北朝鮮関連の資金洗浄疑惑: トルネードキャッシュ創設者を米国が起訴
米国の司法部は、仮想通貨ミキシングサービス「トルネードキャッシュ」の創設者、ローマン・ストーム氏とローマン・セミョーノフ氏を、資金洗浄や制裁違反等の容疑で起訴しました。
このサービスは、約1,450億円以上のマネーロンダリングを補助してきたと指摘され、北朝鮮のサイバー犯罪集団「ラザルス」も利用した疑いがあります。
トルネードキャッシュは、仮想通貨取引の匿名化を支援するサービスで、犯罪関連の資金洗浄に用いられることが多かったとされます。
また、セミョーノフ氏に対して制裁が発表され、一方で、米国内の投資家グループは制裁に対して異議を唱え、訴訟を起こしていました。
訴訟後の連邦判決は、財務省の立場を支持しました。
米司法省、トルネードキャッシュ創設者を起訴 1400億円超のマネロン幇助容疑
COINPOST
トルネードキャッシュ騒動: 匿名サービスとWEB3.0の未来
「トルネードキャッシュ」の訴訟騒動が再び仮想通貨業界を揺るがしています。
このサービスは、匿名の仮想通貨送金サービスとして登場しましたが、その創設者はマネーロンダリングの助長を容疑として逮捕されました。
業界からは、悪意のある利用者が原因であり、サービスを単に作成した創設者が責められるのは不当だという反発も見られました。
実は、このような問題は、日本の「Winny」騒動とも重なります。
Winnyも日本で映画化され、日本の警察の不手際についての議論もされましたが、同様の問題はアメリカにも存在しています。
どの国であろうと、犯罪に利用される可能性が高ければ警察が動き、その後、正しい法律で規制されるという流れは変わりません。
特に訴訟の多いアメリカでは、サービスを作る時に明確な規制がなければ、逮捕されるリスクを想定する必要があるのかもしれません。
この事件から読み取れるのは、アメリカのWEB3.0産業の停滞です。
未知のものを開発することが逮捕の原因となる可能性があるため、アメリカでのWEB3.0への挑戦は少なくなるでしょう。
それでは、匿名サービスについてどうでしょうか?
匿名サービスには、確かに需要が存在します。
その需要にはグラデーション(段階)があり、完全な匿名性を確保することは行き過ぎとも言えます。
市場に既に存在する匿名性サービスが逮捕や訴訟につながっていない理由は、完全に匿名ではないからです。
銀行と同じく、他人の口座番号を知っていても、その残高を照会することはできません。
しかし、政府や家族など、特定の権利を持つ人が正しく申請すれば、情報を取得することができます。
いま求められている匿名性の需要からすれば、このレベルで十分です。
黎明期の業界では、0か100のようなサービスが半途半端なサービスよりも魅力的に見えるかもしれません。
一般の人々にとって、そのような極端なサービスを利用するのは難しいでしょう。
将来的に、WEB3.0市場が広く大衆に受け入れられるにつれて、需要のグラデーション(段階)を意識した多くのサービスが生まれることでしょう。
それがアメリカで生まれる可能性は、残念ながら低いと言えます。
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