ユーザーが簡単に利用できない複雑性などがあります。 Tetherトランザクション台帳は、埋め込みコンセンサスシステムOmniを介してメタデータとしてビットコインブロックチェーンに埋め込まれます。 a)Bitcoinブロックチェーンに埋め込まれたメタデータとして表されるデジタルトークンを付与(作成)および取り消し(破棄)します。 a)法定通貨デポジットの受け入れと対応するテザーの発行。 また、ユーザーは、取引所または別の個人を介して、前述のプロセス以外でTetherを取得できます。Tetherが流通すると、任意のビジネスまたは個人間で自由に取引できます。たとえば、ユーザーはテザーをBitfinexから購入でき、すぐに交換を行うことができます。 上の図で伝えられる主な概念は、 Tether LimitedがTetherを発行する(作成する)か、破壊(バーン)することができる唯一の当事者である ということです。 TetherのProof of Reservesの構成は、流通しているTetherの流通合計数が常に、同じ量の準備金(法定通貨)によって完全に裏付けられていることを証明するプロセスを簡素化するため、斬新です。この構成では、流通しているTetherはTether Limited にデポジットされているドルと1:1の比率を表し、存在するすべてのTetherの合計がデポジット残高と正確に等しく裏付けが約束されています。 準備金としてデポジットされている法定通貨は、その残高を公表し 専門家による定期的な監査 を受けることによって信頼性を確立するとホワイトペーパーで述べられています。また、Tetherはビットコインブロックチェーン上に存在しているため、特定の時点での 証明とアカウンティングを簡単に行うことが可能 です。 Tether Limitedは準備資産の集中管理者として機能し、実装が完全に分散化されていない中央集権制となっています。中央集権化は他の暗号資産が抱える主要な弱点を排除、新しい製品とサービスのための堅牢なプラットフォームを作成し、長期にわたってビットコインブロックチェーンの成長と実用性をサポートする将来のイノベーションを構築するための基盤となると述べられています。 中央集権化のメリットは3つあります。 前述したように、アメリカドルとペッグされたTetherは価格変動が非常に小さいです。価格変動の大きな他の暗号資産は通貨としてではなく投機目的で使用されることが多く、運営(Tether Limited)が信頼性の高い運営をしていれば価格変動の可能性から資産が短時間で大幅に減少してしまう可能性が少ないです。アメリカドルとの価格乖離は大きくても2%に抑えられています。 Tether Limitedによる中央集権化が敷かれていますが、Tetherの流通はビットコインブロックチェーン上で非中央集権的に行われているため既存の金融サービスのような仲介者が存在せず暗号資産の特徴である送金スピードと低い取引手数料を実現しています。 Tether以外の暗号資産を保有しているユーザーにとっては相場が不安定になった時に一旦法定通貨に交換するケースがありますが、法定通貨への交換は手数料が多くかかってしまいます。このような時に価格が安定しており手数料の低いTetherが大きなニーズを持っていると言えます。不安定な相場で他の暗号資産からTetherに資金が移動するケースが容易に想像できます。 特にアメリカではTetherを取引所の基軸通貨に採用しているところが多いです。基軸通貨に採用されることでより多くのユーザーがTetherを利用することはもちろん、法定通貨と暗号資産の交換を規制されている地域では法定通貨の代わりに価格の安定しているTetherに交換することで資産の保護が可能になります。このような点で取引所の基軸通貨になることは大きな可能性を秘めていると言えます。 Tetherの時価総額(発行量×トークン価値)のグラフを見てみると1日で 急激に供給量が増えている 箇所が複数あり、米ドルを準備せずにTetherの供給量だけを増やしているという疑惑が上がっていました。これに対してTetherの弁護士は Tetherの裏づけとしての米ドルは発行分の74%である との発表を行いました。 Tetherが当初から発表しているデポジット法定通貨との1:1という構想が実際には実現されていないという事実が発覚したということです。しかしTether側は通常銀行なども預金の全部は現金で保管していないと述べ100パーセント米ドルをデポジットしておく必要はないと反論しています。 ブロックチェーン分析を行うCoinMetris社の調査によると 100万ドル以上のTetherを保有しているユーザーはたったの318口座 に集中しており、さらに個人または組織が複数のアドレスを所有することもできるためにこの口座数はさらに少ない可能性があると指摘しています。 Tether発行量のほとんどが少数のユーザーによって保有されていることが事実であれば、少数のユーザーが 利益のために価格をコントロールすることが可能であり危険 が伴います。 Bitfinexはビットコインで世界有数の取引量を誇る香港資本の暗号資産取引所です。過去に数回ハッキングによる被害を受けていますが破綻することなく現在も多くの取引を扱っています。このハッキングを経てセキュリティはより強固になったと言われており数十種類以上に及ぶ多くの暗号資産と取り扱っています。 ペッグ通貨を代表するTetherと世界有数の取引所であるBitfinexですが実は共同の親会社の元で運営しており、両者のCEOも同じ人物が務めています。なぜこの両者の関係が怪しまれているかというと以前、Tether Limitedが数億ドル規模のTetherを新規発行した直後にBitfinexでレバレッジをかけた巨額のビットコイン取引が行われていたという事実があるからです。両者が裏で打ち合わせを行った上での取引であれば、市場操作の可能性が高くTetherにとって大きく信用を失う原因となります。 また、2019年10月にはTether LimitedおよびBitfinexに対して投資家を欺き価格操作をすることで巨額の不正利益を得たとして ニューヨークで集団訴訟が起こされました。 この集団訴訟に対して、Tether側は、「事実無根の調査結果」「恣意的かつ不完全なデータ」などと反論しています。 2019年7月、TetherはOmniからTronへUSDTのチェーンスワップを行っている際に 誤って50億ドル相当のTetherを発行しました。 