みなさん、お久しぶりです。金崎明人です。
東京五輪で盛り上がった世の中ですが、依然パンデミックの影響下にある日本ですね。
私も人類の叡智であるワクチンの接種がようやく受けられました。
もっともっと国民にワクチンが行き届いて欲しいものです。
さて、今回は堅苦しいタイトルですが分かりやすい事例を出してグローバリズムを解説していきたいと思います!
良ければご一読ください。
中国政府が学習塾事業へ制限を強化。過熱した教育産業に打撃。
先日、中国政府が小中学生の負担軽減を目的に、営利目的の個別指導を禁止する方針を打ち出した。具体的には、小中学生の宿題の量を制限し、学習塾の新規設立を禁止とする。また、既存の学習塾は非営利団体に変更し、運営会社の株式市場上場も禁じる。
2021/7/27 チャイトピ! 中国政府が学習塾事業へ制限を強化。過熱した教育産業に打撃 より
社会の不満を解消していく手法が唯一無二の国
「通勤通学でさくっと学べる」をコンセプトにしていますので、簡単に解説します。
現在、中国は一人っ子政策の「ツケ」がほぼ確実にやってくると予測されていることから、「安心して子供が産める社会」にしようと躍起になっています。
今までの中国は豊富な労働力で世界の工場となり、次はIT先進国と、アメリカ型の社会に近いとされてきました。
しかしアメリカ型社会の負の側面である「格差拡大」から中国でも逃れることができず、かつ中国は共産主義という国の枠組みであったために一つの国家の中で制度に矛盾が生じている状態が最近はより顕著になってきました。
中国は民主主義の国ではなく、国民総選挙もない、共産党一党独裁の国。
政府が一番恐れているのは「共産党の支配体制が崩壊すること」。
そのため、国民の不満を時にドラスティックに解決しようと躍起になっています。
習近平国家主席の体制になってからはアメリカに匹敵する国力を背景に、「西側」ではなく中国独自の統治スタイルを継続し、時に「経済的合理性よりも党の論理を優先する」姿勢がより露骨になってきました。
今までは「中国が豊かになれば資本主義や民主主義の価値観に理解を示してくれる」と期待をしていた日欧米の投資家や企業家達はその期待が幻想だったことに遅ればせながら気付いたようで、明らかに中国に対して警戒感を抱くようになりました。
バイデン政権下では他国と協調して中国包囲網を敷いていることからここ10年近くはにらみ合いが続くと金崎明人は想定しています。
台湾や香港が心配ですが、最悪ケースでは日本も無傷ではいられないでしょう。
一夜で変わるファンダメンタル
冒頭にあった教育産業への規制のニュースを受け、個別銘柄では1日になんとマイナス70%の下落を記録した銘柄もあり、教育業界の株価はマイナス20~70%の下落となり、壊滅的な日となりました。
今回は「教育産業」という切り口でしたが、先日は強大になってきたデジタルプラットフォーム企業を規制するという報道がありました。
ディディやアリババ、テンセントといった中華版GAFAと呼ばれる企業の株価も暴落し、の「ITばかり稼ぎやがって」と不満を抱いていた大衆の留飲を下げることにも成功しました。
ちなみにこのチャートはDirexion社というアメリカのファンドが設計した、中国のインターネット企業のレバレッジ型ETFで指数の倍の動きを目指すCWEBという銘柄のチャートです。
レバレッジ型かつ中国のネット企業ということでハイリスクハイリターン銘柄として知られていましたが5月以降の下落速度はもう同情するしかないレベルの歴史的な落ち幅となっています。
アメリカで多数の中国株が上場していましたが中国政府が今後、深圳や香港市場への上場を促していることから、資本調達においても西側に頼らず独自のスタンダードを構築しようとしているのではないかと金崎明人は考えています。
資産形成を考えるうえでおすすめなのは
今回の中国の例は、改めて国家の恐ろしさを痛感した事例となりました。
以前から私は米国株中心のポートフォリオ(もちろん暗号資産も入れています苦笑)で、あまり中国株は入れていませんでしたが、その最大の理由は自由や民主主義国家ではないからです。
アメリカも統制をかけることはもちろんありますが、民主主義の国なので議会や公聴会できちんと議論がされるため、透明性も高く、投資家にとっても判断材料が(ある程度)信頼できるものとなります。
また市場も厳格なルールを敷いていることから、「信頼が担保」されていると言えます。
これは本業でマーケットに関わっていない個人投資家からすると、安心感につながりますよね。
このような理由から、資産形成においては自由や民主主義の体制を採用している国や地域でご自身のお金を働かせるのが個人的なおすすめと言えます。(投資は自己責任でお願いします)
以前は私も香港が大好きでしたが、現在の香港にかつてほどの経済的な魅力があるか?と言われると答えはNOになります。
逆説的ですが私権制限が憲法で難しい日本は「緩い」ので今後、再び脚光を集めるかもしれません(笑)
グローバリズムで忘れていた本質
今回は中国の事例を使い、解説してきましたが、グローバル化が進んだとはいえ、私たちの暮らしの枠組みは国家の統治体制に大部分を委ねています。
言い換えると、国家の庇護のもとに私たちは社会的、経済的な活動をしている訳です。
だからこそ、ビットコインをはじめとする暗号資産が「国家の垣根を超えた」ものとして注目を浴びる訳で、世界統一政府ができない限りは多数の国家間の枠組みでこの世界は回っていくことでしょう。
いつでもどこでも自由に往来できたからこそ、国家という意識が希薄になってしまいましたが、コロナ禍以降の世界ではまた国家の介入が強くなるという可能性が非常に高いです。
グローバル化で大きく成長したGAFAに対する規制も同じような文脈で解釈することが可能で、グローバリズムの補正を世界中の国で行っているのかもしれません。
グローバリズムとは厳しい言い方をすれば強者のルールを強いることなので、その背景には激しい主導権争いがある訳ですね。
以上、金崎明人がお送り致しました。
この記事を書いた人
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東証一部上場企業で会社員として働くも、趣味の業界であるため、ストレスフリーで過ごす。 ファンダメンタル分析をベースに長年相場で戦い、経済的なストレスからも解放され、ストレスフリー。市場平均は常に超えてます。 社畜を軽蔑していることからか、辛口コメントなのがタマにキズ。
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