NEM騒動に関する最高裁判決
2024年7月16日、最高裁はコインチェック社から奪われた約550億円相当のNEMに関する組織的犯罪処罰法違反事件で、被告人の上告を棄却する判決を下しました。
本件では、氏名不詳のハッカーが不正に入手した秘密鍵を使用してNEMを移転し、被告人がそのNEMを取引したことが問題となりました。
最高裁は、秘密鍵を不正に取得して行った取引が刑法246条の2に該当する「虚偽の情報」に当たると判断し、電子計算機使用詐欺罪の成立を認めました。
この判決により、被告人の有罪が確定し、原審の有罪判決が維持されることとなりました。
組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律違反被告事件
裁判所
NEMハッキング事件の教訓
2018年1月に発生したコインチェックのハッキング事件では、当時の価値で580億円相当のNEMが流出しました。
この事件に関して、2021年1月22日に31名が組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)の疑いで起訴されました。
そして、2024年7月16日、最高裁判所は原告の罪状をそのまま確定し、有罪判決が最終的に確定しました。
この判決は、仮想通貨に触れる全ての人に対する警告として受け止められます。
まず、仮想通貨の文化と日本の法律は異なることを理解することが重要です。
今回有罪となった人物たちはNEMをハッキングしたわけではありません。
当時の認識では、NEMを受け取る行為自体に疑問はありませんでした。
現代の言葉で言えば、エアドロップを受け取ったようなものです。
しかし、もし受け取った仮想通貨が犯罪に関与していた場合、受け取っただけで犯罪収益の収受罪に問われる可能性があります。
そして、個人がその仮想通貨が犯罪に関与しているかどうかを調査するのは非常に難しいのが現状です。
特に現在危険なのは、取引所外で個人間で仮想通貨を受け取る行為です。
これにはエアドロップも含まれます。
仮想通貨の世界では無料でもらえるものを受け取るのは一般的ですが、一般社会では1万円以上の価値があるものを無料で受け取る行為には疑問を持つべきです。
仮想通貨の世界の常識が通用しないことが裁判で明らかになりました。
また、アメリカでは仮想通貨送金プラットフォーム「トルネードキャッシュ」の開発者が5年4ヶ月の刑を受けています。
日本でも類似のケースとして「Winny事件」がありました。開発者の金子勇氏は無罪となりましたが、裁判で7年半も戦わなければなりませんでした。
日本の司法が遅れていると言いたいわけではありません。
どの国でも司法を無視するのは危険です。
WEB3市場は分散型を良しとしていますが、法的に危険な側面も多々あります。
日本の法律に違反する可能性があると感じた場合は、直ちに撤退することをお勧めします。
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