Tetherの最高技術責任者はTether側のミスを認め、数分以内に誤って供給したTether全体をバーンしました。公には人為的ミスとされていますが、ビットコインの価格を操作するために故意で行われという憶測も飛び交っており真相は謎のままです。 一見Tetherと全く同じように見えるTUSDですが、大きな違いがあります。それは、Tetherの預金管理は全てTether Limitedが行っているのに対して、TUSDは複数の信託銀行が共同で預金の管理を行っている点です。Tetherの場合、Tether Limitedが一社で管理しているために全権がこの会社に集中していますがTUSDは複数の信託銀行が管理をしているためにユーザーのカウンターパーティリスク(取引先が潰れた時にユーザーも被害を受けるリスク)が下がります。世界一の取引量を誇るバイナンスをはじめ複数の取引所で現在取引が可能となっています。 ロードマップは公表されていませんでした。 Tether LimitedおよびBitfinex社のCEOを務める人物ですが、詳しい人物情報はありませんでした。 Tether LimitedおよびBitfinex社のCFOを務める人物ですが、詳しい人物情報はありませんでした。 Tether LimitedおよびBitfinex社の法律顧問を務める人物ですが、詳しい人物情報はありませんでした。 価格が安定したペッグ通貨としてニーズのあるTetherは現在暗号資産が抱える問題を避け、これからさらに普及していく可能性はあります。しかし、運命側の不正疑惑やユーザーの集中などネガティブなニュースが増えるばかりではTetherの地位は他の暗号資産にとって変わられる可能性も考えられます。 Facebookが発行するLibraの登場もTetherの地位を揺るがす存在になるかもしれません。ポジティブな機能とネガティブなニュースの両方があるTetherはこれから注意深く情報を追うことが必要です。 2019年後半ではビットコインの価格上昇に伴い、USDTの24時間取引量はビットコインを超え、暗号資産市場で1番の取引量となりました。今後も不動の地位を確立しているかと言えば必ずしもそうとは言えず、FacebookのLIBRAや他のステーブルコインの台頭、バイナンスの180か国の法定通貨ペアの挑戦などUSDTを脅かす存在はどんどん誕生するでしょう。
案件名:Tether(テザー)
シンボル:USDT
発行上限:なし
ブロックチェーンのタイプ:ビットコイン
時価総額ランキング:5位
Tether(テザー)の上場先一覧
Tether(テザー)の公式サイト、SNS一覧
Tether(テザー)とは?
Tether(テザー)の特徴
Tether(テザー)の目的
現状の問題
Tether(テザー)システムの3つの層
1.ビットコインブロックチェーン(1つ目の層)
2.オムニレイヤープロトコル(2つ目の層) -Omniは、次のことが可能な基盤技術です-
b)Omnichest.infoおよびOmnicore APIを介してTetherの流通を追跡および報告します。
c)ユーザーがテザーやその他の資産/トークンを次の場所で取引および保存できるようにします。
i)p2p、暗号資産にとって安全な環境。
ii)オープンソース、ブラウザベース、暗号化されたWebウォレット:Omni Wallet。
iii)マルチ署名およびオフラインコールドストレージサポートシステム3.3番目のレイヤーはTether Limitedであり、主に以下を担当する事業体です。
b)法定通貨の引き出しを送信し、対応するテザーを取り消す(バーン)。
c)流通しているすべてのTetherに対応する法定準備金の管理。
d)法定通貨保管量証明およびその他の監査結果の公開報告。
e)既存のビットコイン/ブロックチェーンウォレット、エクスチェンジ、および商人との統合の開始と管理。
f)ユーザーがTetherを便利に送信、受信、保存、交換できるWebウォレット。Tether(テザー)資金処理の流れ
PoR(Proof of Reserve)というアルゴリズム
他のICOにはない特徴
Tether Limitedによる中央集権制が敷かれている。
1.ユーザーと、他のユーザーや販売者を含む当事者間のモバイル決済の円滑化できる。
2.分散した当事者間での即時または準即時の法定値の転送を可能にする。
3.スマートコントラクトとマルチ署名機能の使用の概要をさらに改善する一般的なセキュリティプロセス、Proof of Reserves、その他新機能の有効化が可能。価格の変動が少ない
法定通貨よりも送金が早く手数料が安い
多くの取引所で基軸通貨として採用されている。
Tether(テザー)の疑惑
Tether発行量に相当する法定通貨(米ドル)を保有していない。
Tether全体発行量の80%が約300口座に集中している?
TetherとBitfinexの怪しい関係
誤って50億ドル分を追加発行
Tether(テザー)の類似プロジェクト
TUSD(TrueUSD)
TUSDは1TUSD=1USDとなるように相場が固定されたペッグ通貨です。TUSDを買いたいユーザーは信託銀行に法定通貨(ドル)を預けることで同等のTUSDが発行されます。そしてユーザーがTUSDを売却すると同等のドルが返却され売却されたTUSDはバーン(消滅)しTUSDとUSDの価格乖離を防ぎます。Tether(テザー)の商品・サービス
Omni wallet
Tether Limited社が作成した 「Omniwallet」を利用してTetherを保管することができます。スマートフォン版も出ており利便性は高そうですが、WalletまでTetherが出したものを利用するのは、、という方も多いかもしれません。Tether(テザー)のロードマップ
Tether(テザー)の運営メンバー
JL VAN DER VELDE(CEO)
GIANCARLO DEVASINI(CFO)
STUART HOEGNER(法律顧問)
Tether(テザー)まとめ
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今回はTether(テザー)の実態を徹底調査しレポートしたします!
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