9月に入り涼しくなると思いきや、まだまだ酷暑は続きますね。
相場は一旦、かつての過熱感から冷めつつあるようです。
テスラ株が大幅下落、時間外取引で~S&P500種銘柄に採用されず
4日の米国株市場の時間外取引で米テスラの株価は一時8%の大幅安。同株が今年急騰する中でS&P500種指数銘柄への採用が期待されていたが、実現しなかった。テスラは7月に発表した4-6月期(第2四半期)決算が4四半期連続の黒字となり、S&P500種への採用に向けた最後の大きなハードルを乗り越えた後で、クレディ・スイスのアナリスト、ダン・レビー氏らが4日にテスラ株の追加が発表される可能性があると述べていた。
2020/9/05 Bloomberg L.P B、テスラ株が大幅下落、時間外取引で-S&P500種銘柄に採用されず より
勢いはいつかは止まる
過去の記事でも紹介しましたが、テスラ(TSLA)のポテンシャル、何よりイーロンマスクの壮大なビジョンは人を惹きつけ「ワクワク」させるものがあります。
テスラだけでなく、中国を除いた資本主義世界を牛耳るGAFAM(Google,Apple,Facebook,Amazon,Microsoft)の8月の価格高騰はソフトバンクグループによるコールオプション買いがあったとの報道も出始めました。
コールオプション買い(指定期日に指定価格で買うことができる権利)と、取引者(売る方に賭けた側)のヘッジとしての現物買いの相乗効果により株高を演出したという訳です。
またアメリカの新興ネット証券を使うロビンフッターの存在もあったと言われますが、規模的にソフトバンクグループの関与が大きいと思われます。
と、オプション取引やロビンフッターの説明をするとそれだけで1つの記事になるボリュームなので、それはまた機会があれば、ということにしたいと思います(苦笑)
何にせよ、勢いあるものはいつかは止まる、祇園精舎の鐘の声、ということは肝に銘じておかなければなりません。
株価指数に組み入れられるだけで株価は上昇するの?
冒頭のニュースでS&P500に入らなかっただけで失望売り、とありましたが、本業は変わらないのに指数に入らなかっただけでなぜ暴落?指数入りのメリットとは?と思いませんか?
そもそも、株価指数とは株式市場の全体の集合、また特定の銘柄のクラスターなど、1つの株ではなく、「何らかの集団」の株価数値=指数 となります。
個々の株価を一定の計算方法で指数化することで、経済のトレンドや規模を捉えることができます。
なお、主な主要株価指数としては下記がありますが、皆さんご存知でしたでしょうか?
・日経平均⇒日本経済新聞社が東証一部から流動性の高い225社を幅広く選定し平均値をとったもの
・TOPIX⇒東証株価指数(TOkyo stock Price IndeX )の略称で東証一部の全ての銘柄を加重平均で算出したもの
・JPX日経インデックス400⇒日本証券取引所と日経新聞社がPER,ROEなどの業績データから400社をピックアップした指数
・NYダウ平均⇒アメリカのS&Pダウジョーンズ社が算出する指数で、日経平均と同じように各業種から30社を選定し、その平均値をとったもの
・S&P500⇒アメリカに上場している企業から、代表的な500社を選定し、TOPIXのように加重平均で算出したもの
・Nasdaq⇒アメリカの新興企業向け市場であるNasdaqに上場している企業の株価を平均したもの
・上海総合⇒中国の上海市場に上場している全ての(外国向に解禁されているものも含む)銘柄の加重平均
・FTSE100⇒イギリスのロンドン証券取引所に上場している銘柄から時価総額が大きい100社を対象としたもの
株式市場はニューヨーク、ロンドン、東京、上海で世界TOP4となるのでここを押さえておけば、ほぼ世界経済のトレンドは掴める形となります。
各金融機関は投資信託やETF(上場投資信託)として上記指数を「商品化」しているため、各指数と同じ結果になるように銘柄を買い、連動させるようにしています。
よくある、●●日経平均インデックスファンドや、○○国内株式(TOPIX)投資信託といったような商品が典型例です。
各社とも各指数に乖離なく連動するようなファンドを組成しているため、指数の構成銘柄が組み変わると「売りと買い」が行われる訳です。
そのため、指数入りは=機関投資家の買いが入る、とされ、また信用度が上がったと判断され、市場ではポジティブに捉えられます。
結局は人気投票の面が大きい
株式は長期ではマクロ経済やその企業のビジネスモデルに連動するが、短期は政策と需給と出来高に連動する。
これは私が個人的に確信しているもので、投資スタイルによって、何に左右されるのかきちんと把握するか一つのキーとなります。
よく「市場は実態よりも過熱している」と懸念する学者や投資家は上記のスタイルで前者だと思われます。
逆に「レンジの範囲内だ、この高騰は想定内だ」とする投資家は後者のスタイルだと思われます。
1日~1か月程度の短期であれば、正直、マクロ経済はあまり把握していなくても問題なくトレンド感や需給を見抜く力があれば十分です。
株式は人気投票(または美人投票)だ、と言われるのもこういう面から来ています。
逆にバークシャーハサウェイのバフェットのような投資家はビジネスモデルをこれでもかというレベルで緻密に分析し投資するので、直近の過熱感は参考程度に留めています。
どのスタイルを採用しますか?
結局は自分がどのスタイルを採るかに依拠しますが、近年のIT化やAIによる相場介入が広がっている状況を加味すると、全てにおいてサイクルが早くなっているため、トレンド感や需給を見抜く力を養う方が勝率が上がると感じています。
トレンド感や需給を見抜く力を養う上で人の「心理」を知っておくことが重要となるため、近年、経済学に心理学のエッセンスを取り入れた「行動経済学」が注目されている訳ですね。
ご自身がどうありたいのか、どのようなスタンスなのかを確立しないときっとうまくいくことはないでしょう。
野球やサッカー、バスケでも様々なチームスタイルがあるようにご自身のスタイルを試行錯誤して確立することが大事で、ベースがあるからこそ、様々な変化にも冷静に対応できるものだと私は信じております。
以上、金崎明人がお送り致しました。
この記事を書いた人
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東証一部上場企業で会社員として働くも、趣味の業界であるため、ストレスフリーで過ごす。 ファンダメンタル分析をベースに長年相場で戦い、経済的なストレスからも解放され、ストレスフリー。市場平均は常に超えてます。 社畜を軽蔑していることからか、辛口コメントなのがタマにキズ。
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